《マーケットストラテジーメモ》08月3週

【推移】

14日(月):
10日のNY株式市場は大幅安。S&P500の下落率は1.4%、NASDAQは同2%超。「米朝間の緊張激化に伴い、ハイテク株中心にリスク資産を売る動きが拡大」との解釈。トランプ大統領の北朝鮮に対する「炎と怒りに直面する」との前日の警告。あれが「十分に強硬でなかった」可能性があるとの発言を悪材料視した格好。VIX(恐怖)指数は16.04まで上昇。トランプ大統領選以来の高水準となった。週末11日のNY株式市場では主要3指数がそろって4日ぶりの小幅反発。7月の消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は0.1%上昇。市場予想の0.2%に届かなかった。FRBが年内再利上げに慎重な姿勢を示す可能性の材料と解釈された。
VIX(恐怖)指数は15.51まで低下した。北朝鮮問題は進展なし。

一方で「企業業績が好調で金利が低水準ならば市場は北朝鮮情勢をそれほど深刻に受け止めないだろう。株価は引き続き上昇する可能性がある」という声も聞かれた。週足ではS&Pが1.4%、ダウが1.1%、NASDAQが1.5%の下落。S&P総合500採用企業の2017年第2四半期決算は前年同期比12.0%の増益見通し。
エネルギーセクターを除いた増益率は9.3%。これまでに500社中455社が第2四半期決算を発表。利益がアナリスト予想を上回った企業の割合は73.6%。長期平均の64%、過去4四半期の平均の71%を上回っている。S&P500採用企業の今後4四半期の予想PERは17.6倍。

3連休前の日経平均株価は地政学リスクの高まりと円高トレンドを受けて小幅に3日続落。「3連休前らしい神経質な展開。北朝鮮リスクを手掛かり材料とした短期的な売り仕掛けもあったろう」という声も聞こえる。「週足では三角保ち合いを下放れしそうな形状となっているため円高進行への警戒は必要」という見方もある。

日経平均は週間では約222円、1.1%の下落で4週続落(累計1.9%下落)。週足は陰線。TOPIXは0.9%安で2週ぶり反落。東証マザーズ指数は3.5%安、3週続落(累計9.4%下落)。全体の97.7%が通過した4〜6月期決算企業の業績。4〜6月売上高は7.5%増、経常利益は23.4%増、純利益は33.2%増。通期売上高は5.2%増、経常利益は6.6%増、純利益は13.6%増の見通し。

「上場企業の業績が一段と上向く」というのが金曜日経朝刊の表現。「期初見込みを3ポイントほど上回り、2期連続で過去最高になる」。それでもPERは14倍割れだから、市場は希望と未来を感じていないということになる。空売り比率が40%台というのも業績を信じていないことの裏返しなのかも知れない。
自動車セクター増益、電機セクターの利益拡大。足元を見ずに見えないものの呪縛にとらわれるのは東京市場の特質でもある。

因みに2018年3月期上場企業の5社に1社が過去最高の純利益になる見通し。運輸、ゼネコン、食品など内需企業も健闘しているとの味方。「値上げによる単価上昇で採算改善する企業が目立つ」という活字も滲んで見えてきそうだ。4〜6月期実質GDP速報値は1.0%(年率4.0%)で着地。前期は1〜3月は年率換算1%だったから本来は相当なサプライズだ。予測平均値は前期比年率2.24%増と6期連続プラス成長の見通し。名目GDPは1.1%(年率4.6%)で着地。

週明けの日経平均株価は3ケタの下落で4日続落。一時19500円を割り込む場面もあった。しかしそこから売り叩く動きは見られず。むしろ「押し目買い」的な展開も散見された。「今年の続落は4日まで」のアノマリーが活用されたのかも知れない。日経平均株価は192円安の19537円と4日続落。TOPIXは18.19ポイント安ンの1599.06ポイント。6月16日以来の1600ポイント割れとなった。「北朝鮮情勢を巡る地政学上のリスクが意識され、幅広い銘柄に売りが出た」との解釈。上値は重かったが下落局面で押し目を拾う動きもあり下げ渋る場面もあった。

