11月3週
【推移】

14日(月):
週末のNYダウは連続の過去最高値続伸の展開。週間では2011年以来の上昇となった。背景はトランプ次期大統領による金融セクターなどでの規制簡素化やインフラ投資拡大などへの期待。市場は水曜以降ユーフォリアの状態を保っている。毀誉褒貶転じて期待感といったところだろう。
S&P500金融株は過去3日で8%上昇と、2008年以来の大幅な伸びを記録。ベテランズデーで債券市場は休場だったが債券利回りの上昇はそろそろ相場の壁になってくるかも知れない。「トランプ相場が来た。警戒と期待、高まる不確実性」という解釈が一番正しいのだろう。因みに先週の米国株の上昇率は5.36%。先進国でトップとなった。

「日経平均株価の200日移動平均線が週末木曜・金曜と小幅ながら上向きに転じた。200日線の上向きは昨年末以来のこと。これも相場が転機を迎えた証拠」という指摘もある。
内閣府が発表した7カ〜9月期実質GDPは年率換算2.2%増で着地した。市場予想の平均値は同0.9%増。前期比は0.5%増で市場予想0.2%増を上回った。企業業績とGDPが悪くなければ株は自然に上昇するもの。まずは幻のSQ値となった17596円がターゲットだろう。

大引けの日経平均株価は297円高の1万7672円と3日続伸。2月2日以来約9カ月半ぶりの高い水準となった。米金利上昇による日米金利差の拡大から1ドル=107円台まで下落したことを好感した格好。東証1部の売買代金はで2兆6449億円。トヨタ、東エレク、日電産、TDK、アルプス、野村が上昇。JT、NTT、ニチレイ、塩野義が下落。

15日(火):
週明けのNYダウは7月中旬以来の6日続伸。一時18900ドルを超えた場面があり終値ベースでも3日連続で過去最高値を更新した。「スーパームーンのトランプハネムーン」といった格好。ただNYダウ採用銘柄は19銘柄が下落、11銘柄が上昇で数字上の印象とは異なる。
S&P500、NASDAQともに小幅に下落しており高値もみ合い的側面もある。中小型株中心のラッセル2000指数は1%超の上昇。債券が売られて10年債利回りは一時2.3%まで上昇。

4月25日高値17613円は完全に上抜いた。2月2日高値17864円、2月1日高値17905円を視野に入れてきた。ほぼ1年ぶりに200日線(16597円)を100日線が上抜いており長期的変化を感じさせる水準となってきた。
松井証券信用評価損益率速報で売り方はマイナス9.752%(前日マイナス8.915)。買い方マイナス9.473%(前日マイナス10.504%)とようやく逆転。空売り比率も37.8%で低下した。25日移動平均(17132円)からのかい離がプラス3.2%というのが気になるところ。プラス4%かい離で17817円、プラス5%かい離で17988円。この限界を超えられるかどうかが課題になってこようか。大発会から6日続落でスタートした今年。
初めて3日続伸したのが3月4日。出遅れた年だったが年足陽線基準18450円まであと少しのところまで戻してきたという感慨は多少起きようか。

東京株式市場はマチマチの小動き。日経平均は前日までの3連騰で1419円上昇した反動での反落。ドル円の108円台を見ての動きとしては鈍かった印象。東証1部の売買代金トップは三菱UFJで4日続伸。業績面は悪化したが自社株買いを好感した。「4日間とも上放れて始まってマドを空け4空」という指摘も聞かれる。
全体的には17日に予定されている安部首相とトランプ次期米大統領会談を前にやや警戒感もあろう。

日経平均株価は4円安の1万7668円と4営業日ぶりに小幅に反落。「大幅高の反動で利益を確定する売りに押された」との解釈。ただ下値は限定的。TOPIXは4日続伸。4月22日以来の高値水準。
JPX日経400も4日続伸で4月26日以来の高値水準。「下値で買いを入れようとする投資家が多かった」という声も聞かれる。東証1部の売買代金は2兆5886億円。ヤーマン、メガバンク、トヨタが上昇。北越紀州、JR東海が下落。

