03月1週
【推移】

27日(月):
週末のNY株式市場は上昇。NYダウは11日連続で史上最高値を更新した。「税制改革や規制緩和、インフラ投資の拡大などに対する期待と国債利回りの低下との交錯」との解釈。「市場心理は実際の市場動向よりも大幅に速く回復。バリュエーションはやや先走っている可能性がある」という警戒感も聞かれる。
週末のトランプ米大統領は連邦政府機関に規制改革タスクフォース(作業部会)を新設する大統領令に署名。また「保守政治行動会議(CPAC)」の年次総会で演説。「史上最大規模の軍増強に向けて大規模な予算を要求する」とコメント。レーガン大統領路線を彷彿とさせる方向性示している。

日経平均株価は約1ヶ月半ぶりの3日続落。今年は続落も続伸も3日まで。2月権利配当落ち分はわずか11円程度だが埋められなかった。小幅安の連続とはいえ限界点に届いたことになる。日経平均株価は週間では約48円の上昇。
週足では陽線と方向感に欠けた割には意外な形となった。もっとも日経JASDAQ平均は11日続伸となり個人の個別株物色の姿勢は強い。
東証マザーズ指数は5日続伸、東証2部指数は続伸。28日のトランプ大統領演説のスケジュールからは様子見モードの可能性が高く期待感は薄。しかし市場はサプライズを好む場所。一般的な相場シナリオとは別の展開があっても良いのかも知れない。

週明けの日経平均株価は176円安の19107円と昨年7月以来7ヶ月半ぶりの4日続落。先週の火曜日高、水曜日安から今年のリズムは少しずつ違い出してきている印象だ。ドル円の111円台から円高懸念で警戒感が高まったとの解釈。一時19000円を割れこむ場面もあったが、ドル円が112円台に戻したことと日銀のETF買いへの期待から後場は下げ渋った。
東証一部の売買代金は2兆1394億円。三菱自、花王、資生堂が上昇。三菱UFJ、第一生命、住友不が下落。

28日(火):
週明けのNYダウは15ドル高の20837ドルと12日続伸。30年ぶりの続伸記録が継続している。軍事費の1割増やオバマケアの撤廃などトランプ政策が改めて評価された格好だ。S&P500は3日続伸し過去最高値を更新した。ロッキードやマーチンなど軍事関連が堅調。建機のキャタピラーヤ石油のシェブロンなども上昇しトランプ相場の復活感となった印象。明日のトランプ演説では「オバマケア改革と税制の簡素化」が強調される見通しとされる。今年初の4日続落となった東京株式市場。歴史的上昇が継続しているNYダウとは対照的な動きとなった。もっとも週明けのNY株式はダウ12連騰でS&P500は最高値更新と堅調な展開。ドル円も112円台後半まで戻ってきた。空売り比率が41%まで上昇したのは反発タイミングと読みたいところ。

日経平均採用銘柄のEPSは1204円でPERは15.86倍。16倍台復活が直近の目標となろうか。日経平均株価は11円高の19118円と5日ぶりに小反発。前日に米ダウが12日連続で過去最高値を更新したことから買い物優勢のスタート。
ただトランプ米大統領の演説を控えていることやMSCIの比率変更に伴う大引けの売買があったことから上昇幅を縮小した。その影響もありソフトバンクが安値引け、日経平均株価も安値引けとなった。
東証1部の売買代金は2兆4611億円。東証1部の値上がり銘柄数は1203と全体の60%だった。JX、コマツ、大和、三菱重、コンコルディ、東レ、旭化成、いすゞが上昇。東芝、武田薬、アサヒ、菱地所、NTTが下落。

1日(水):
NYダウは13日ぶりの反落となった。背景はトランプ米大統領の議会演説待ちの姿勢。そしてディスカウントストアのターゲットの業績見通しが失望を誘ったとの解釈。
一方トランプ演説を控えヘルスケア関連やバイオ関連は上昇した。経済指標は明るいものが多い。トランプ大統領は「国内の不法移民に合法滞在の道を開く法律の導入を検討」との報道。上下両院合同本会議での演説で言及する可能性があるとされる。市場が求めているのは残念ながら減税と景気対策というギャップがあることは否めない。

火曜日の日経平均は5日ぶりの小反発。続落は4日で一応止まり風景は変わった。大引けはMSCIの比率見直しの売りで失速しながらもプラスで逃げ切りだった。「いわゆる死んだふり」などという声も聞かれる。
残念ながら月の月足は陰線。次は「10月高→翌年3月高」。あるいは「3月初日を含む週は7年連続上昇」のアノマリーに期待だろう。「演説に失望。NY株安・円高、日本株安が最悪シナリオ。ここ数日間の相場でそのリスクを織り込んだというなら面白い」という格好だろうか。