東証1部の売買代金は2兆5731億円。新高値66銘柄に対し新安値117銘柄と逆転。石川製、シード、資生堂、PCDEPO、TYK、ネクソンが上昇。川田TECH、アイフィス、タチエス、カドカワが下落。
日経ジャスダック平均、東証マザーズ総合はともに3日続落。マザーズ総合は一時2%超える下落で、終値で5月19日以来、約3カ月ぶりの安値。

15日(火):
週明けのNY株式市場は続伸。NYダウは一時160ドル以上の上昇となり、22000ドルを回復する場面もあった。NASDAQ総合株価指数は大幅続伸。フェイスブックやアマゾンといったネット関連株が軒並み上昇。半導体関連株への買いが活発となった。

S&P500は1%超の上昇。背景は北朝鮮問題について外交的な解決を目指す方向が見え始めたこと。CIA長官は「米国が北朝鮮と核戦争に突入することを示唆する兆候はみられない」とコメント。ティラーソン国務長官とマティス国防長官は連名でウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿。「北朝鮮に外交及び経済的な圧力をかけ、不可逆的な朝鮮半島の非核化と弾道ミサイル開発計画の解体を目指している」とコメント。北朝鮮情勢の軍事衝突への懸念が後退する要因となった。

ニューヨーク連銀のダドリー総裁は「今年中にあと1回の利上げ実施を支持する」とコメント。10年債券利回りは上昇(価格は低下)。12月の利上げ確率は前日の37.4%から46.7%へ急上昇。一方でVIX(恐怖)指数は12.33まで低下した。

日経平均は5連敗回避で大幅高。4日続落での下落幅役500円の半分を埋めた。「北朝鮮リスクで売り仕掛けたヘッジファンドが雲行き変化に慌てて買い戻した」という声も聞かれ上昇は前場だけ。後場は小動きだった。過去4日で4000億円程度あった先物売りの買い戻しが北朝鮮リスクの後退で前場に集中したという格好だろう。

「月曜は下放れて十次線。火曜は上放れて陽線。完全に形勢は逆転。月曜の十字線は『離れ小島』。『放れて十字は捨て子線』の買いシグナルが灯った」という楽観論も聞こえる。
ちなみに日経平均の4日続落での下落幅は500円超。

この間先物を売り越してきた外資系証券の手口からの推計。9日はクレディが1400億円。10日はモルガンスタンレーが800億円。14日はUBSが960億円、モルガンスタンレーが800億円。合計で4000億円という計算だ。日経平均の9日のVWAP(加重平均価格)は19775円、10日が19726円。TOPIXは1618ポイント、1616ポイントだ。つまりこれ以上の水準は投げ水準。だから前場の買い戻しに繋がったとも言えるのだろう。
一方でこれらの手口の主体となる売り手の行方を阻んでいるのは日銀のETF買い。「年間6兆円のETF買いが続く以上は短期筋の売り仕掛けはなかなか成功しない」との声がある。「慌てて買い戻す売り手の存在」はボラを高める要因となっているに違いない。

日経平均株価は216円21銭高の19753円13銭と5日ぶりの反発。上昇率は6月2日以来の大きさ。今年は4日続落までのアノマリーが効いた格好だ。北朝鮮への警戒感後退による投資家心理の好転という解釈が聞こえる。東証1部の売買代金は2兆2363億円。東証1部の値上がり銘柄数は1537と全体の76%。富士フィルム、キーエンス、資生堂が上昇。コマツ、住友鉱、アサヒが下落。


16日(水):
NY株式市場は小動き。他に経済指標の発表がなく注目された小売売上高は前月比0.6%増。2016年12月以来7カ月ぶりの大幅な増加となった。市場予想の0.4%増を上回っての着地。「自動車の販売増加など第3四半期初めに経済が引き続き拡大した。12月の利上げの方向に見直しの可能性は低い」と解釈された。
ショッピングモールや百貨店の好調は個人消費が米経済を牽引している傍証にもなった。アマゾンの7月プライムデーの影響は大きかったことになる。ただ「労働市場が最大雇用状態に近づく中でも賃金の伸びは緩慢なまま。消費者は貯金を取り崩している」という警戒的見方もある。ホームデポやコーチの株価の下落は小売売上高の好調とは一致しておらず興味深い動向。「人々の消費対象がいつも同じというわけではない。企業レベルで見ると、勝者と敗者が存在する」という指摘はもっともらしく聞こえる。