16日(水):
NYダウは7日続伸。4日連続で終値ベースの過去最高値を更新した。S&P500とNASDQAQも反発。「トランプ氏勝利を受け株式市場では勝ち組と負け組の差が過去8年弱で最大に開いている。足並みがそろっていた株式市場の動きがバラバラ」という興味深い指摘も聞かれる。マイクロソフトやアマゾンなどハイテクセクターが買い戻される動き。原油価格の上昇を受けてエネルギーセクターも堅調展開だった。
米金利上昇に合わせたような形で新発10年国債利回りは一時1.005%とプラス転換した。この意味は結構大きい。約2カ月ぶりのプラスだが9月21日は日銀の長短金利操作が発表された瞬間だけに出来事。年初からのマイナス金利導入が株高を阻む壁だった。望まれていた金利の正常化が到来する時期が早まってきたことは好感されよう。
昨日段階で上向きの100日線(16612円)が上向きの200日線(16601円)を明確に上抜けた。このゴールデンクロスは約1年ぶりのこと。滅多にあるものではないだけに大きな変化でもある。
日経平均は上昇ながら2月高値に一歩届かずの展開。もっとも日中値幅は狭く寄ったら仕舞いの展開だった。10年国債利回りのプラス転換を嫌気した形で不動産セクターは下落。一方その他のセクターは上昇継続だった。
特にメガバンクは堅調展開。三菱UFJの5空やみずほの5億株超の売買が目についた。ただみずほの売買高5億株は反転のアノマリー。

日経平均株価は194円高の17862円と反発。2月1日終値1万7865円以来9カ月半ぶりの高値を付けた。ザラバ高値17905円には届かなかった。
ドル円相場が5カ月半ぶりに1ドル109円台に下落したことを好感。主力の輸出関連株が上昇し指数を押し上げた。ただ後場の値幅は40円程度で様子見モードも漂った。10年債利回りがプラスに転じたことも好材料視。メガバンクの上昇につながった。
東証1部の売買代金は2兆8561億円。値上がり銘柄数は1585と全体の約8割。みずほが商いを5億株に増加して上昇。三菱UFJの売買代金も膨らんだ。住友不、菱地所、SMC、三菱重が下落。

17日(木):
日経平均のPERはようやく15倍に乗せたが、これは株価の上昇とEPSの減少の相乗効果。安部トランプ会談を控えて少しは様子見モードが出てくるのか。あるいはフライング的勇み足が登場するのか見えにくい日。為替動向もさることながら、昨日マイナス金利導入時の水準まで戻った10年債利回り。こちらの方が重視される可能性が高い。

因みに日銀のマイナス金利導入直前の2月15日の10年債利回りは0.085%。日経平均株価は16022円。マイナスになって株は下落。プラスに転じても株は上昇。結局ゼロ金利水準では金融緩和効果は薄いというのが結論。半年以上にわたる時間を浪費したのかも知れない。
100日移動平均が200日線を上抜いたのが一昨日。つまりトレンドは罫線的には長期上昇に転じたと言っても良いだろう。200日移動平均は10605円。

日経平均は昨日段階で7%のプラスかい離。次のテークオフは10%かい離だとするとそれは18265円水準。上がったら下がるのも相場だが、上がったら加速するのも相場。「下落はチャンス、上昇はピンチ」という境地至るにはまだ修行が必要かも知れない。勝手雲は18日に黒くねじれ24日に白くねじれている。


18日(金):
日経の証券面を見ているだけではわからないものが商品面にある。火曜日は「カセイソーダ値上げへ」。紙の製造などに使われる代表的薬品がカセイソーダ。アジアでの価格高を背景に旭硝子は3年5ヶ月ぶりに値上げ交渉に入るという。既に信越化学も値上げを表明している。不作によるジャガイモの高値は株価には無関係。

水曜の日経では「DRAM、1年ぶり高値」の見出し。スマホ用もさることながらパソコン用の需給がひっ迫。VR系ゲームパソコンの拡大も寄与しているという。あるいは「米国向けコンテナの輸送量が10月に過去最高」。運んでいるのは家具・建築用具・テレビ・ビデオなど。それぞれ前年同月比5%程度伸びているという。