日経平均株価は274円高の19393円と続伸。2月15日以来の水準を回復した。3月利上げ観測から米10年債利回りが上昇。ドル円が113円台を回復したことで海外からの、先物買いが増加し相場をけん引した。トランプ演説は平穏に通過。後場は上昇幅を拡大する。一時300円近く上昇した場面もあった。東証一部の売買代金は2兆3890億円。ソフトバンク、第一生命、栗田工、富士重工が上昇。任天堂。ニコンが下落。東証2部指数は続伸。日経ジャスダック平均は14日続伸。

2日(木):
NY株式市場は反発。主要3指数は揃って史上最高値を更新しトリプルクラウン復活となった。NYダウは2万ドル達成から24日で21000ドル台に乗せた。1万9000ドルから2万ドルへの上昇をけん引した主役はゴールドマン。2万ドルから2万1000ドルへの上昇けん引役はゴールドマンとアップル、ボーイング。偏りがなくなってきた。
1月25日の2万ドル台乗せ以降、最も値動きの大きい銘柄はアップルで約13%高。シスコシステムズが約12%高。ファイザーとJ&Jが約9%上昇した。

大幅高の背景は2つ。一つはトランプ大統領の議会演説。「いつものとげとげしい物言いが息を潜めた」こと。
そして公約である大規模な減税で米経済成長を加速させる方向性。1兆ドル規模のインフラ投資の実施に意欲を示したこと。改めて政策の一貫性と実現へ向けての議会との調和方針が評価された。
もうひとつはFRBの利上げ姿勢が鮮明になったこと。ダドリーNY連銀総裁は「早期に利上げする根拠がかなり強まっている」と発言。ウィリアムズSF地区連銀総裁は「3月会合で利上げが真剣に検討される」とコメント。3月利上げの確率は70%程度に高まった。

2年債利回りは一時1.308%に上昇し2009年8月以来の水準。10年債利回りは2.471%と2月16日来の水準まで上昇した(価格は下落)。再びグレートローテーションの言葉が復活してきた印象だ。
ロンドン株式市場は続伸し過去最高値を更新。金属価格上昇と米利上げ観測が追い風になったとの解釈。英米の株価指数をみていると日本だけが取り残された感は拭えない。

トランプ演説よりも「宅配クライシス」がトップになった日経朝刊。不思議な配列となった。株よりも「働き方改革」の方が重要と思っているのかも知れない。「GDP上方修正の公算」なんて心地よい見出しもある。

1月5日につけた昨年来高値を更新した日経平均株価。安値引けになったところが残念ながら今日のNY株式への警戒を表現していたともいえる。19500円台を上回っていることは2万円ラリー継続と考えられる。19100円〜19500円のレンジは抜けた。19500〜2万円というレンジに移行したと考えたいところだ。
日経平均株価は171円高の19564円と3日続伸。もっとも前日比プラスながら安値引けというところが東京市場の心理の弱さでもあろうか。上げ幅は一時274円となり、取引時間中としては2015年12月18日以来1年2カ月半ぶりの高値水準を回復した。ただ心理的抵抗線の19500円は越え、ザラバ高値19615円は抜けたものの終値ベースの19594円は奪還できなかった。結局寄り付き15分での「寄ったら終わり」と言う印象。

東証1部の売買代金は2兆5328億円。三菱UFJ、トヨタ、東洋ゴムが上昇。昭和電工、ソフトバンク、任天堂が下落。日経ジャスダック平均は15日続伸し連日の昨年来高値更新。東証マザーズ指数は9日続伸。マザーズ市場の売買代金は1500億円を超える活況。今年の日経平均は3日続伸まで。

3日(金):
NY株式市場は3指数そろって反落。金融セクターとキャタピラーが足をひっぱった格好。前日に史上最高値を更新したことの反動もあろうか。もっとも3月の利上げ観測の強まりは継続。3月利上げの確率は79.7%と、前日の66.4%から上昇。
2年債利回りは一時1.340%と、2009年8月以来の水準に上昇。
10年国債利回りは2.505%と約2週間ぶりの高水準となった。ドル円は114円台半ばとドル高円安傾向となっている。もっとも株価は反落したとはいえVIX(恐怖)指数は11.90と低下。3カ月先の変動を示すVXV指数は14.82と低下。オプション市場は株価の大幅下落の可能性は織り込んでいないことになる。

日経平均採用銘柄のPERは16.18倍。EPSは1209円とかすかに増加。マイナス展開は予測されるが小幅反落での週末となろうか。場合によっては今年初の4日続伸の可能性もあるとみる。
昨日まで東証マザーズは9日続伸、日経ジャスダック平均は15日続伸。東証2部指数は3日続伸。日経平均株価は95円安の19469円と反落。「前日までの3日続伸で短期的な過熱感が強まっていたことも、利益確定目的の売りを促した」という指摘が聞こえる。指数先物に断続的な売りが出て一時170円以上下落した場面もあった。3日続伸はまだ越えられない壁だったということになる。

