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《Eimei「みちしるべ」》
(3月22日から3月25日の週)

相場を難しく考えないことも必要だろう。
連立方程式を解けるほどの能力がないとでもいえばいいのだろうか。
単品解釈しかできないから、為替、中国、アメリカと同時に考えることはできない。
そして一つの出来事を強調する。
実は同時並行的に起きている事柄であるにもかかわらずである
ここを見間違えてはいけないだろう。
金曜の日経では「海外勢の株売り越し額最大に」の見出し。
3月第2週の外国人投資家の売り越し額は1兆1932円で過去最大を記録した。
ブラックマンデー直後が1兆1220億円だったことからすると大きい。
売り越しは10週連続。
裁定取引の解消も背景にあるが、3月に一度資金を本国に付け替えるたことの影響も大きいだろう。
米サーベラスが保有している西武HD株を売却したことも多少影響はあろうか。
為替の円高トレンドも経済実態ではなく為替面での売り要因であることは否めない。
確かにマネーの引き上げ観測はあるがいつまでも売り続けるものではない。

日本企業の子会社による資金のレパトリ(本国送還)が一巡する。
円高基調も変化しよう。
また3月期末のカラ売りの返済もあろう。
悪いことばかりではない。


日経平均想定レンジ

下限16586円(3月SQ値)〜上限17684円(2月2日マド空け水準)

世界株高の傾向の中で日本だけが取り残された格好。
円高のせいとしてしまえばそれまでだが・・・。
「どうしてウチの株だけが」という声も聞かれる。
NYは今年の最高値水準をキープ。
NYダウは先週毎日上げて6日続伸。
週間ベースでもNYダウは1.8%、S&Pは1.3%、NASDAQは1.0%のプラス。
「全人代終了後はPKOがなくなる」と言われた上海株も6日続伸。
一方の東京。
週間ベースでは、日経平均株価は1.3%安で2週続落。
TOPIXは1.0%安でこれも2週続落。
かろうじて東証マザーズ指数は0.5%高で5週続伸(41.7%上昇)。
日経ジャスダック平均は0.2%高で5週続伸(10.5%上昇)。
日経平均は「ダメ押し」という声も聞こえないではないが・・・。

日経のインタビューが目立った。
一つは投機家のジム・ロジャース氏。
「肝心なのは問題を直視すること。
競争力の衰えた企業をつぶし、負債を削減することだ。
だが政治家や当局はこうした痛みを避けたがる。
負債の増加がそもそも景気の重荷なのに、景気下支えを狙ってさらに負債を増やそうというから驚きだ。
アベノミクスは間違ったことをしている。
政府の債務はさらに増え、通貨安にもなっている、
歴史的に通貨安によって経済を中長期的に回復させた国はない」。
ロシアの短期国債やカザフスタンへの投資などどうでもいいが「通貨安で経済は回復しない」。
これは正論である。
そして浜田内閣参与のインタビューは「消費増税は賢くない」。
「消費税の再引き上げは見直した方が日本経済にとって安全と思う、
3党合意は前の船長が決めた話。
荒波がひどくなって日本経済が難破しそうになったらやっぱりやめた方がいい。
ここで無理に消費税を上げて日本経済が揺らぐと世界経済全体が怪しげになる。
IMFや世銀に出向しているのは財務省や日銀の人が多い。
省益のために日本経済は大変と宣伝している」。
これも正論。
そしてなぜかスイス大使になった本田内閣参与。
「消費増税を凍結する以外に道はない。
消費税率を現行の8%から7%に下げて国民に対スるメッセージを明確にする選択肢もある」。
どうも外堀は埋まってきた格好だが・・・。
止めるなら早くやめてというのが市場の声。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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