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【2017年の波乱要因を探る】


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世界経済に与える負の影響とは?

■株式市場から債券市場に逆シフトする可能性も

 2017年の波乱要因は多彩だ。政治面では世界的なポピュリズムや自国第一主義の台頭、移民・難民問題の深刻化、フランス大統領選挙やドイツ連邦議会選挙などEU主要国における政権交代懸念などがある。また地政学リスクとしては世界的なテロの激化、米ロ接近による対中国の強硬政策や関係緊張などに注意が必要となる。

 経済面では「トランプノミクス」が世界経済に与える負の影響として、保護通商政策への傾倒による世界貿易の縮小と世界経済の停滞、ドル高に伴う新興国からのマネー流出による通貨危機懸念や世界経済への悪影響、米財政支出拡大に伴う米財政悪化懸念と急速な金利上昇などが警戒される。

 もちろん「トランプノミクス」の柱となる減税や財政支出が小幅にとどまった場合、あるいは米国内での生産・雇用の拡大が進展しない場合には大きな失望感が広がることになる。中国に関しては人民元の下落、外貨準備高の減少、不動産バブルの崩壊、過剰設備解消の負の影響、成長率の鈍化、沿岸部と内陸部の格差問題、米国の対中国政策強硬化による政治的緊張、南シナ海における地政学リスクなど、懸念材料に事欠かない。また世界的に金利上昇が加速した場合には、金利がある程度の水準に達したところでマネーが株式市場から債券市場に逆シフトする可能性がある。

 日本経済に関しては、米国の景気拡大やドル高・円安進行は日本の輸出企業にとって恩恵が大きいと一般的には考えれるが、そもそも米国ファーストの米景気拡大によって、本当に日本経済が直接的に大きな恩恵を享受できるのかという懐疑的な見方が燻ぶる。

 トランプ次期米大統領が通商政策や通貨政策で日本を敵視する可能性は小さいという見方が多いようだが、保護通商政策への傾倒は日本や新興国からの輸入関税や数量規制に繋がらないのか、米国内での生産拡大を迫られた場合に日本の国内空洞化に拍車をかけることにならないか、といった懸念が十分に払拭されたわけではない。

■国内では日銀の出口戦略が波乱要因

 国内では2017年も「トランプ・ラリー」による米国株高とドル高・円安連動以外に好材料が見当たらない状況だ。

 安倍総理の経済政策「アベノミクス」が既に忘れられた状況であり、抜本的な構造改革に踏み込めない状況が続いている。日銀の異次元金融緩和政策の限界も指摘されている。年内に衆院解散・総選挙が予想されているが、争点に欠けるため現時点では特に好材料とも考えられない。同一労働・同一賃金などの働き方改革は、短期的には企業にとって人件費負担が増す形となりそうだ。

 国内の波乱要因としては、2018年4月に黒田日銀総裁の任期切れを迎えるということもあり、世界的な金利上昇を受けて、日銀の異次元金融緩和策の出口戦略が意識され始めた場合の市場への心理的影響が注目点となる。

 日銀は早ければ2017年春にも、国債やETFの買い入れ規模を縮小するテーパリングに向かうとの見方もある。株価形成を歪めているとの批判も多い日銀のETF買い入れだが、日本株の下値を支えてきたETF買い入れ規模を日銀が縮小することになれば、日本株は最大の買い手を失うことになりかねない。(提供:日本インタビュ新聞 Media-IR)


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