【どう見るこの相場】リスク回避の円買い進行なら逆行高素地


■リスク回避の円買い進行なら逆行高素地の円高メリット株は要マーク
 
微妙な言い回しが晦渋な「月例文学」そのものといっていい。内閣府が、前週末24日に公表した5月の月例経済報告である。分かったようで分からない。景気判断は下方修正したのに、景気認識そのものは据え置いて、「緩やかに回復している」とした。「下方修正」と「緩やかな回復」が、どことどこで折り合いをつけているのか、すんなりとは頭に入ってこない。だから一部に7月の参議院選挙や今年10月の消費税増税を控えて、政権与党に有利になるようにまた政治的な「忖度」が働いたのでないかなどといううがった見方が出ると、ついつい同調してしまいがちになる。
 
 そういえば、同じく内閣府が、今年5月20日発表した今年1〜3月期の実質国内総生産(GDP)の成長率も、22日に発表した3月の機械受注(「船舶・電力を除く民需」)も、市場予想ではマイナス転換、横ばいと観測していたのが、裏をかくように連続プラスとなった。この両景気指標の株価感応度といえば、実質GDPの連続プラスは、輸出の減少以上に輸入が減った外需寄与度による「統計マジック」によるもの、また機械受注も、製造業が大きく落ち込んでいるとして、いずれもダウン・サイドの反応となった。きょう週明けのマーケットの反応が、分かりにくい5月の月例経済報告をもう少し分かりやすく噛み砕いて消化してくれることを願うばかりである。
 
 分かりにくいといえば、円高・ドル安の進行も、国内居住者の一般的な感覚からは程遠い。リスク回避局面では、安全資産として円が買われるというのである。安全資産といえば国債であり、実物資産の裏付けのある金先物である。しかし、景気回復の実感が薄れて景気判断が下方修正され、10月に予定している消費税増税の雲行きも怪しくなっている円に果たして買い余地があるのか首を傾げたくなる。ただ確かに、米国市場で、安全資産の10年物国債が買われて長期金利が低下し、日米金利差が縮小し投機資金が円買いに向かう価格メカニズムは働いてはいるようである。このメカニズム通りとすれば、FRB(米連邦準備制度理事会)が今後、6月、7月、9月、10月と予定しているFOMC(公開市場委員会)で利上げよりもむしろ利下げの可能性が観測されているだけに、前週末の海外市場で1ドル=109円台まで買われた円相場は、さらに円高に進む確率は高まることになる。
 
 しかも、前週末25日に令和初の国賓として天皇陛下への会見のために来日し、大相撲を観戦し土俵に上がって優勝力士に特注の優勝杯まで手渡した米国のトランプ大統領は、6月中旬から大統領選挙に向けた再選キャンペーンを開始すると伝えられている。これまで以上にFOMCのたびにパウエルFRB議長に利下げ圧力を強めることは間違いない。また滞日中の日米首脳会談でどんな対日為替条項をつきつけ訪日の手柄話として誇示するかもしれず、この確認も不可欠である。
 
 よく分からない円高・ドル安進行だが、仮にこの想定シナリオ通りに為替相場が動くとすれば、やはり全般相場に逆行高する素地のある円高メリット株へのマークは怠れない。円高メリット株の大本命は、ファーストリテイリング<9983>(東1)との見方もあるが、それ以外にも関連株が想定され、幅広く目配りする必要がありそうだ。
 
――――信用好需給のファミレス形態の外食株はTPP・EPAの発効も追い風――――
 
 円高メリット株でまず注目したいのは外食産業で、なかでも主にファミリーレストラン形態の外食株である。例えばサイゼリヤ<7581>(東1)は、今年4月10日に今2019年8月期業績を下方修正したが、この下方修正要因に働き方改革に伴う人件費負担増、物流費の上昇、原油高を背景とした光熱費のアップ、全店・全席禁煙化の準備費用などとともに、円安による食材費の高騰を上げている。円高の進行は、この下方修正要因を一部カバーすることが想定される。しかも原油価格も、米中貿易摩擦の激化による世界的な景気減速・需給悪化懸念でやや下ぶれ傾向を強めており、ダブルに恩恵を享受する可能性もある。
 
 株価は、同時に今年4月の既存店売上高が、13カ月連続で前年同月を下回ったことも響いて窓を開けて2034円安値まで急落したが、悪材料出尽くし感と信用取組が売り長で逆日歩のつく好需給から売り方の買い戻しも交錯して10連休明け後に年初来高値2574円へ急伸した。円高メリット人気を膨らませなお上値チャレンジが見込まれる。
 
 このサイゼリヤと同様にファミレス業態の外食株は、すかいらーく<3197>(東1)からサンマルクホールディングス<3395>(東1)、ゼンショー<7550>(東1)、ロイヤルホールディングス<8179>(東1)まで株価水準は年初来高値近辺と年初来安値水準と違いがあるものの、いずれも信用取組が均衡し、過半の銘柄には逆日歩がついている。また環太平洋パートナーシップ協定(TPP)や日EU経済連携協定(EPA)の発効も追い風となり、もちろん仮に消費税増税が、3度目の延期となれば逆転満塁ホームランとなる潜在材料もある。売り方のショートカバー主導で上値追いも想定されるところで、信用残をウオッチしつつヒット・アンド・アウェーの機敏対処も一考余地がある。
 
――――大本命のファストリなどSPA株に加え輸入商社株も上値チャレンジ――――
 
 もちろん円高メリット株の大本命のファーストリテイリングと並んで、定番銘柄も外すわけにはいかない。フアーストリテイリングと同業態のSPA(製造小売り)株として、アパレルのアダストリア<2685>(東1)、ユナイテッドアローズ<7606>(東1)、しまむら<8227>(東1)、靴のエービーシー・マート<2670>(東1)、雑貨の良品計画<7453>(東1)、家具のニトリホールディングス<9843>(東1)などの主力株である。
 
 このほか小型株では、海外商材の輸入商社の綿半ホールディングス<3199>(東1)、中山福<7442>(東1)、アドヴァン<7463>(東1)、ドウシシャ<7483>(東1)、正栄食品工業<8079>(東1)、日本電計<9908>(JQS)、杉本商事<9932>(東1)、ECサイトで開発輸入品を取り扱うビューティーガレージ<3180>(東1)、ジェネレーションパス<3195>(東マ)なども要マークである。円高による航空旅客増と原油安による航空燃料費軽減の恩恵を受ける日本航空<JAL、9201>(東1)とANAホールディングス<9202>(東1)も、浮上する展開もありそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
 


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