michi.jpg 《Eimei「みちしるべ」》


(2月1日から2月5日の週)

日銀がマイナス金利の導入を決定。
2014年10月の黒田バズーカ砲ほどではないだろうが速射砲くらいの影響はあろうか。
結果発表直後に急騰→急落→急騰のと大変動はそれぞれの解釈の相違。
銀行が貸し出しを増やすかどうかに対する疑問もあるということだろうか。
バブルで委縮し、リーマンで小さくなったバンカー精神が発揮できるかどうか。
それがここからの問題ではある。
とはいえ・・・。
市場は変化を求める場所。
しかも月末にはきっちり1月SQ値17420円を抜いたという事実。
2014年10月水準を下回れば日銀のメンツがたたないという読みは当たったことになる。
だからこそ金曜の東証1部売買代金は8月25日以来の4兆4317億円だった。
この1ヶ月で分かったことは、「やはり押してもダメなら引いてみな」の心理。
換言すれば「買ってもダメなら売ってみな」の簡単な手法。
上に限界があるのなら、一度引いて飼い葉を与える常套手段が発揮されたということだろうか。
因みに・・・。
日経平均は週間では559円高となり今年初の週間上昇。
週足では2週連続陽線となった。

先週末のドル円は日銀のゼロ金利導入を背景に121円台。
円売りドル買いの格好。
しかし同時に米10年国債利回りは1.922%と低下。
日本の10年国債が前日比0.1215%低下し0.095%になったことへの追随かも知れない。
史上初の0.1%割れである。
しかし、米国債利回りの低下がどうも不自然なのが気にかかる。
この先、FRBの追加利上げがないという読みだとしたら、リスクを取らない一方での株高傾向。
リスク重視とノンリスク重視のどちらかが間違っていると言わざるを得ない。
如月の進展とともにどちらが正しいのかが明らかになるのだろう。
少なくとも空売り比率が37%台まで低下したことだけは好感できる。
日銀のマイナス金利の導入という劇薬の副作用のレベル次第ということなのだろう。

長い眠りから覚めた過去3年。
しかしわずかな世界の動揺に一番大きく反応する場所が兜町となってしまった。
桃太郎だってカチカチ山だって悪者は成敗されるのが結末。
ツルの恩返しのような気持ちを持てば相場だって別の風景を見せてくれるもの。
そう考えたいところ。
そして・・・。
「北朝鮮の核実験でドーン、ワシントンでサクラが咲いたからさくらインターネット。
全部わかったよ」。
この気分を持ちたいものである。


日経平均想定レンジ

下限17420円(1月SQ値)〜上限20544円(8月18日窓開け水準)

主要国株式の1年後の売上高とEPSの推移を見てみると・・・。
日本(TOPIX):売上高2.7%増、EPS=11.2%増。
米国:売上高3.7%増、EPS=6.7%増。
ドイツ:売上高1.9%増、EPS=6.1%増。
英国:売上高1.1%増、EPS=1.9%増。
中国:売上高6.8%増、EPS=7.4%増。
世界全体でも売上高3.6%増、EPS=6.8%増。
所詮見通しであるから当然狂いもあろう。
いみじくも土曜の日経朝刊「大機小機」の「波乱の株価は何を語るのか」で指摘されてもいた。
「株式市場では多くの経験と研究が積み重ねられている。
そこから得られる教訓は
(1)専門家の見通しは頼りにならない。
(2)短期の予測は不可能。
(3)現在の短期的変動から長期を展望することも難しい。
つまり短期も長期も見通しの信頼性がない中で株価の未来を占うことすらナンセンスということ。
とはいえ、昔と違い我田引水的自己陶酔的予測影を潜めてもいる。
その中で圧倒的に全体的業績数字の伸び率が高いのは東京株式市場であることは間違いない。
もっともEPSは自社株買いや増配で分母を減らせば分子の業績が伸びなくても上昇する。
しかし売上高は中国の6%台、米国の3%台に劣るものの3%近い増加で減る訳ではない。
だったら、もっと自信を持って右往左往しないという選択肢が必要だろう。
人は株を買っている。
だがあまりにも株価に心理が左右され過ぎた時間が長すぎるような気がする。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

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