2日のNYダウ工業株30種平均は4日続落し、祝日前の前営業日に比べ151ドル95セント(0.35%)安の4万2392ドル27セントで終えた。下げ幅は360ドルを超える場面があった。
米連邦準備制度理事会(FRB)による利下げペース鈍化の見通しや、トランプ次期大統領の政策がインフレを招くとの観測を背景に、先月以降、長期金利が大幅に上昇。この日は原油高のほか、週間の米失業保険申請件数で雇用情勢の底堅さが示されたことが金利高を支え、株価を圧迫した。ダウ、ナスダックともに昼過ぎにマイナス圏に沈んだ。
3日に行われる米下院議長選で現職のジョンソン議長が再選されるかどうかを巡る不透明感も相場を下押しした。ただ、市場参加者からは、中長期的には「共和党がトランプ支持派と反対派で割れ、トランプ氏が極端な政策を打てない状況になれば株式市場にはプラスだ」との指摘が出ている。
アップルなど主力株の一部が下落し、投資家心理の重荷となった。半面、経済指標が米景気の底堅さを示したことは相場の支えとなった。
アップルが2.6%下落した。中国で新型スマートフォンを値下げすると明らかにし、同国の需要低迷や利益率の悪化が意識された。ダウ平均の構成銘柄ではないが、テスラは6%安で終えた。2日朝発表の2024年10〜12月期の電気自動車の世界販売台数がQUICK・ファクトセットがまとめた市場予想ほど伸びず、嫌気した売りが広がった。市場では「昨年株価が堅調だったハイテク銘柄には利益確定売りが出やすい状況が続いている」との指摘があった。
午前の取引でダウ平均は360ドルほど上昇する場面があった。2日発表の週間の米新規失業保険申請件数は21万1000件と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(22万5000件)を下回った。米S&Pグローバルが発表した24年12月の米製造業購買担当者景気指数(PMI)改定値は速報値から上方修正された。米景気が底堅さを保っているとの見方は株買いを促した。
市場では「年末年始で休暇をとっている市場参加者が多く、取引量は少ない」との指摘があった。薄商いの中で、ダウ平均の値動きが大きくなった面もある。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、ボーイングとナイキが下落した。シャーウィン・ウィリアムズとセールスフォースも売られた。一方、エヌビディアとシェブロンが上昇した。マクドナルドも高かった。
ナスダック総合株価指数は5日続落し、前営業日比29.999ポイント(0.15%)安の1万9280.793(速報値)で終えた。5日続落は24年4月以来。ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズや情報セキュリティーのパロアルト・ネットワークスが下げた。
NYダウ 42392.27 ( -151.95 )
S&P500 5868.55 ( -13.08 )
NASDAQ 19280.79 ( -29.99 )
米10年債利回り 4.564 ( -0.008 )
NY(WTI)原油 73.13 ( +1.41 )
NY金 2669.0 ( +28.0 )
VIX指数 17.93 ( +0.58 )
【シカゴ日本株先物概況】
2日のシカゴ日経平均先物は下落した。3月物は前営業日比15円安の3万9375円で終えた。
NYダウ平均は、米長期金利の高止まりが重荷となる中を利益確定の売りが先行し、4営業日続落した。同日の米株式市場が下落し、日経平均先物も売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て) 39375 ( -615 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39470 ( -520 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
2日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前営業日にあたる2024年12月31日終値に比べ87.07ポイント(1.06%)高の8260.09と同12月16日以来の高値で終えた。原油先物相場の堅調推移を背景に、英シェルなどエネルギー株が買われ、指数を支えた。
国際指標のひとつである北海ブレント原油先物で期近の25年3月物は2日に一時1バレル76ドル台半ばと24年10月以来の高値を付けた。シェルとBPはそれぞれ前営業日比2%あまり上昇した。
外国為替市場で英ポンド安・ドル高が進み、ポンド安がポンド換算した収益に追い風となる銘柄にも買いが入った。
FTSEの構成銘柄では、産金大手エンデバー・マイニングが4.91%高、同業フレスニロが4.51%高と大きく買われ、流通大手マークス&スペンサーが3.68%高で続いた。半面、システムキッチンメーカーのハウデン・ジョイナリーは1.70%安、保険会社セント・ジェームズ・プレイスは1.67%安、住宅大手バラット・デベロップメンツは1.25%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
2日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前営業日にあたる2024年12月30日終値に比べ115.52ポイント(0.58%)高の2万0024.66で終えた。終値が2万を上回るのは約2週間ぶり。2日の米株式市場で主要な株価指数が上昇して始まったのを背景に、時価総額が大きい銘柄を中心に買いが入った。
個別では、航空機大手エアバスが3.72%高、電力大手RWEが2.53%高、ハノーバー再保険が2.40%高と買われた一方、自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は1.89%安、日用品大手ヘンケルは1.77%安、防衛大手ラインメタルは1.72%安と軟調だった。
■フランス・パリ株価指数
フランスでは株価指数CAC40が続伸し、前営業日24年12月31日終値に比べ0.17%高の7393.76とおよそ3週間ぶりの高値で終えた。原油先物相場の上昇を背景に、エネルギー大手の仏トタルエナジーズに買いが集まった。公益にも買いが優勢だった。ハイテクや消費の関連銘柄には売りが出て、指数の上値を抑えた。