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【どう見るこの相場】マイナス金利と相場の行方


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■マイナス金利が必要なほど現実は悪いのかで相場急落、今後は徐々に評価へ

 日銀は初となるマイナス金利政策に踏み切ったが、発表後2日ほどは、「初物買い」で日経平均は上昇したが、その後は急落に転じている。マイナス金利は今後、マーケットにどのように影響してくるのか。

■ 「業績」、「利回り」、「チャート」の3要素で銘柄選び

<Q>マイナス金利政策が実施となったが、相場は好反応とはなっていないようだが。

<A>マイナス金利が発表された1月29日(金)の日経平均は終値で478円高と急伸、翌2月1日も364円高と続伸し2日間で計842円値を上げ、ここまでは好感だったといえる。しかし、翌2月2日(火)から5日(金)まで4日連続安となって合計下げ幅は1086円と、好感高を大きく上回る下げとなった。週末5日の終値は1万6819円と政策発表の1月29日(金)の終値1万8905円を下回り、差引きでみればマイナス金利政策は相場に対しプラスではなくマイナスの作用となっている。

<Q>なぜなのか。マイナス金利は株買いに繋がるはずと思うが。

<A>発表直後は、株買いや企業活動を刺激するだろうと判断された。しかし、マイナス金利政策まで発動しなくてはいけないほど足元の景気、企業業は良くないのか、ということから持株売りを誘発したようだ。

<Q>もう少し分かりやすく。

<A>株式投資には、言うまでもなく2つの狙いがある。1つは、インカムゲイン(配当金)狙いであり、もひとつはキャピタルゲイン(値上り)狙いで、キャピタルゲインは景気・企業業績の影響をモロに受けるため根本となる景気・企業業績が、マイナス金利を実施しなくてはいけないほど悪いのなら株価のキャピタルロスが発生する恐れがあるため足元の明るいうちに手持ち株を売っておこうという動きが出るためだ。

<Q>もう一つのインカムゲイン、つまり配当狙いはマイナス金利で有利となるのではないか。

<A>そのように思う。たとえば、10年物国債利回りは0.20%、これに対し日経平均採用銘柄の利回り平均は1.7%、東証1部全銘柄平均で1.8%となっている。10年国債との金利サヤは1.6%にも拡大している。遠からず、10年国債の利回りもマイナスに陥るだろうとみられている。当然、企業の預金金利も口座手数料アップで実質的に下がるだろうから、企業としては安い金利で借りて利回りのよい銘柄に投資することも考えられる。個人でも預金金利は下がる気配だから、株買いに動いてくるだろう。

<Q>だけど、景気・企業業績の先行きが良くないのなら配当以上に株の値下がりが心配ではないか。

<A>その通りだ、配当金以上に株価が値下がりしたのでは手を出さないほうがよい。しかし、すべての銘柄の業績が悪いということではないし、株価も底値圏に達し、それ以上の下値は乏しいという銘柄も多いはず。したがって、これからは、「業績」、「利回り」、「チャート」の3要素で銘柄をチェックして、業績が堅調で株価が下値水準にあり利回りが3%以上あるような銘柄を選んで投資するのがよいと思われる。グローバルマネーの世界では、金利の安い国で借りて、金利の高い国で運用するというやり方は活発だ。同じような発想で日本の個人も有利な投資対象を選考する時代になっている。これだけ、金利が低くなると、さすがにタンス預金ではダメだという意識改革につながるのではないかと思われる。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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