【どう見るこの相場】半導体株が相場をけん引!


 
■半導体株が相場をけん引!日経平均は3万円台をキープできるか?
 

■半導体株は「岸田銘柄」になるか?
 
 まるで「半導体株に非ずば株に非ず」のセンチメントである。指数寄与度の大きい値がさの半導体株が牽引して、日経平均株価が、2021年9月以来、1年8カ月ぶりに3万円の大々台を回復したと思ったら、前週末19日にはバブル相場崩壊後の高値まで更新した。海外投資家が、半導体株のロットと値幅で荒稼ぎしているのである。しかも、岸田文雄首相がこれを煽っているフシもありありだ。
 
 岸田首相は、5月18日に主要7カ国(G7)首脳会議(広島サミット)開催のために羽田空港から広島に飛び立つ前に、首相官邸で海外半導体メーカー7社の経営トップと面会し積極的な対日投資と日本企業との連携を要請した。経営トップらもこれに応じ、マイクロン・テクノロジーのサンジェイ・メロートラ最高経営責任者(CEO)は、2022年11月に量産を開始した同社の広島工場(広島県東広島市)に今後5年間で最大5000億円の投資を行うことを表明した。広島県は、岸田首相の地元である。岸田首相と広島経済、広島県民へ最高のエールとなるとともに、「半導体株は岸田銘柄」を印象付けた。
 
 振り返えれば、前回2021年9月の日経平均株価の3万円台乗せも、政策・政局絡みであった。菅義偉前首相が、自民党の総裁選挙への不出馬を表明し、総裁選に立候補した4名の候補者に対する政策期待がカタリスト(株価材料)となった。岸田候補も、「成長と分配の好循環」による日本型資本主義を目指すとアピールし、半導体、AI、量子、バイオなどの先端科学技術の強化などを打ち出し、総裁の座を射止めた。半導体戦略は、その後「半導体・デジタル産業戦略」の政策指針となり、国内の半導体拠点整備に2兆円を投じることになり、経済安全保障の大きな柱の一つとなった。
 
■6月の政治・経済スケジュールがカギを握る
 
 この政策関連の半導体株の一本足打法だけで、日経平均株価が3万円台に乗せてきたのは驚くほかない。この過程では日々の値下がり銘柄数が、値上がり銘柄数よりも多く、景気敏感株や内需関連のバリュー株のなかには値を崩す銘柄も目立った。いわば短期的な勝ち組、負け組の二極化である。問題は、この3万円台回復が通過点か、ゴールかということになる。半導体株も、息切れするのかクライマックスがまたまだ残っているのかが問われることになる。前週末19日の米国市場では、SOX(フィラディルフィア半導体株指数)が、0.62%安と反落した一方、マイクロン・テクノロジーの株価は0.89%高と3日続伸しており、これをどうみるかにも関係する。
 
 ただ、これについても広島サミット後の政治・経済スケジュールに照らし合わせると別の側面も浮上する。6月15日、16日に開催予定の日銀の金融政策決定会合での金融政策動向、巷間噂される広島サミット後の解散・総選挙、あるいは内閣改造などの政局動向、さらには今回の広島サミットに参加したウクライナのゼレンスキー大統領のサプライズによるロシアとの和平交渉進展に伴う世界的な「平和の配当」特需期待などがカギを握ることになり、このいずれもが吉に出ることになれば、相場の一段のスケールアップは絵空事にはならない可能性もある。
 
 現に前週末19日は、海外投資家に買い遅れた市場参加者が、二番手銘柄として出遅れ半導体株に買いを入れJSR<4185>(東証プライム)、東京応化工業<4186>(東証プライム)、平田機工<6258>(東証プライム)、村田製作所<6981>(東証プライム)などが年初来高値を更新しており、符合しそうである。また寄り付きに年初来高値を更新したあと後に大幅反落したアドバンテスト<6857>(東証プライム)は、大引け後に株式分割を発表した。
 
 そこで今週の当特集では、岸田政策関株としてまだエネルギー蓄積中の出遅れの二番手、三番手の半導体関連株を深掘りするとともに、マイクロン景気に湧く岸田首相の地元の広島県に本社を置く広島関連株へのプラス1の関連人気波及に注目した。先行した海外投資家と買い遅れた国内投資家の「競争と協調の好循環」を期待するところだろう。(情報提供:日本インタビュ新聞社・株式投資情報編集部)


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