今日は「H型鋼、3年ぶり上昇」の見出し。H型鋼は土木・建築用の代表品種。原料炭の上昇と都心部再開発での需要拡大が背景。小型スーパーや保育園の着工増加が追い風。中国でも自動車用の冷延鋼が上昇していうという。「外航タンカー運賃一段高」の見出しもある。原油需要の引き合いが旺盛だという。
投資のヒントはいつも商品欄にある。というかヒントはトレーディングルームのコンピュータの中ではなく現場にある。

大引けの日経平均株価は104円78銭高の1万7967円41銭と3日続伸。11日6日以来の高値となった。ドル円の110円円台を好感。ただ利益確定の売り物もあり安値で引けた格好。東証一部の売買代金2兆7241億円。スズキ、トヨタ、郵船が上昇。明治、みずほが下落。


(2) 欧米動向

トランプ政権誕生で思い浮かんだのはキッシンジャー元国務長官。
日曜日経でタイミング良く登場していた。
興味深かったコメント。
「ある国と我々が同盟関係に入ったとする。
それは我々が彼らの願いを聞きいれた訳でもなく、彼らが我々のそれを聞きいれた訳でもない。
ただ双方の国の国益を反映しただけなのだ」。
国ではなく「我々」というのが奇異に感じるが国家は理念でなく国益で動くということ。
最終的には理ではなく利ということになろう。
つまりその意味では市場至上主義もあながち間違っていないことになる。
もう一つは「米国新政権がまず取り組むこと。
それは、中国ロシアが何を成し遂げようとしているか。
彼らは何を妨害しようとしているか。
それを誰とするのか。
その目的の達成のために誰が我々に懸念を与えるか。
これを自問することだ」。
ここにアメリカの政治的・地政学的存在がある。
そして「日本は独自の国益に則って、物事を決められなければならない。
我々の課題は我々の国益を日本の国益に関係づけることであり日本の外交政策に関係づけることではない」。
この一言を聞けば当然日本株高は連想される。

大統領選結果判明直後に「米国株を買えるだけ買え」と指示した投資家アイカーン氏。
金融規制のドッド・フランク法を「悲惨な過ち」と言ったグリーンスパンFRB元議長。
これらが日経朝刊で紹介されている。
「ウォール街の陶酔が始まった」という表現は結構フレンドリーだ。
NYダウが18000ドルに乗せてから約2年。
19000ドルが迫ってきたようだ。


(3)アジア・新興国動向

上位1位日本週間騰落率3.41%、2位ロシア2.13%、3位フィリピン1.33%
4位ブラジル。31%、5位シンガポール0.85%、12位米国0.11%。
下位25位ポーランド▲3.95%、24位イタリア▲3.25%、23位インド▲2.49%、
22位タイ▲1.38%、21位メキシコ▲1.37%。


【展望】

スケジュールを見てみると・・・

21日(月):貿易統計、コンビニ売上高、シカゴ連銀活動指数
22日(火):百貨店売上高、米中古住宅販売、北米BBレシオ
23日(水):勤労感謝の日で休場、米耐久財受注、新築住宅販売
24日(木):アメリカ感謝祭で休場、独IFO景況感
25日(金):消費者物価、GPIFの第2四半期運用実績発表、米ブラックフライデー

どうも歴史の歯車は過去を見据えて動いているようである。
日経朝刊の連載「トランプ新政権の課題」。
「高速道路・橋・トンネルを作る」というトランプ氏の経済政策。
インフラ投資による雇用創出はまるでTWAのダムのように映る。
10年間で1兆ドルのインフラ投資は市場最大。
ただ連邦債務は20兆ドル近い。
経済成長による税収増で補うと主張し、調査機関は金利が8%台に跳ね上がると警戒する。
81年に5年で7500億ドルの大型減税を行ったレーガノミクスを模した税制の導入。
当時長期金利は10%台、ドル高が加速したのが歴史。
結果、ジャパンアズナンバーワンとなり、日本はバブル景気。
そして85年のプラザ合意となった。
刹那的かも知れないが我が世の春はアメリカではなく日本にくるのかも知れない。
そういえば85年の映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」。
主人公は日本のコンピュターメーカーに雇われていた。
今は市場そのものがバック・トゥー・ザ・フューチャーになってきた印象。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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