【株式・為替相場展望】

全体としてモミ合い展開、トヨタ自動車の株価動向が焦点

 5月11日〜15日の株式・為替相場は、全体としてはモミ合い展開を想定する。8日の米国株の大幅上昇を受けて11日の日本株も大幅高でスタートしそうだ。ただし重要イベントを通過して当面は決算発表以外でやや材料難となるだけに、引き続き決算発表絡みでの個別物色が中心で、全体として買い一巡後は上値が重くなりそうだ。8日に決算を発表したトヨタ自動車<7203>の株価動向が焦点となる。

 8日発表の米4月雇用統計で、非農業部門雇用者数は前月比22.3万人増加となり、市場予想の同22.4万人増加とほぼ同水準だったが、3月改定値8.5万人増加(同12.6万人増加から下方修正)に比べて大幅改善した。失業率は同0.1ポイント低下の5.4%で、08年5月以来の低水準に改善した。

 この結果を好感して米国株は大幅に上昇した。第1四半期(1〜3月)は悪天候、米西海岸の港湾労働争議、ドル高、エネルギー関連分野の投資抑制などが影響する形で米GDPが低水準だったが、4月の雇用統計が改善したことで第1四半期の米景気の停滞は一時的との見方が優勢になった。時間当たり賃金も前年同月比2.2%増加したため、米景気は順調として米FRB(連邦準備制度理事会)が年内に利上げを開始するとの見方も強めた。

 このため週初11日の日本市場でも警戒感が後退し、日本株は大幅高のスタートとなりそうだ。焦点は8日に15年3月期決算を発表したトヨタ自動車の16年3月期予想と自己株式取得に対する反応だろう。16年3月期予想がややインパクトに欠けるだけに、自己株式取得を好感するのかが注目され、市場全体に与える影響も大きくなりそうだ。

 米債券市場と外国為替市場では、米4月雇用統計に対する反応が限定的だった。ただし米10年債利回りは2.1%台までジワリと上昇して、米FRBの12月利上げ開始を睨み始めた印象だ。

 外国為替市場では、ユーロ圏の金利上昇でユーロ買い戻しの動きが強まる中で、日銀の追加金融緩和に対する期待感がやや後退し、ドル・円相場は1ドル=119円〜120円近辺でのモミ合いが続いている。

 日米欧の金融政策の方向性の違いを背景に、大勢としてドル高・円安方向の流れに変化はないが、引き続き米国の主要経済指標や企業業績を睨みながら米FRBの利上げ開始時期を巡る思惑が交錯して、ドル・円相場はモミ合い展開が続きそうだ。

 16年3月期の国内企業業績見通しに関しては、過大な期待感を修正する動きも出始めそうだ。14年4月の消費増税の影響一巡、賃金上昇による消費マインド改善、外国人旅行客のインバウンド消費、レジャー消費、株高による資産効果の高額消費などで内需の活況が期待されるものの、米国や中国の景気に対する不透明感、ギリシア問題に対する不透明感、為替の円安進行一服に加えて、原油価格が底打ちして上昇傾向を強めているだけに、主要企業の慎重な業績予想に対して増額期待が高まらない状況だ。

 今週は大手ゼネコン、メガバンク、大手不動産などの決算発表が相次ぐため引き続き個別物色が中心だろう。ただし主要企業の決算発表一巡後はやや材料難となる。日銀によるETF買いや年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による日本株買いが引き続き安心感に繋がるが、一方ではギリシア問題も警戒され、全体としては上値が重くなりそうだ。IPOの空白期間となることも考慮すれば、新興市場を中心に出遅れ銘柄の見直し買いに注目したい。

 その他の注目スケジュールとしては、11日のユーロ圏財務相会合、11日〜12日のG7エネルギー相会議、12日の日本3月景気動向指数、EU財務相理事会、13日の日本3月国際収支、日本4月景気ウォッチャー調査、ユーロ圏1〜3月期GDP速報値、米4月小売売上高、14日の日本4月マネーストック、15日の日本4月企業物価指数、米4月鉱工業生産・設備稼働率、米5月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米5月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

 その後は、5月21日〜22日の日銀金融政策決定会合、5月27日〜29日のG7財務相・中央銀行総裁会議、6月3日のECB(欧州中央銀行)理事会、6月7日〜8日のG7首脳会議、6月16日〜17日の米FOMC(連邦公開市場委員会)などが予定されている。

(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR アナリスト水田雅展)

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