10日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前営業日の8日に比べ696ドル75セント(1.63%)安の4万1938ドル45セントで終えた。昨年11月4日以来の安値で、米大統領選前の水準に戻った。
この日発表された昨年12月の雇用統計では、非農業部門の就業者数は前月比25万6000人増となり、伸びは11月の21万2000人増(改定)から拡大。市場予想(16万人増=ロイター通信調べ)を大幅に上回った。失業率は4.1%と前月から0.1ポイント改善した。
労働市場の底堅さを示す統計を受けて、投資家らの間でFRBが今後の利下げに慎重な姿勢を示すとの観測が強まる中、米長期金利の指標である10年物国債利回りが急上昇。株式の相対的な割高感が意識される中、ダウは一時750ドル超下げた。
市場は前月から横ばいを見込んでいた。「とても強い内容でインフレ圧力を押し上げかねない。トランプ次期米政権の政策がインフレを誘発するともみられるなか、FRBは利下げを休止するとの観測を誘った」との受け止めがあった。
1月の会合での利下げ見送り観測が強まるなか、JPモルガンは次の利下げは6月、その後9月で打ち止めとなるとの予想を示した。米金利先物の値動きから金融政策を予想する「フェドウオッチ」では10日夕時点で3月の会合でも政策金利を現在の水準に据え置く確率が7割強、5月も据え置きの確率が6割ほどとなり、前日(それぞれ56.2%、44.7%)から上昇した。
10日午前にミシガン大学が発表した1月の米消費者態度指数(速報値)は73.2と前月と市場予想(ともに74.0)を下回った。1年先の予想インフレ率は24年12月の2.8%から3.3%に上昇し、長期の予想インフレ率は3.3%と08年6月以来の高さとなった。予想インフレ率の高まりが消費者の景況感に響いているとみられ、インフレ高止まりへの懸念が増した。
米債券市場では長期金利の上昇が勢いづき、一時は前日比0.10%高い(債券価格は安い)4.79%と23年11月以来の高水準を付けた。相対的な株式の割高感が強まり、幅広い銘柄に売りが出た。
個別銘柄ではエヌビディアやアップルが売られた。ゴールドマン・サックスやアメリカン・エキスプレス、キャタピラーの下げも目立った。米西部カリフォルニア州ロサンゼルス近郊で発生した山火事の被害拡大への懸念も強まっている。保険株への売りが広がり、トラベラーズは4%下げた。一方、米原油先物相場が上昇し、シェブロンは買われた。
ナスダック総合株価指数は3日続落した。前営業日比317.250ポイント(1.62%)安の1万9161.628(速報値)で終えた。アドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)やブロードコムなど半導体関連株が軒並み売られた。アルファベットやネットフリックスも下げた。
NYダウ 41938.45 ( -696.75 )
S&P500 5827.04 ( -91.21 )
NASDAQ 19161.63 ( -317.25 )
米10年債利回り 4.761 ( +0.077 )
NY(WTI)原油 76.57 ( +2.65 )
NY金 2715.0 ( +24.2 )
VIX指数 19.54 ( +1.47 )
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前日比765円安の3万8780円で終えた。
NYダウ平均は、堅調な米雇用統計を受けて、米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げの休止観測が広がる中、大幅反落した。同日の日米株式相場が下落し、日経平均先物にも売りが波及した。
シカゴ日経225先物 (円建て)
38780 ( -470 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
38860 ( -390 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日の英FTSE100種総合株価指数は3日ぶりに反落し、前日比71.20ポイント(0.85%)安の8248.49で終えた。米英金利の高止まりが重荷だった。堅調な米雇用統計を受けて米利下げ観測が後退。10日の米株式市場で主要な株価指数が下げ幅を広げる場面があり、投資家心理を冷やした。週末を前に利益確定の売りも出た。
飲食料品・たばこ、保険や公益など幅広い業種・銘柄に売りが広がった。原油先物相場の上昇を背景に、英シェルなどエネルギーは上昇した。
中小型株で構成するFTSE250種指数は反落した。前日比1.35%下げ、2024年4月下旬以来の安値で終えた。
FTSEの構成銘柄では、資産運用大手シュローダーが4.35%安、10日公表した1月初旬までの16週間の既存店売上高が市場予想を下回った流通大手セインズベリーが4.26%安、酒造大手ディアジオが4.25%安と下げを主導。他方、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループは1.39%高、金融大手スタンダード・チャータードは1.08%高、航空大手インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)は0.99%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は3日続落し、前日比102.31ポイント(0.50%)安の2万0214.79で終えた。10日発表の米雇用統計が市場予想より強い内容で、米利下げ観測の後退につながった。米欧の長期金利が水準を一段と切り上げる場面があり、嫌気された。
個別では、通販大手ザランドが5.39%安、エネルギー大手シーメンス・エナジーが4.62%安、エネルギー大手イーオンが4.52%安と大きく売られた半面、自動車大手メルセデス・ベンツは3.73%高、ヘルスケア大手フレゼニウスは1.17%高、自動車大手BMWは1.14%高で終了した。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.79%安で終えた。