05月4週
【推移】

23日(月):
週末のNYダウは65ドル高の17500ドルと反発。S&P500、NASDAQともに反発。NYダウは4週続落。S&Pは4週間ぶりの反発、NASDAQは5週間ぶりの反発。FRBによる6月利上げ確率は約30%まで上昇。「市場はFRBが6月に動く可能性を織り込み始めている」と言う声が高まってきた。ただ「利上げ可能性の高まりにつれた相場の上昇は良い流れかもしれない」という解釈も聞かれる。

仙台市で開かれていたG7財務相・中央銀行総裁会議。世界経済の成長確保に向けて各国が金融・財政・構造政策を活用していくことで合意。しかし「大きな決定はしなかった」という参加者もいる。
またルー米財務長官も「各国によって立場が異なる」とコメント。財政出動での「協調」は合意できなかった。東証一部の売買代金は今年最低となる1兆7092億円。三角持合いの最終局面での方向感の薄い展開が継続している。

225先物の手口をみると野村売りのアムロ買い。「アムロの短期売買観測は17000枚を超えておりHFTの短期売買を連想させる」との声も聞かれる。TOPIX先物でもアムロやメリルの短期売買が拡大。薄商いの中で方向感のない売買が反復されているだけという印象だ。相場観も市場に対する愛情もない機械の売買だけに方向感が出ないし、商いも薄いだけのこと。
日経平均株価は81円安の16654円と反落。一時300円以上下落する局面もあった。ラウンドワン、東京エレクトロンが上昇。トヨタ、メニコンが下落。

24日(火):
5月月足陽線基準は16147.38円。5月が前月比プラスになる基準は1666.05円。このハザマで揺れ動いている日経平均株価という印象。ああだこうだと言っても2013年5月23日バーナンキショック1143円安3周年。まさか再来はないだろうしイエレンFRB議長が「金利を上げたい誘惑にかられる」といったとことですでに織り込んでいる。
当時の日経平均はアベノミクス相場のスタートで加熱気味。200日移動平均線から47%もプラス乖離という歴史的水準にいた。つまり熱を冷まさなければ沸騰してしまう状態。今、200日線は17976円と遥か上の世界。ダメ押しの売り浴びせに怯える必要はないだろうし、不幸は幸福の絶頂でやってくるもの。欲求不満という不幸の最中に不幸は来ないもの。16500円を割れ込んだ昨日の日経平均株価。東証1部の売買代金は1兆6658億円と前日に続き今年最低を更新。格言は「閑散に売りなし」とか「ジャンプの前のすくみ」。
日経平均株価は155円安の16498円と続落。ドコモ、鹿島が上昇。カルソニックカンセイ、タダノが下落。

25日(水):
日経朝刊では「株先物、影響力薄れる」の見出し。225先物とTOPIX先物のラージ・ミニの合計売買代金は3月25日以来の低水準となった。5月の東証1部売買代金に対する先物売買代金の比率は1.2倍。昨年5月の1.1倍以来の低さとの指摘。当然決算発表等の時期的要素もあろうし、低下したものはいずれ増大する。海外機関投資家や投信会社が裁定取引を止めた訳ではなかろう。いずれ裁定買い残が1.8兆円の低水準から増加していけば指数は自然に上昇する。

「6月FOMCの結果次第で先物のポジションをしまう可能性」と言う声がある。しかしもう閉じるポジションもほとんどなかろう。「月欠ければ満つ」も格言。あれこれのスケジュールを邪推するよりは足元のPER14倍割れの水準を正視。PBR1.12倍を謙虚に受け止める必要があろう。売買単価が1週間前は950円台で1000円割れ。先週末は997円。月曜が987円だったが昨日は1023円と1000円台に戻ってきているのは良い印と考えたい。