東証1部の売買代金は2兆1856億円。任天堂、ファストリテ、SMC、関電が上昇。大東建、国際石開帝石、京セラ、日東電が下落。

(2) 欧米動向
NYダウが12連騰で終わった。
そもそもトランプ大統領の議会演説はある程度中身の見えたイベント。
突発的なネガサプライズとはなり得ない。
訳のわからない勝手な「期待外れ」はあっても訳のわからない「警戒感」を勝手に持ち出せるような代物ではなかった。
ということはやはり通過することが重要だった。
イベントとスケジュールしか手掛かりのない為替の世界とは異なり
株の世界には「企業」という最大の材料がある。
日本企業の業績を素直に評価するならば、外の世界の出来事に右往左往する必要はなかろう。

GDP改定値は速報値と変らず年率1.9%増で着地。
コンファレンス・ボード(CB)が発表した2月の米消費者信頼感指数は114.8。
前月の111.6から上昇し、2001年7月以来の高水準。
市場予想の111.0も上回った。
シカゴ地区購買部協会が公表した2月の景気指数は57.4。
前月の50.3から上昇し、2014年12月以来の高水準。
S&Pケース・シラー住宅価格指数は前年同月比5.6%上昇。
前月の5.2%上昇から加速し、市場予想の5.3%も上回った。
NY連銀総裁は「利上げの根拠はかなり強まっている」とコメント。
SF連銀総裁は「3月来上げを真剣に検討する可能性」と指摘

バークシャー・ハザウェイのウォーレン・バフェット氏。
「明日には20%下げるかも知れないが。米株はバブルの状態ではない」とコメント。
今年アップルの保有を2倍にしたという。

(3)アジア・新興国動向
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち16指数が上昇。
上位1位イタリア週間騰落率5.74%、2位フランス3.09%、3位ドイツ1.89%、
4位英国1,80%、7位日本0.96%、9位米国0.88%。
下位25位ロシア▲1.84%、24位香港▲1.72%、23位中国▲1.08%、
22位台湾▲1.05%。21位韓国▲0.7%。20位ベトナム▲0.26%。


【展望】
スケジュールを見てみると・・・

6日(月):米製造業受注
7日(火):米貿易収支
8日(水):10〜12月GDP改定値、国際収支、景気動向指数、米ADP雇用レポート、中国貿易収支
9日(木):マネーストック、都心オフィス空室率、米輸入物価、EU首脳会議、ECB理事会、中国消費者・生産者物価
10日(金):法人企業景気予測調査、企業物価指数、メジャーSQ、米雇用統計、財政収支

【3月】

7日(火)変化日
9日(木)ECB理事会、EU首脳会議
10日(金)メジャーSQ
12日(日)満月
13日(月)変化日
14日 (火)米FOMC(〜15日)
15日(水)日銀金融政策決定会合(〜16日)
16日(木)米連邦債務上限適用再開
17日(金)変化日
24日(金)変化日
26日(日)欧州サマータイム開始、香港特別行政区長官選挙
28日(火)3月権利付き最終日
30日(木)変化日

3月中
英国は3月末までのEUへ離脱通告
広島空港民営化基本方針策定
任天堂の「ニンテンドースイッチ」発売
野球のWBC開幕
360度シアター「IHIステージアラウンド東京」が豊洲に開業
英国の客船クイーン・エリザベスが神戸発着ツアー開催
銀座ソニービルが閉館予定
オランダ議会選挙(15日まで)

NYダウの連騰記録は同率2位の12連騰で止まった。
1970年12月までの12連騰以来となった。
1992年1月までが11連騰。
いずれも景気回復に重きがおかれている場面でヘルシーな上昇だった。
そしてその後のNYダウは上昇基調だった。
13連騰を達成した1987年。
背景は清算値算出方法の変更という技術的なこと。
現物市場の流動性が増したわけではなかった。
そしてブラック・マンデーに至る。
今回1987年の様な13連騰にならなかったのはヘルシーな範囲の連騰だったと言える。
日経ジャスダック平均は14連騰と上昇継続。
12連騰以上は加速のサインであるか天井のサインであることが多い。
今回は永年の上値抵抗レベル2800円どころを上抜けた。
過去この水準上抜けをトライした2000年や2006 年は新興企業に対する世間の風当たりが強かった。
2015年は円安加速を日銀が抑制した感があった。
しかし、今回はそうしたムードはない。
日経ジャスダック平均の今回の連騰は加速のサインである可能性がある。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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