【どう見るこの相場】三日新甫の10月相場の「希望の木」


 
■三日新甫の10月相場の「希望の木」は2Q業績上方修正銘柄の通期業績動向
 
いよいよ10月相場である。東京市場が連休中の前週末23日にダウ工業株30種平均(NYダウ)が、年初来安値に急落するなど世界同時株安の様相を強めてきたなかでの年度相場の折り返しである。しかも荒れるといわれる「二日新甫」を上回る「三日新甫」相場で、3日が月初商いとなる。もちろんこの「荒れる」には、下にも荒れるが、逆に上にも荒れる含意がある。ただ日米の金融環境、景気センチメントからすると、9月終盤相場の「リスクオフ」が「リスクオン」へ様変わりして上に「荒れる」と期待するのは、よほどの神風が吹かない限り無理筋だろう。
 
 そうした相場環境下で、市場の落ち着きとともに数少ない「希望の星」となるのは決算発表である。2月期決算会社、3月期決算会社、12月期決算会社が、それぞれ相次いで第2四半期(2Q)業績、第3四半期(3Q)業績を発表してくる。3月期決算会社では月初にあみやき亭<2753>(東証プライム)とアドヴァングループ<7463>(東証スタンダード)が決算発表一番乗りを競って露払い役を演じ、続いて安川電機<6506>(東証プライム)が2月期2Q決算発表で追随し、3月期決算会社の主力株では日本電産<6594>(東証プライム)がトップバッターとなり、それをどう投資判断するか決算プレイのお決まりコースで、業績相場の方向性とスケールが瀬踏みされる。
 
 今年7月以降の第1四半期(1Q)決算発表では、業績の上方修正のオンパレードであった。この上方修正銘柄が、この2Q決算発表で再度、上方修正してくれば、全般相場がなお下に荒れても、好業績の個別物色で市場センチメントを下支えしてくれることが期待できる。いわよる「木を見て森を見ない」選別物色相場である。ただ中国経済の不調がまだ続き、ウクライナ情勢の緊迫化は変わらず、為替相場と原材料価格もなお不透明なままで、今度は下方修正の続出も懸念されている。それだけに業績の再上方修正に踏み切る銘柄が出てくるならば、「希望の星」ならぬ「希望の木」となる。
 
 そうした業績再上方修正の可能性銘柄として、今週の当特集で「希望の木」として注目するのは、7月以降の上方修正で、今期2Q業績を上方修正したものの、通期業績は期初予想の据え置きとした銘柄である。その大多数は、下期後半の為替相場や原材料価格の動向が不透明として慎重に見込んだための通期業績の期初予想の据え置きであり、そこから2カ月を経過して見通しも立って通期業績を再び上方修正する余裕がより残っているとみられるからである。
 
 その有力候補株の一つに例えばセントラル硝子<4044>(東証プライム)があげられる。同社株は、今年8月1日に今2023年3月期2Q業績を、化成品事業の好調推移から上方修正し、純利益を期初予想の65億円から90億円に引き上げた。次いで今年9月に政策保有株式売却の寄与で150億円に再上方修正したが、期初予想の通期純利益250億円(前期は398億4400万円の赤字)は精査中とした。株価は、2Q業績上方修正で年初来高値3655円に急伸し、3連休前には旧村上フアンド保有株の株式公開買付(買付価格3500円)が響いて突っ込んだ3235円安値から150円高と持ち直しており、通期予想純利益に対する2Q純利益の進捗率60%からも11月1日予定の2Q発表時の通期業績動向が注目されることになる。
 
 この2Q上方修正銘柄には、いくつかの割安クラスター(群れ)がある。セ硝子と並ぶ化学株、専門商社株、ハイテク株などである。さらに2Q業績の上方修正とともに配当を増配した銘柄、さらに超割安水準に放置されたままの小型株なども控える。2Q決算発表予定日をウオッチしつつ、先取り対応も一法となりそうだ。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


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