日経だけでも良いシナリオは作れよう。一つは「貸出金利低下、地銀にも」の見出し。サブは「マイナス金利、競争拍車、3月平均最低の0.69%」。日銀短観の銀行融資態度での「緩いマイナス厳しい」の指数。大企業はプラス28。中小企業プラス20でバブル期の89年以来の水準。当然設備投資や住宅購入が期待される。
一方でキャッシュを持った企業は借りなくても済む状態。これは心地よいに違いない。その下には朝日生命が資本基金を完済。金融危機は明確に去った証拠にもなる。そして企業の海外直接投資残高は昨年150兆円まで拡大。ボトムは2010年末の68兆円だったから倍。稼ぐ姿勢が認められよう。

そしてソニーの今期業績見通しは営業増益。わずか2%増益の3000億円にしか過ぎない。しかし熊本の地震がなければ36%増の4000億円とも。モバイルとゲームがけん引してきた。想定為替レートは110円。部品のドル建て調達を増やしてきた同社。対ドルで1円円高になると営業利益は年70億円増加するという。サル年はやはりウォークマンのソニーだろうか。
日経平均株価は258円高の16757円と反発。ソニー、マネパが上昇。武田薬、小野薬品が下落。

26日(木):
NYダウは145ドル高の17851ドルと続伸。ゴールドマン・サックスのエコノミストは第2四半期の米経済成長率見通しを、従来予想の2.7%から3.0%に引き上げた。4月の貿易赤字が予想ほど膨らまなかったことが背景だという。

欧州では独IFO業況指数は107.7と予想を上回り、年初来の高水準に上昇。フランスの4月の失業者数は351.11万人で、前月比1.99万人減少。減少は2カ月連続。ギリシャ向け追加融資をユーロ圏が承認。欧州の火種は6月23日の英EU離脱の投票になってきたが離脱の可能性は薄いと見る向きが多い。

NYは週末にメモリアルデーの3連休を控えており売買エネルギーは依然低調。VIX(恐怖)指数は13.90まで低下してきており静かな上昇という印象だ。サマーラリーへの序章という言葉が不思議に似合っている。懸念は5年ぶりの安値になった人民元の行方だろうか。

6月1日に消費増税引き上げ延期というのが各紙の報道。民進党は増税延期法案を国会に提出した。昨年末から今年の最大の好材料は「消費増税延期」だった。これが実現することが見えているのに自信がない東京市場という印象。年初来高値が101銘柄という1年半ぶりの高水準を真摯に捉えるべきだろう。裁定買い残は495億円増加したとはいえまだ1兆8602億円で邪魔はしない水準。マイクロソフトがクラウドを主軸にし、トヨタが配車アプリに出資し。銀行がIT事業に進出する理由は「稼ぐのはモノではなくソフト」という未来感。この流れも真剣に受け止めたいところ。
日経平均株価は200円以上の上昇幅を急速に縮小。幻のSQ値16845円を終値で上回ることはできなかった。新高値銘柄はそれでも68。前日の101銘柄からは減少したがそれでも風景は変わりつつある。

伊勢志摩サミット関連警備での不審物観測報道なども嫌気された面での下落だったかも知れない。そのサミットで安部首相から打ち出されたのは「世界経済の下振れリスク」。リーマンショック並みの世界経済危機の可能性があるという「参考データ」が登場した。ただ観測は「消費増税延期の地ならし」。どちらのウェイトが高いかを市場が判断するにはもう少し時間が必要だろう。

日経平均株価は15円高の16772円と3日続伸。寄り付き直後に日経平均が16900円まで上昇。5月SQ値16845円を突破した場面もあった。タカタ、三菱自が上昇。ソフトバンク、野村が下落。

27日(金):
4月の米耐久財受注は前月比3.4%増と市場予想の0.5%増を上回って着地。3月分は1.3%増→1.9%増と上方修正。部門別では、輸送機器が8.9%、民間航空機・部品が64.9%、自動車・部品が2.9%増加した。ただ民間設備投資の先行指標が3カ月連続で減少。油田観連の設備投資削減や在庫削減の動きが重石になっていることは伺われる。