北朝鮮リスクについて緊張緩和との見方から10年国債利回りは上昇(価格は下落)。12月米利上げ確率は55%まで上昇した。NY連銀製造業業況指数はプラス25.2と前月のプラス9.8から大きく上昇。2014年9月以来の高水準となった。予想の10.0も大幅に上回っての着地だがほとんど材料視されず。
4〜6月決算を通過した1582社。68%の1082社が最終増益。比率は過去最高となった。純利益は前期比33%増。08年以降の最高を記録した。しかも417社が過去最高益。112社が通期業績見通しを上方修正。製造業は49%増益。非製造業は17%増益。想定為替レートは111円。

市場関係者のコメントというのは結構刹那的で面白い。例えば「北朝鮮とアメリカが軍事衝突した場合の為替動向」に対する回答。「当初はリパトリ(本国への資金韓流)からの円買いドル売りでの円高。
その後は地政学リスクの高まりでの円安」。金トラの軍事衝突で本当にリパトリが起こるのだろうか。目の前に国が軍事衝突したときに、わざわざ基軸通貨のドルを円に換金しようとする動きがあるのか。

すごく疑問なのだが、涼しい顔で「まずはリパトリ」との声。いずれ円安になるシナリを持っているのに、どうしてわざわざリパトリするのか。この説明は聞かれない。よく吟味すると不自然なシナリオばかりが横行しているのに過去を顧みないから不自然を反省しない傾向は否定できない。
いい加減な商売もあるものである。理路整然としていながらも頭隠して尻隠さずのシナリオが多いという気もする。わからないことはわからないというのが正直だと思う。無理やりシナリオを創作するから辻褄が合わなくなる。

前場は小幅高で後場は小幅安の展開だった水曜。「売り買いの材料に乏しいまま下げて終えた」という見方だ。決算一巡で東証一部の売買代金は7月25日以来の2兆円割れ。本来は市場参加者が少ない8月に2兆円超を継続したほうが異常だったとも言える。本来の姿に戻ったと言えようか。もっともマザーズ指数は2%超の上昇。

東証1部の苗上がりランキングなどからは個別材料銘柄の活躍が見られ始めたことは好感されよう。短期筋は元気な姿勢復活という解釈ができよう。
日経平均株価は24円安の19729円と小幅続落。一時プラス局面となる場面もあったが上値を買うエネルギーはなかったという印象。東証1部の売買代金は1兆8757億円と7月25日以来の2兆円割れ。もっとも東証1部の値上がり銘柄数は1034と全体の51.1%と何か違和感のある展開だった。北朝鮮リスクは後退したものの10年国債利回りは0.004%まで低下したことも伸び悩みの大きな要因と考えられよう。任天堂、Klab、ソニー、富士フィルム、ペッパー、enish、ヤマシンが上昇。トヨタ、ソフトバンク、三井住友、ニチイ学館、スノーピークが下落。

17日(木):
NY株式市場は3指数揃って小幅に上昇。北朝鮮問題の地政学リスクの後退から一応指数的には上昇といった印象。FOMC議事録での一部の委員のコメント。「低インフレの傾向が一時的であることが明確になるまで追加利上げを見送るべきだ」。利上げ先送りの姿勢が垣間見え方向感の薄い展開。12月の利上げ確率は45%と、前日の48%から低下した。もっとも市場が利上げ見送りの方向を歓迎している。
一方でトランプ大統領が助言組織の「製造業評議会」と「戦略・政策フォーラム」を解散したことは悪材料された。VIX(恐怖)指数は11.74まで低下した。VXV(3ヶ月後の変動率)も13.61と低下。

欧州株式市場は英独仏と揃って3日続伸。メリルリンチの8月世界機関投資家調査。「世界の株価は割高である」から「割安である」を引いた数字が46%。調査開始の1998年以来の割高感という。

