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【どうみるこの相場】日経平均の行方


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【どうみるこの相場】日経平均の行方


■週明けの日経平均はG7蔵相・中央銀行総裁会議不発で急落

 週明けの日経平均は大きく下げた。G7予備会議の蔵相・中央銀行総裁会議で世界景気浮上に対する足並みが揃わなかった。今後、各国が個別に景気対策を採ることになるが、特に、経常収支大幅黒字の日本に対しては内需拡大の要求が強い。日本がどのような景気対策を打ち出すかによって相場は大きく変わってくる。

■G7後の日本の独自景気対策に注目、追加量的金融緩和が加われば2万円挑戦も

<Q>週明けの日経平均は大きく下げたようだが、なぜか。

<A>日経平均は終値では81円安にとどまったが、一時、前日比318円安の1万6417円まで下げた。G7の前会議の蔵相・中央銀行総裁会議で、G7が歩調を合わせて世界景気浮上に取り組むということではなく各国ごとの裁量で景気回復に取り組むという方向となった。これによって、今後の世界景気には多くは期待できないということで失望売りとなった。また、日本の円安についても牽制球が投げられたことで、また円高に進むのではないかとの心配も生まれている。

<Q>各国独自で景気対策ということだが、欧州にはあまり期待できないと思われる。その中でアメリカと日本はどのような景気対策があるのか。

<A>アメリカは足元の景気が格別悪いというわけではない。利上げが可能なほど景気は強い。ただ、これまでのドル高は望まないように思われる。できるだけドル安にもって行きたいのではないかと思われる。とくに、経常収支黒字が年間約17兆円の日本に対しては円安に頼るのではなく内需拡大を強く求めている。この流れで、G7後の日本の景気対策は内需拡大策が中心になると思われる。

<Q>物が充足している日本にこれ以上内需を刺激しても効果はないように思われるが。

<A>確かにその通りだ。財政出動をしても高速道路、鉄道、橋は立派なものばかりで新しく作る余地はないだろう。東北や九州の震災復興や子育て支援などが中心と思われる。日本の隅々まで元気にするには田中角栄的発想で首都移転を検討するくらいの思い切った発想でないと難しいように思われる。東京一極集中は効率はよいように思われるが、地方はいっそう活気が失われていく。

<Q>その中で消費税はどうだろうか。

<A>総理がどう判断するかだが、筆者は消費税は予定通りやったほうがよいと思っている。国の借金は益々増えていくし医療費、社会保障費も増えていく。財政悪化を食い止めるためには消費税はやるべきと思う。そのかわり、思い切った財政出動、追加の金融緩和で景気を刺激すればよい。駆け込み需要も発生すると思われる。とくに、マイナス金利政策で不動産、住宅はかなり活況になっているようだ。量的緩和をやれば、さらに盛り上がると思われる。当然、消費税後の落ち込みは予想されるが、アベノミクス第2ステージのバイオ医療、ロボットなどの成長産業も芽を出してくるように思われるから大きい落ち込みにはならないように思われる。

<Q>日本の景気政策で日経平均は。

<A>量的緩和も加われば、不動産、住宅、金融などを中心に大きく買われることになるだろう。量的緩和で一時的にでも円安に振れるならトヨタ自動車などの輸出関連も一時的に買われるものと思われる。日経平均は2万円に突っかけるのではないだろうか。
レポート05月30日


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《Eimei「みちしるべ」》


(5月30日から6月3日の週)

多くの事柄が好回転の軸で回り始めた印象。
まずは最大の悪材料だった消費増税の延期。
2年半の延期があれば、少しは良くなってくる筈。
そして日曜日経朝刊では「設備投資7年連続増」の見出し。
8.3%増は昨年の10.5%増に見劣りするという指摘もあるが増えていることは間違いない。
為替はイエレンFRB議長の講演による早期利上げ観測からのドル高トレンド。
円安トレンドも多少加わってこようか。
足元業績を見れば日経平均採用銘柄のEPSは1190円台に定着。
「消費増税延期は織り込んでいる」なんてテキトーな相場観は払しょくした方が良かろう。

