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【どう見るこの相場】売り越しの個人投資家の行方

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■今年の個人は6兆円超の売り越し、バブル相場からヤレヤレ、大手老舗企業の不祥事も響く

 個人投資家が年初から大きく売り越している。バブル相場で取得したときの利食い売りが中心とみられるが、大手老舗企業の相次ぐ不祥事も影響しているものとみられる。初心者参加のためには、発行及び流通マーケットのよりいっそうのクリーンさが求められる。

<Q>個人投資家が国内の株を売り継続のようだが、実際はどうなの。

<A>個人投資家は、2015年は年初、3月、6月、8月のそれぞれの月で若干、買い越した週があったほかはほぼ毎週売り越している。今年1月から差し引き6兆2000億円ていど売り越しているものとみられる。

<Q>証券大衆化といわれるのになぜ売り越しているのか。

<A>明確には分からないが、大きい流れでみれば、バブル相場のときに高値掴みしていた銘柄を20数年経った今、利食いしたりヤレヤレで売っていることがあると思う。とくに、バブル相場で痛い思いをした学習効果もあると思われる。

<Q>たとえば、どのような点か。

<A>今年8月の中国ショック安相場のときがよい例といえる。外国人売りなどで多くの銘柄が急落した相場だったが、その時、個人投資家は8月中旬から9月上旬にかけ4週連続で約1兆2000億円買い越したことが挙げられる。従来は、外国人投資家に振り回される展開だったが、今年8月の中国ショックでは外国人投資家売りを個人が一手に買い向かって成功した。年配者もスマホを使いこなして素早く売買している。従来に比べて、「どうしよう」ではなく、「決断」がずいぶん速くなったといえるようだ。

<Q>政府の個人投資家育成と逆行するのではないのか。

<A>NISAの導入、日本郵政3銘柄の上場など、政府は「貯金や不動産から株式投資へ」、力を入れている。ただ、この3年で日経平均は約2.8倍にも上昇しているので、8月のように大きく下げれば買うが上値を追ってまで買うことには慎重だ。それに、ここ数年、名門老舗企業に不祥事の続いていることも長期投資を慎重にさせていることも否定できないだろう。

<Q>どういうことが考えられるか。

<A>中長期投資に魅力を持たせるには、大きくは2つくらい考えられるだろう。1つは、中長期投資に魅力を感じられるようにすることだ。先ず、アベノミクス第2章に対し個人投資家が大いなる期待を持てるような策が求められる。また、法律改正は必要だろうが、預貯金のように長期に預金すれば利息が増えるように株式も長期に持てば配当金が増えるような制度も必要だろう。もうひとつは、発行及び流通マーケットをもっと公正透明なものとすることだろう。あれだけ、発行市場で大手有力企業に不祥事が続けば個人投資家は腰が引けてしまう。流通市場では相場操縦に対する大物仕手筋の逮捕などクリーンなイメージをよりいっそう進め株初心者にも安心して投資してもらえる雰囲気をつくることが大切だろう。

<Q>個人投資家に期待できるか。

<A>証券大衆化が国策となっている以上、長い目でみれば個人投資家の証券投資は増えるだろう。換金性に優れ、インフレにも強く、最近は増配企業も増えている、といった株の魅力があることは個人投資家は承知している。とくに、人口減少などで不動産投資などには魅力が薄く、株投資が老後を考えれば一番ということも承知している。今はいろいろな不祥事で足踏みといえるところだろう。この先、相場の下げる場面があれば個人は果敢に買いに出てくるだろう。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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【今日の言葉】『日本が産油国になる期待を込めて』

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 『日本が産油国になる期待を込めて』=東証1部上場のユーグレナ(コード番号2931)が、1日、羽田空港の倉庫内で記者会見を開いた。本紙の記者も参加、寒いからと配布された防寒チョッキとホカロンをまとい、「ミドリムシ燃料で飛行機を飛ばす」発表に臨んだという。

 ミドリムシは微細藻で光合成により栄養素を蓄え、生き物のように水中を動きまわるという変わり者。人体に必要な栄養素をほとんど含んでいるということでアメリカではスーパーフードとして急速に注目を浴びているといい、将来、世界の食糧難を解決できるであろうとして注目されている。また、油分を含んでいることから燃料としての開発実用化が進められており、既に、ユーグレナといすゞ自動車がディーゼル車用に試験走行を行っている。

 そして、このほど、ジェット機燃料用に目処がつき実証プラントを、環境・エネルギー分野の拠点形成を目指す横浜市の京浜臨海部に2017年前半の稼動開始を目標に建設すると発表した。横浜市、千代田化工建設<6366>、伊藤忠エネクス<8133>、いすゞ自動車<7202>、ANAホールディングス<9202>などとの提携で進めていく。

 まだ実証プラントで、飛行機燃料に必要な膨大な量ということではないが、今日のマーケットでは291円高の2015円と急伸している。しかし、年初来高値2177円(2月23日)を更新するまでに至っていない。既に、以前より同社の出雲充社長が「2020年の東京オリンピックではミドリムシで飛行機を飛ばす」と述べていたことから材料としては特別新鮮ということでもないからだ。「先行き日本が産油国になる期待があるというほどの大きい材料だが、今後、大量生産で価格をどこまで引き下げることができるかを株価は注視していくことになるだろう」(中堅証券)ということだ。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

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