マザーズ銘柄ネットストック信用評価損益率で売り方▲8.34%。(前日▲6.88%、8/9 ▲3.13%)。買い方▲14.93%(前日▲17.18%)。新興市場にとっては好材料だ。
8月10日時点の裁定買い残は241億円減少し1兆5869億円。裁定売り残は102億円増加し2773億円。裁定はやる気なしの状態が継続している。
10年国債利回りが0.004%まで低下しておりまだ債券を買おうとする動きがある状態。この動きが止まらないと2万円は見えてこないだろう。

25日線19972円はまだ上の位置。75日線が19912円。日々20円程度その差を縮めておりこのまま行けばあと数日で4月7日以来のデッドクロスの可能性がある。その時は約1ヶ月後の5月19日にゴールデンクロスして復活したのが今年の歴史。「閑散に売りなし」という格言もあることはある。

日経朝刊「大機小機」は「トヨタとマツダの持ち合い」だった。海外投資家からの問い合わせは「業務提携はわかるが、なぜ500億円の株式持ち合いが必要なのか」。展開されたのは株式持ち合いの弊害。「資本の空洞化、株主による経営監視機能の形骸化、企業統治の弱体化など」。スチュワードシップコードでは機関投資家に対話を通じた企業の中長期的な成長を促すことを求めている。株式持ち合いはこうした活動を空洞化する」。

本当にそうなのだろうかと言う疑問は呈されたことはない。外国人の言うこと、学者さんの言うことは正しいという余談と偏見なのだろうか。株式持ち合いがあると、対話ができないということはないだろう。逆に言えば株式持ち合いをやめても企業の不祥事は消えなかったというのが歴史でもある。「株の持ち合いは日本だけの慣行で、他の株主の権利を毀損する行為だ」。本当に他の株主の権利を毀損しているのかどうか。そもそも他の株主の多くは株価の上昇こそ第一義だろう。

だとしたら浮動株の減少は株価の上昇に繋がることも多い筈。「株の持ち合いで希薄化を生じさせるのはおかしい」。だったら会社側にそう言えば良いだろう。株主総会で「持ち合いはおかしい」という声を聴くことは滅多にない。
海外投資家の要望をそのまま聞いて株式持ち合いをやめて起こったことは株価の下落。それでも「なんでもかんでも持ち合いは反対」というのはある意味ナンセンスだ。求められるのは「言いなりからの脱却」と「自分で考えること」だろう。

日経平均株価は26円安の19702円と小幅続落。手がかり材料難。そして夏季休暇の影響もあり方向感に欠けた展開。日銀のETF買いが入っていないとの観測も浮上し上値は重かった。もっとも北朝鮮を巡る地政学リスクはひとまず後退したとの見方。

21日の米韓合同軍事演習や24日からの米ジャクソンホール会議が待ち材料での見送りといったところ。海運、石油、鉄鋼、非鉄などの市況関連株は堅調。「中小型株や値動きの良い非鉄株など個人好みの銘柄が買われた」との声が聞こえる。もっとも東証の売買の7割は海外投資家だから海外投資家も見送り状態という印象。

TOPIXも続落。東証1部の売買代金 は1兆8060億円。値上がり銘柄数は1498銘柄で全体の54%と値下がり銘柄数を上回った。日中値幅は59円67銭と昨日とほぼ一緒の狭い値幅で膠着感。「結局マイナス圏で精彩を欠く動き」との解釈。一方、東証2部、JASDAQ平均、マザーズ指数はそろって3日続伸。JASDAQはほぼ高値圏。個別では東証1部の新高値銘柄が121(新興市場は45)だったから戦闘意欲がなかった訳ではなかろう。 日経平均の終値(19702円)は先週末の終値(19729円)とほとんど変わらずだった。新日理化、ヤフー、商船三井、東邦鉛、キーエンス、JDI、レーザーテック、コロプラ、協栄産業、石川製が上昇。三菱UFJ、豊田、ソフトバンク、Klab、森永菓、ユニチャームが下落。