一番悪いのは相場をムードで捉えることだろうか。
一般論で相場を認識するとしばしば間違うということもある。
「天底では小数意見につけ」という格言がある。
天井は総強気。底では総弱気が市場を支配している。
天井や大底では大勢の意見よりも少数の意見のほうが正しい。
相場で勝つには、少数意見に耳を貸す必要があるという格言。
「専門家はしばしば理路整然と間違う」というのもある。
市場関係者というのは「○○証券」とか「××研究所」というようなタイトルが多い。
給料を保証された安穏とした世界から相場を眺めることは悪くはない。
ただ、そこで比較されるのはそれこそリスクオンの個人投資家とリスクオフの専門家。
強烈なリスクオンの相場観は待ったなしの悲壮な相場観。
必死の相場観に勝るものはない。
大切なのは空理空論ではなく具体的に相場を見通すこと。
時間つぶしのような過去の検証も必要なこともあるが、本当に大事なのは未来感。
未来予想図というか相場予測図であろう。
相場における「5W1H」というのを常に考えたいものである。
「いつ、どこで、だれが、なにを、なぜ、どのように」。
見通しにくいのは「いつ」と「どこ」と「だれが」。
時間軸とタイミングはなかなか見通せない。
そして手口もない今は「誰が」も結構難しい」。
しかし、「何を」「なぜ」は自分で推論できる。
その延長線上に「どのように」がある。
曖昧模糊としたムードではなく、必死の相場見通し。
実践すれば少しは相場観が明るくなるかも知れない。
加えれば・・・。
マトリックスにして好材料と悪材料を並べてみることも一考。
年初に「SMAPの功罪」としてアチコチで使ったが頭の整理に役だつことがわかった。
バラバラに登場する材料をひとまとめにして俯瞰すると何かが見えてくる。
そしてシナリオを作る作業をすれば、結構スッキリするような気がする。
参考になる格言は「大取りより小取り」。
大相場というのはそうそう出るものではない。
大相場であればあるほど、押し、戻りもまた大きい。
相場に小取りの機会は多々あるもの。
小取りを反復できればやがて大をなすもの。
換言すれば「一擢千金を狙うより、少しずつ計画的に利益を増やしていく方が賢い」。
「勝ちグセをつけろ」に通じる格言。
「負けなければ勝てる」でもある。
「利食い千人力」としてしまうと何か面白くないのだが、結局相場は地道とマメが勝つのだろう。

日経平均想定レンジ

下限16752円(25日線)〜上限17613円(4月25日高値)

今年前半、ネットの世界では「日経ヘイキンズ」とう呼び方が流行したという。
「日経平均をひとつのプロ野球チームに見立てて、その値動きを見届けようという風潮」という。
最初に注目を集めたのは、日経平均が戦後初となる年初からの5日連続下落を記録した1月8日。
「2002年 千葉ロッテマリーンズ 開幕11連敗
2016年日経ヘイキンズ 開幕5連敗まだまだ新記録には遠い」。
前場が好調で後場で失速した日には「中継ぎ大炎上」。
寄り付きで株価が天井をつけその後下落が続いて終わると「初回ビッグイニングもダラダラ失点して負け」。
1月22日に941円上昇した日も、場中は「日経ヘイキンズにとってプラス500円は僅差」。
あるいは「大量リードがあるのにこの不安感」。
「日経ヘイキンズ」の主要メンバーは、エースがトヨタ。
4番打者がファストリテイリングだという。
DHは日経ダブルインバースになろうか。
もっとも最近はダブルインバースの不振が目立っており助っ人の補強が望まれる。
本物のプロ野球はそろそろ交流戦だが、市場は既に日経ヘイキンズVSマザーズ指数の交流線状態。
日々の見出しを考えるのは面白いかも・・・。

アノマリーは広島東洋カープの首位独走。
同率2位の中日と巨人に3.5ゲームの差をつけている。
いつもは鯉のぼりの季節で諦めモードになるのが定石。
最近の粘り強さはすごい。
ネットで見つけた三井住友アセットの宅森昭吉さんの指摘。

興味深いのは、プロ野球・広島東洋カープの成績だ。
1975年から2014年までの名目GDP成長率平均は3.4%。
広島がAクラス入りした20年間の平均は5.8%。6
回のリーグ優勝時には7.4%と広島が強い年の数値が群を抜いている。
その背景には、広島が親会社のない市民球団で補強や収入に景気の影響を受けやすいこと。
1997年を最後に下位に甘んじていた。
しかしデフレ脱却を目指すアベノミクスが本格スタートした2013年にはAクラスに復帰。
名目GDPはインフレを加味した数値なので、広島は「デフレ脱却のシンボル」ともいえる。
残念ながら2015年は勝てたはずの試合が引き分けとなり、0.5ゲーム差で4位。
実質的にデフレは脱しているのに原油価格の下落で数値上の結果が出せない日本経済と重なるようだ

因みにカープの優勝は1975年、79年、89年。
そして84年、86年、91年。
バブルに向けて優勝を重ね崩壊とともに縁遠くなった印象。
21世紀発の優勝となると結構面白いかも・・・。

火曜は火星が地球に最接近する「スーパーマースデー」。
株高アノマリーがあって良かろう。
月が地球にもっとも近づき満月になると「スーパームーン」。
しかし火星が地球に最接近して明るく大きく見える時を「スーパーマーズ」と呼ぶという。
火星は、地球の外側をまわっている外惑星。
火星は2年2ヶ月ごとに地球に接近。
その中でも15年に1回は大接近になる。
大接近したときはマイナス3等星の明るさになると言われている。
明るく燃える大きな星がいるのだから相場も少しは燃えていいだろう。
というか、1年を365日で感じる時間軸と2年2か月で感じる時間軸。
あるいは恒久の時間軸。
ひょっとするとこの体感が相場観になることがあるのかも知れない。
スーパーマースデーの方がメモリアルデーよりも重要に思えてくる。
因みに今回の火星との距離は7528万キロ。
前回2014年の4月14日と比べると約1700万キロ近い。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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