【展望]
過去最大の貿易赤字でどうなる日本のモノづくり
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「日本株式会社」の2014年(1〜12月)決算は、輸出が73.1兆円、輸入が85.8兆円で差引きでは過去最大12.7兆円の赤字だった。月別でみれば昨年12月まで30カ月連続で赤字が続いている。


これだけの赤字なら普通の企業なら株価は大きく下げ、上場廃止の懸念さえ強まるところだ。もっとも、日本株式会社そのものには株券はないが、為替相場ではこの1年で20%近くも円安となっている。金融量的緩和だけでなく膨大な貿易赤字が円安要因として含まれている可能性はあるのではなかろうか。


一般的には円安となれば輸出が増えて貿易収支が改善されると教わってきた。しかし、今の日本にはこの教えは当てはまっていないように見える。円安になっても日本製品に魅力がないから輸出が増えないということなら由々しきことである。


モノづくりを放棄して金融立国として生きていく道を唱える向きもある。金融なら膨大な輸入原料も要らないから稼ぐ効率はいい。それも悪くはないだろうが、果たして日本がそれでいいのか。大事なところに来ているといえる。


アベノミクスではバイオ医薬品、ロボット、航空機、新素材などモノづくり強化が打ち出されている。再び、日本がモノづくりに磨きをかけ輸入原材料代を上回る輸出で稼ぐことが目標となっている。期待したいが、アベノミクス成長戦略が結実しないと貿易赤字が継続し日本のモノづくり不要論に結びついてしまう心配がある。


モノづくり盟主のトヨタ自動車はモノづくりにいっそう磨きをかけ、同時に金融収支でも稼いでいる。良き手本が日本にはある。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)

2月相場のビッグ・イベントの「春節」を先取りしインバウンド
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ビッグ・イベントが目白押しである。日米両市場では主力企業の決算発表がスタートし、1月22日には欧州中央銀行(ECB)の理事会が開催され、25日のギリシャの総選挙、26日のわが日本の通常国会召集、30日の米連邦準備制度理事会の公開市場委員会(FOMC)開催などと続く。こうしたイベントに対するマーケットの反応は通常、通過前には期待を高めて買い上がり、通過後は、織り込み済み、材料出尽くしとして反落する「理想買い、現実売り」の相場展開となる傾向がある。


今回の決算発表も、序盤はまさにこの傾向を示していた。日米両市場とも、決算発表を受けて業績相場の発進が期待されたが、米国市場では、原油価格安とドル高の影響もあって個別企業の業績の好不調、株高・株安はマダラ模様にとどまっている。東京市場でも、東京製鐵<5423>(東1)、日本電産<6594>(東1)、安川電機<6506>(東1)、NOK<7240>(東1)の主力4銘柄が、今3月期業績の上方修正や増配、自己株式取得までを発表したが、直後の株価反応は、安川電機の株価のみが好感高する「1勝3敗」の負け越しで、その後、前週末までに残り3銘柄も、安値水準から持ち直す動きとなったものの、これからラッシュとなる3月期決算会社の第3四半期(4〜12月期、3Q)業績の発表が、すでに織り込み済みとして売られるのか、それともそれを上回るサプライズが飛び出して業績相場発進をサポートするのか決めかねる一筋縄では行かない難しさを垣間みせた。

さて、早いものでアッという間に2月相場である。あと3日で実質月替わりとなる2月相場は、またまた月初商いが2日からスタートする「二日新甫」である。「二日新甫」は荒れるとする兜町のアノマリーのなかで、このアノマリーをハネ返して期待を高めて買い上がれるイベントといえば、まず中国の「春節」、旧正月が注目される。今年の「春節」は2月15日で、この前後には30億人超もが民族大移動する「春運」が起こる時期となっており、このホンの一部でも日本への観光旅行に振り向けてくれれば、大きなインバウンド(外国人旅行客)消費が期待されるからだ。


このインバウンド消費は、日本政府観光局(JNTO)が、今年1月20日に昨年2014年の年間訪日外客数の推定値を発表したことで関連株の買い材料となり、高値追いとなる銘柄が続出した。年間の訪日外客数が、前年比29.4%増の1341万人と続伸し連続して過去最高を更新し、この国内消費額が、同43%増の2兆305億円に達し、同消費は統計上は輸出にカウントされ、「観光立国」の文字通りに新たな優良輸出産業につながるとコメントされたことに反応したものだ。昨年の訪日外客数の国別内訳では、中国は、過去最高の240万9200人となり、旅行者数の実数では、台湾、韓国には及ばず3位となったが、前年比伸び率では、83.3%増と台湾の28.0%増、韓国の12.2%増を圧倒的に引き離した。昨年10月に消費税の免税商品が、化粧品や日用品まで拡大され、「メイド・イン・ジャパン」商品への購買意欲が広がりをみせたことなどが要因となった。


もちろんこの「春節」に伴うインバウンド消費の特需は、すでに関連株の株価に織り込み済みとなっている可能性も捨て切れない。しかし、今年1月19日からは、外務省が中国人旅行客に対する数次ビザの発給要件緩和の運用を開始する追い風もある。また、JNTOは、2月18日に今年1月(月間)の訪日外客数の推計値を発表するほか、毎月月央に前月の推計値を発表する予定にある。今年2015年の訪日外客数は、1500万人超に続伸すると期待されているが、この期待を上回るサプライズが飛び出さないとも限らないのである。インバウンド消費関連株に強気姿勢を継続して正解となりそうだ。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
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