18日(金):
NYダウは274ドル安と5日ぶりの反落。S&P500は3カ月ぶりの大幅下落となった。 背景はスペイン東部バルセロナの車突入で死者が出たとの報道や、ゲーリー・コーン国家経済会議(NEC)委員長の辞任観測。トランプ政権の選挙公約などの実現性に対する懸念が高まったとの解釈。
ウォールマートの決算も重石になった。新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比1万2000件減の23万2000件で、6カ月近くぶりの低水準に改善。鉱工業生産指数の前月比上昇率は0.2%と、エコノミスト予想(0.3%)をやや下回って着地。コンファレンス・ボード景気先行指数前月比プラス0.3%(予想:プラス0.3%)で着地。それぞれほとんど材料視されなかった。VIX(恐怖)指数は15.55まで上昇。10年債利回りは一時、2.196%まで下落。安全資産志向の展開となった。

木曜の空売り比率は40.9%と再度40%台に乗せており弱気モード満載継続。登場してきたのは弱気のレポート。
「日経平均は年初から小動きで、そうした年は8月に保ち合いを放れる傾向が強い。また7月相場は歴史的な 小動きだったが、そうした月の翌月は軟化しやすい。この8月は下放れしやすい。

テクニカル的には5月に東証1部の騰落レシオ(25日)が160%まで上昇したことが大きい。1971年以降で騰落レシオが160%台まで上昇したのは5回しかない珍しい現象。5回のうち1回を除いては約3ヵ月後に日経平均は13週線を割れてしまった。今回も日経平均は、13週線(19951円)割れの動き。13週間は約3ヵ月間にあたる。約3ヵ月前の5月に騰落レシオが160%以上に上昇した頃からの売買平均コストを割り込むことになる」。決算短信の内容省略が相次いできた。「短信の内容省略は企業の負担を減らし速報性を高める狙い。
しかし投資家からは企業の情報開示の後退」との指摘。もっとも、もともと「短信」だ。必要なことは「決算説明資料」に記載してある。だったらあの「当期の日本経済は・・・」で始まるようなものはなくてもいいだろう。「追加資料を出さず、会見もしない企業は投資判断をしにくくなる」という声もある。だったら一部の企業意外の会見会場の閑散さというのは何なのだろう。ファンドマネージャーやアナリストとのミーティングにこよなく優位性を認めるIRでは仕方がない。重要なことは、ルールは変えることができるということ。十年一日の如く金科玉条のように守るだけでは芸がない。むしろ「省略も可」とするべきだろう。

日経平均株価は232円安の19470円と大幅続落。5月2日以来3カ月半ぶりの水準まで下落した。トランプ大統領の政権運営に対する不信感やスペインのテロ事件などでリスク許容度が低下。終始売り物優勢の展開となった。東証一部の売買代金は2兆1223億円と3日ぶりに2兆円台になった。TOPIXは3日続落。値下がり銘柄数は1672と全体的の83パーセント。東エレ、スクリン、アサヒ、JTが上昇。第一生命、野村、ファーストリが下落。

(2) 欧米動向
水曜日経マーケット面の特集は海外投資家の日本株に対する見解。
面白いものが浮かび上がってくる。
「北朝鮮問題は顧客との話題にはほとんどならない。
日本は地震や災害も多く投資家は地政学リスクに慣れきっている」。
一方で「北朝鮮リスクは年内最大のリスク材料だろう」。
「しかし北朝鮮問題が現状より悪化シないなら日本株は小幅に上昇するだろう。
実質GDPが6四半期連続で増加するなど経済は堅調。
企業業績はよく投資家心理は改善している」。
「ただ、企業業績の拡大は世界で見られる傾向。
それだけで日本株を選考できる訳ではない。
欧州や新興国に比べ日本株に割安感はない。
日本の予想PERは14倍台。
ドイツや新興国の指数は13倍を切る。
ただ中長期的な円安進行などの魅力的材料が欲しい。
年内にも円安は進むだろう。
2018年6月時点では1ドル115円程度まで下がると見ている。
それに伴って日本株も今より2%ほど上がるだろう」。
総じて弱気はあまり感じられない裏側で「2%の上昇」という数字。
日経平均がたった400円しか上がらないのなら誰も投資はしないだろう。
というかその程度の予測しかできないのが外国人投資家のプロだというのがよく分かる。
確かにドイツのPERは13.1倍で中国は13.6倍。
だったらNYの18倍はどう説明するのだろう。
あるいはドイツのPBRは1.60倍で中国は1.70倍。
だったら日本の1.23倍とNYの2.92倍はどう説明するのだろう。
日本のEPSの伸び率は11.2%で1ヶ月前比0.54%増加。
NYもドイツも1ヶ月前比はマイナス。
これもどう説明するのだろう。


