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【相場展望】主力株見送り好決算銘柄買いの展開、景気対策なければ夏枯れ相場の心配


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主力株見送り好決算銘柄買いの展開、景気対策なければ夏枯れ相場の心配

今週(16日〜20日)も引き続き、「好決算銘柄買い」の個別相場中心の展開が予想されそうだ。全体相場は東証1部の出来高20億株程度、売買代金2兆円程度が示す通り、盛り上がりに欠ける展開だ。これは、トヨタ自動車の2017年3月期が4割減益に代表されるように主力株の業績が芳しくないため、「中長期投資家」が今の株価水準では買い出動し難いことがある。結果、「短期売買筋」が好決算発表銘柄に飛び乗り飛び降りで稼いでいるというマーケットの姿である。

 3月期決算発表はピークを過ぎることから徐々に短期筋には材料難となってくる。これから発表の銘柄は主力銘柄でないところが多いため、いっそう、回転の速い値動きとなりそうだ。仮に、トヨタなど主力株が切り返し相場に転じるとすれば、政府・日銀の景気対策が実現することだろう。足元では、政府要人の口先介入で円相場が109円台へ円安が進んでいるが、何度も口先介入ではマーケットからしっぺ返しを食うことになるだろう。17日のGDP(1〜3月)発表を契機に景気対策が出るかどうかが注目だろう。

 もしも、景気対策が期待できないということになれば決算発表のあとは手掛かり材料難から、「夏枯れ相場」となる心配が出てくることになるだろう。足元は決算発表に注目だが、同時に政府の景気対策が注目される局面である。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR 犬丸正寛の相場展望)

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《Eimei「みちしるべ」》


(5月16日から5月20日の週)

週末時点で3月決算企業の95.2%が決算発表を通過。
今期売上高は1%減見通しながら、経常利益は2.7%増、純利益は13.8%増。
「今期足踏み」という解釈もあるがむしろ「想定ほど悪くない」だろう。
前期に悪いものを詰め込んだ印象は否めず、今期の発射台の低さが際立ってきた。
因みに日経平均株価のPERは13.77倍と14倍割れ。
採用銘柄のEPSは1191円まで上昇した。
因みにこのEPSは昨年12月に1270円まで増えたが今年4月に1100円割れまで低下。
決算発表が佳境を迎えた先週から1100円台まで戻してきた。
今期はショボイと言う声が多いがなかなかどうしてというところ。
加えて土曜の日経朝刊では「首相、消費増税先送り」の見出し。
サミット後の正式表明に期待が出てきた。
今年の最大の悪材料である来年4月の消費増税が延期されれば市場は歓迎する。
金曜の夜に安倍晋三首相は日銀の黒田東彦総裁や米コロンビア大学ジェラルド・カーチス教授らとニューオータニで会食。
伊勢志摩サミットの準備なのだろうが、変化の兆しと捉えてみたい。


日経平均想定レンジ

下限16385円(雲の下限)〜上限17850円(PER15倍水準)

今週の課題は18日発表の1〜3月GDP速報値。
市場予想は実質0.3%増だがうるう年を考慮すればマイナスになる数字。
GDPは消費増税を延期するかどうかの判断材料の一つ。
良ければ増税、悪ければ増税延期。
変形バージョンの前門の狼、後門の虎だろうか。
もっとも消費増税は延期ならば株高、実施ならば株安のシナリオ。
ニューオータニでのアベクロ会談の中身に期待したい気分は大きい。
気になるのは週末の仙台でのG7。
オバマ米政権が一段のドル高警戒を示し始めたとの観測。
背景は「米国の景気対策、大統領選、TPPの承認に向けた議会対策」。
G7に出席するルー米財務長官は「日本の円売り介入の思惑を改めてけん制。
「通貨安競争の回避を再確認する」がG7での彼の宿題。
オバマ氏の広島訪問へのお土産が何なのかという疑念も去ってはいない。

象徴的なのはアップルが中国の配車アプリに1100億円を投資すること。
アマゾンの好決算に象徴されるようにモノをつくるのではなく、モノを使ったりするソフトこそが稼いでくれるのが現状。
その傍証となろう。
そして三菱自動車への出資を表明した日産のゴーン社長のコメント。
「株価の下落は好機ととらえた」。
この企業家マインドが投資家マインドにつながれば市場は良くなるはずなのだが・・・。

「日本の大規模な景気刺激策が発表されよう」との声。
実現すれば良い話。
期待はいつも膨らんでしぼむものだが・・・。

5月18日(水)の1〜3月期GDP発表後で、26日(木)のサミット前の可能性。
既に米国は昨年12月に米陸上交通再生(FAST)法が成立。
5年間で3050億ドル(約34兆円)の支出が決まっている。
中国でも交通運輸省は今後3年間に約4.7兆元(約79兆円)を投じる。
国内の鉄道や高速道路、空港など303のインフラ事業を行うと発表した。
日本も数十兆円規模の景気刺激策が求められる。
そうなると、消費増税の実施と引き換えになると見られる。
今年度補正で5〜8兆円、来年度消費増税対策で10兆円。
再来年度は劇変緩和処置で5兆円程度のパッケージが考えやすい。
3年度に渡って合計20〜23兆円の発表となると株価には効果的だろう。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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