週間新規失業保険申請件数は前週比1万件減の26.8万件。27.5万件という市場予想を超える大きな改善となった。申請件数は30万件を切ると雇用市場が引き締まっている状態。64週連続でこの水準を下回っており、1973年以来の長期間となった。

市場予想を大幅に上回る在庫急減からWTI原油先物は一時バレル50.21ドルまで上昇。中古住宅販売仮契約は5.1%の伸びで予想を遥かに上回る数字。米国経済指標は軒並み良い数字となった。かといって早期利上げ観測が増大した訳でもなく買い疲れの1日だったということだろう。金先物が7日続落していることはリスクオンの裏返しと解釈できよう。英
ポンドの上昇基調は6月23日の英国EU離脱投票での残留の可能性。これは悪くない。サミットで話されたのは自国通貨安競争を回避するという方向。日本政府は「議論はなかった」とされるが、観測は「釘をさされた」。これはジワジワ効くかもしれないし、秘め事のままで終わるかも知れない。

日経レバの売買代金減少は肌で感じているが、指数ではなく個別の本質回帰の傍証だろう。サミットイベントを通過すれば視点は消費増税延期と成長戦略の具体性に移行する。
日経平均株価は62円高の16834円と3日続伸。商いは盛り上がらず東証1部の売買代金は7日連続の2兆円割れ。JX、コナミ、ガンホーが上昇。高島屋、オオバ、銭高組が下落。

(2) 欧米動向

IMFの報告書。
「日銀の金融緩和について、成長率や株価の上昇などアジア新興国に前向きな影響を及ぼした」と指摘。
「大半の(東南アジア)諸国では、生産が拡大。
インフレ率が一時的に上昇した。
資本流入も多くの国で急増した。
日銀の金融緩和はアジア新興国の株価を大幅に押し上げた。
ほぼすべての国の通貨が対円で上昇したが、経済成長への影響は概ね前向き。
株高を背景に信頼感が回復。・
経済成長が加速したことで、自国通貨高の影響が打ち消された」と分析。
中国経済への影響については「人民元相場が対円で上昇したものの、影響はマイナスではなかった。
株式市場の上昇で明らかな信頼感回復や、輸入コストの低下がプラスに働いた」との見方。
国内では不発のマイナス金利もアジアでは人気があるのかも知れない。

米商務省が発表した4月の新築1戸建て住宅販売件数。
61.9万戸は前月比16.6%増で08年1月以来8年超ぶりの高水準。
価格も中央値で32万ドルと前月比7.8%上昇し過去最高を記録。
「住宅統計は良好な数字だった。
経済は依然力強く、利上げは可能だと市場が喜んでいるようにも見受けられる」という声も聞かれる。
因みにS&P500は過去1年間高値更新がなく「ベアマーケット1周年」との指摘。
昨年5月21日に過去最高値2130ポイントを更新してから1年経過。
2013年に年間45回、14年が45回、15年が10回の高値更新があったがこの1年はゼロ。
「2月11日の安値1829ポイントは過去最高値から14.1%しか下がっておらず依然ブル相場」。
この声とどちらが市場に響くかの時期を迎えた印象。
ネックラインの2040ポイント近辺を下に割らなければ相場の底強さは続こうか。

(3)アジア・新興国動向

中国の人民元安がそろそろ気になり始めた印象。
25日に1ドル6.563933元と2011年3月以来、5年2カ月ぶりの安値水準となった。
背景は米国の追加利上げ観測によるドル高の反映。元安防止のための大規模な為替介入があると外貨準備高の減少問題が再燃しかねないと言う指摘もある。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・