(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち18指数が上昇。
上位1位インドネシア週間騰落率2.21% 、2位イタリア2.16% 、3位ブラジル2.01% 、4位中国1.88% 、5位韓国1.67%。
下位25位日本▲1.31% 、24位シンガポール▲0.85% 、23位米国▲0.84%
22位ポーランド▲0.50% 、21位ベトナム▲0.40%。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・
21日(月):全産業活動指数、民進党代表戦告示(9月1日投票)、米シカゴ連銀全米活動指数
22日(火):米FHFA住宅価格指数、独ZEW景況感
23日(水):米新築住宅販売
24日(木):米ジャクソンホール「ダイナミックなグローバル経済を促進する」、中古住宅販売
25日(金):消費者物価、企業向けサービス価格指数、米耐久財受注、独IFO景況感

【8月】

21日(月)バドミントン世界選手権(英グラスゴー)、仙台市長任期満了
22日(火)皆既日食(日本では見えない)、変化日
24日(木)米カンザスシティ連銀金融シンポジウム(ジャクソンホール)
27日(日)土星順行開始
28日(月)テニス全米オープン、ロンドンはサマーバンクホリデーで休場
29日(火)変化日
31日(木)サッカーW杯アジサ最終予選(日本VS豪州)

【8月】

22日 大幅高の特異日
29日 株高の日L

2000年以降の8月15日を含む週(お盆休み)の騰落。
過去17回のうち上昇が8回、下落が9回。
ただ下落9回の内下落幅が1000円を越えたのが2回。
この記憶が「お盆は安い」につながっているのだろう。
NYでは昨年半ば以降5%以上の調整は起きていないというのがアノマリー。
「04年以降で最も長い本格調整なき上昇相場」とされる。
S&P500が3日続落し下落率が1.5%超となったのは2015年以降18回。
水準回復までの平均日数は37日。
ただし16年半ば以降の4回では平均23日。
所詮その程度なのだろう。

「小動きの翌月は下落しやすい」という指摘。

1 1980/11 月間変動率1.21% 翌月の騰落率−0.85%
2 1980/10 月間変動率1.23% 翌月の騰落率−0.38%
3 1978/6  月間変動率1.30% 翌月の騰落率1.05%
4 1978/7  月間変動率1.41% 翌月の騰落率−0.28%
5 1980/2  月間変動率1.49% 翌月の騰落率−3.09%
6 1980/6  月間変動率1.62% 翌月の騰落率−0.74%
7 1979/5  月間変動率1.73% 翌月の騰落率−0.09%
8 2017/7  月間変動率1.73% 翌月の騰落率?

【世界主要国上場企業の 業績予想とPER&PER】(8月10日現在)

○日本
売上高3.4%増、 EPS11.2%増、 PER13.9倍、PBR1.25倍
○米国
売上高5.3%増、 EPS11.1%増、 PER18.0倍、PBR2.92倍
○英国
売上高5.7%増、 EPS9.4%増、  PER14.7倍、PBR1.85倍
○ドイツ
売上高3.7%増、 EPS9.1%増、  PER13.1倍、PBR1.60倍
○中国
売上高10.6%増、 EPS15.2%増、PER13.6倍、PBR1.70倍
○香港
売上高6.0%増、 EPS8.3%増、  PER16.4倍、PBR1.28倍
●世界
売上高6.5%増、 EPS11.0%増、 PER16.0倍、PBR2.09倍

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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