【どう見るこの相場】まさか100年ぶりの通貨戦争?!


まさか100年ぶりの通貨戦争?!逆張りの逆張りもオーケーならSPA株など円高メリット株で力試し
 
 
まさかあの1920年代から1930年代まで繰り広げられた平価切下げ競争の再現ではないだろうとは信じたい。平価切り下げ競争とは、当時の金本位制のもとで各国が禁止していた金輸出を再開するのに当たり、金兌換のレートをどうするかで各国が駆け引きし、先行した欧米諸国が新平価で解禁したのに対して、五大国の一角を占めた日本が、最後発で解禁に踏み切ったものの、そのレートを禁止前の旧平価としたため大量の円売り・ドル買いを浴び、昭和恐慌後、関東大震災後の経済混乱に拍車を掛け、世情騒然のなかテロ事件が続発し、軍部の大陸進出の暴走につながった。およそ100年前の通貨戦争、近隣窮乏化政策である。
 
 しかしである。足元でも油断できない。2022年3月以来、先進各国の中央銀行が、インフレ抑制のために前掛かりとなって政策金利の引き上げを続けてきたからだ。このため異次元金融緩和策を堅持した日本と米国の金利格差が拡大し、円売りはもちろん、日本売りまで懸念させた。為替相場は一時、1ドル=150円台まで急速な円安・ドル高となった。この円安は、折からのエネルギー価格の急騰と重なった輸入物価上昇の影響を受けて消費者物価と企業物価が急上昇し、なお値上げラッシュが途絶えない。
 
 さすがに日本銀行も、2013年4月4日に発動して以来ほぼ10年続けてきた異次元金融政策をそのままとするわけにはいかず、昨年12月に開催した金融政策決定会合では、長期金利の変動許容幅の上限をプラスマイナス0.25%からプラスマイナス0.5%に引き上げた。株価は、日経平均株価がその後3日間で1100円超も急落したが、為替相場は、1ドル=132円台まで円安・ドル高となった。
 
 今年1月17日、18日開催の金融政策決定会合では、事前に異次元金融緩和策の再修正が観測されていたのが、現状維持のややサプライズとなって日経平均株価は652円高と急続伸したが、為替相場は、1ドル=127円台から前週末20日の米国市場で129円台に円安・ドル高となって返ってきている。
 
 およそ100年ぶりに平価切り下げ競争、通貨戦争の再現が懸念されるのは、この中央銀行イベントがこれっきりで打ち止めにはならないからである。1月13日、2月1日に開催予定の米国のFRB(連邦準備制度理事会)のFOMC(公開市場委員会)でも、政策金利の引き上げ幅が市場のボラティリティを高めると見られ、2月早々には、今年4月8日に任期満了となる黒田東彦総裁の後継人事案が国会に提出される予定で、後継総裁次第で異次元緩和策の出口戦略観測が高まり、3月9日、10日には黒田総裁の任期最後の金融政策決定会合が控えている。
 
 株価は、日銀イベントのたびに関連株が高安マチマチと乱高下した。昨年12月の金融政策決定会合後は、円高メリット株や金利上昇メリット株の銀行株が急騰して円高デメリット株の輸出株や金利上昇デメリット株の不動産株が売られ、今年1月の会合後は、円高メリット株や銀行株が売られ、円安メリット株のハイテク株や不動産株などが買い戻されなど、それぞれ逆張りの逆張りが続いた。
 
 要するに中央銀行イベントが続く中、新年相場の方向感はまだ定まっていないということだろう。しかし今年4月に天下分け目の統一地方選挙を迎え、内閣支持率が組閣以来の最低水準に張り付いたままの岸田文雄首相にすれば、昨年12月の消費者物価が前年同月比4.0%と41年ぶりの上昇率となり、企業物価も9カ月連続で過去最高を更新し企業業績への直撃が懸念されているなか、物価上昇問題が政治問題化することは何としても回避したいと「聞く力」を発揮するかもしれない。ということならここはまず円高メリット株や金利上昇メリット株を逆張りし、新年相場の方向性に探りを入れて腕試し・運試しする投資スタンスも一考余地があるはずだ。
 
 今週の当特集では、円高メリット株のうちSPA(アパレル製造小売業)、SPF(家具製造小売業)、SPS(靴製造小売業)などの企画・製造・販売を垂直統合するビジネスモデルの製造小売株に注目した。SPAの代表のファーストリテイリング<9983>(東証プライム)は、素材高、輸送費高騰、円安進行などを理由に昨年秋冬物を値上げしたのに続き、今年春夏物の値上げも発表したが、今後の為替動向次第では値下げの可能性もないとはいえない。100円・300円ショップ株も含め、関連株の再浮上を期待したい。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)
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