30日(月):NY、ロンドン休場(メモリアルデー、スプリングバンクホリデー)
31日(火):失業率、鉱工業生産、米ケースシラー住宅指数、個人所得、CB消費者信頼感、シカゴ購買部景気指数
 1日(水):1〜3月期法人統計、米ISM製造業、ベージュブック、中国製造業PMI
 2日(木):マネタリーベース、米ADP雇用レポート、ECB理事会、OPEC総会
 3日(金):米雇用統計、ISM非製造業、貿易収支、製造業受注


【6月】

1日 通常国会会期末、1〜3月の法人企業統計、世界経済フォーラム東アジア会議(クアラルンプール)、ポイントの日
2日 ECB理事会・記者会見、OPEC総会
5日 新月
6日 イスラムラマダン入り(〜7月7日)


財務省が発表した4月の貿易統計速報(通関ベース)。
輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は8235億円の黒字となった。
黒字は3カ月連続。
因みに2015年通年の貿易収支は2兆8322億円の赤字。
貿易赤字は5年連続。
原油安による輸入額の減少を受けて赤字額は14年(12兆8161億円)から大きく縮小。
輸出額は前年比3.5%増の75兆6316億円、輸入額は8.7%減の78兆4637億円。
教科書的に貿易黒字の拡大は円高要因。
貿易黒字が増えると相手の国から受け取る外貨が増える

それを日本円に交換するために外貨を売って円を買うことになるので、円高へとつながる。
一方で・・・。
国内の景気が良いと貿易黒字は減少。
国内の景気が悪いと貿易黒字は増化。
内需が不振の裏返しでもあることは間違いない。
しかし、景気が悪いと本来は円安にならなけらばならない。
にもかかわらずクローズアップされるのはこの本筋でなく、皮相的なドル換金でのドル安円高。
どうも市場の見方は偏光しているような気がしてならない。
円安だから貿易黒字が増加した訳ではなく、原油安の恩恵で輸入金額が減っただけのこと。
また原油高になり、為替の円安が進めばこの国の景気はさらに悪くなる。
これは全く理解されないから不思議なもの。
イロハの「イ」は「景気の強弱によって、通貨の強弱も決まる」。
好景気な国の通貨が買われ(通貨高)、不景気な国の通貨が売られる(通貨安)。
つまり日本が不景気ならば、円安。
日本が好景気ならば、円高。
このイロハの「ロ」でさえ逆に動いている。
経済学者も市場も同時に誤謬に苛まれているのだろうか。

ジョージ・ソロスという投資家が日本の電鉄株に注目した。
理由は「BPS成長」という思考法だったという。
成長ではなく資産に注目するのは邪道かも知れない。
しかしこの思考法は東京市場を席巻したのも事実。
Qレシオなんて奇妙な相場指標まで登場して業界を巻き込んだ。
大手証券会社の支店長連中が東京湾を視察して「あの株この株」といったもの事実だ。
現在のPBRは米国が2.7倍、欧州が1.6倍、新興国は1.4倍。
昨日段階で日経平均採用銘柄は1.12倍。
日経平均が16498円だったからBPS(1株あたり純資産)は14730円となる。
ROEや配当性向が今のままなら2020年のBPSは19800円という試算。
計算したのはJPモルガンアセット。
PBRが過去10年平均の1.4倍なら日経平均は27700円という試算。
アプローチ方法や尺度を変えると相場はいかようにも試算できるということだろうか。
もっとも・・・。
「赤字にさえならなければBPSは間違いなく増加する」のも事実ではある。

アノマリーと呼ばれる経験則もたくさんある。
「多くの人が参考として行動すれば、経験則が成り立ってしまう」との声。
ある意味「合成の誤謬」という指摘もある。
「GW前に買いGW明けに売り買いドテン」という経験則。
今年は4月28日16666円売り(ザラバは17000円台)→5月9日16216円。
ドテン16216円買い→5月25日16757円。
500円幅は取れていた。
来年のために覚えておいた方が良いかも知れない。

(兜町カタリスト 櫻井英明)


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