07月1週
【推移】

29日(月):
借金がかさみ、債務超過。返せるあてもないし会社更生法とか民事再生法などを申請しようとする矢先。社員にその賛否を問う企業ってあるのだろうか。
時間との勝負であることは間違いないが、フツーの企業なら生き延びる道を選ぶ筈。そこで悠長に「給料カットや健保脱退」なんて社員組合にお伺いを立てている余地はない。
でもこれが国家となると違うのがギリシャ。資金を融通してもらうためには、カットが必要。「それでいいでしょうか」の国民投票なんかしているうちに銀行の窓口は閉鎖。今まで引き出していなかった方が悪いとはいいながら「こんな目に合うよりはいいかも」。なんて刷りこみをしているとも思えない。借りたお金は返すのはヒトも国も一緒。このイロハのイを守れないなんて都合の良いことが起きる訳はなかろう。ギリシャにとって不幸だったのは、国家規模と借金規模が小さいこと。せいぜいGDPで30兆円程度の国などつぶれても実は大した影響はなかろう。
6月30日から8月20日に返済期限の到来する債務は合計82億ユーロ(約1兆円)。そこがIMFやECBなどの冷たさに通じているのだろう。これがドイツなんてことだったら事はこうはいかない。不良債権の山と思われる中国だって利下げをして頑張っている。自助努力なしに経済回復などある訳はなかろう。愚かしい喜劇に付和雷同したり動揺することすらバカバカしい気がする。
月曜日経朝刊の広告。東洋経済は「ITバブル超え!今こそ日本株」。表紙がなぜ歌麿なのかはわからない。「勝ち組投資家の必勝術&必勝銘柄」。「外国人投資家が評価する日本株の安定度」なんて見出しが躍っている。あるいは週刊エコノミストは「どこまで上がる日本株」。サブタイトルは「年末に向け23000円」。あるいは「日銀、年金の底固い買い」。
同じ面には「株しかない」という新刊の広告も並んでいる。雑誌の特集が「株」になり書店に株本が平積みになると一度反落というのがアノマリー。
そのまんま踏襲しなくてもいいのだろうが日経平均株価は596円安の20109円と3日続落。東証1部の値下がり銘柄数は1821で1997年以降、最多となった。マツダ・キャノンが下落。クスリアオキ・ニチユ三菱が上昇。

30日(火):
意地の張合いも究極まで行けば喜劇から悲劇になるという印象がギリシャ問題。何も今起こったことではなく、何年も前から懸念され、浮いては消えてきたこと。それが今回は浮きっぱなしということだけの話。もともと絶望的だった状況が変わった訳でもなく、単に強調されるレベルになっただけのこと。「何とかなるさ」の楽観論が今回は通じていないだけのこと。むしろ事の本質は、裏側にあることが多いのが市場というもの。利下げをしても上がらない中国株とか年初来安値を更新しているダウ輸送株指数。
こちらの方が実はよくないことの本尊なのかも知れない。ギリシャが音を上げるならこちらもとプエルトリコまでが720億ドルの債務の支払い期限延期要請との話。
ただ、日本だって借金大魔王の一部。たまたま海外からの借金が少なく、国内資金で国債を賄っているから表面化しないだけのこと。時おりIMFやOECDが「基礎的収支の健全化」を求めるのも無理はない。「放っておいてくれ」と突き放しておけば良いのだろうがギリシャみたいに年金などが削られる可能性もゼロではない世界。人のふり見てわがふり直せなのか他山の石の教訓として記憶しておきたいところ。1月から5月までの連続陽線記録は途絶えた。
因みに1987年と1989年が年初から5か月連続陽線。もしも6月陽線だったらこの記録=バブル超えだった。邪魔してくれたのはギリシャに中国。余計かつ邪魔な脇役でしかなかった。
日経平均株価は125円高の20235円と4日ぶりの反発。林兼・TOWが上昇。ソニー・関ペが下落。

1日(水):
日銀短観は大企業製造業DIがプラス15。事前予測のプラス12を上回った。先行きはプラス16。設備投資はプラス9.3。こちらは変化。小さな綻びが気になるとすれば、ダウ輸送株指数の年初来2ケタの下落。景気の先行指標とでもいえるのだがこの動きが良くない。3月以降4か月連続での下落となった。NYダウが高く輸送株指数が安い時の日経平均は安いことが多い。表面上の指数ではなく使える指標なのだが・・・。
日経平均株価は93円高の20329円と続伸。六甲バター・東洋精糖が上昇。宮越・平和堂が下落。

2日(木):
見切り発車なのか、呆れきったのか、飽きたのか。まだ決着しないギリシャ問題はどこ吹く風での堅調展開。騒いだところで、あわてたところで所詮事態が進展する訳でもない。今になってギリシャの借金と経済規模の小ささに気がついたのでもなかろう。悪材料の口車に乗る愚かさに市場も多少は気付いたのかも知れない。
上海市場の下落まで見えないフリだった。前日の寄り付き段階で気になったのは新興中小型株の買い気配の多さ。全体はうるう秒問題などで小動きだったし、好調な日銀短観を受けた割には大型ではなく小型。このギャップは終始あったような気がする。
日経平均株価は193円高の20522円と3日続伸。シャープ・ミルボンが上昇。エコナック・クボテックが下落。

3日(金):
木曜夜の雇用統計通過。やればできるのなら毎月木曜でも構わないという気にもなる。その方が週末の東京で祭りのように踊り騒ぐ輩が減っていいのかも知れない。
非農業部門雇用者数は22.3万人増で着地。事前予想23万人を下回ったというものの誤差の範囲だろう。
もっとも4月分22.1万人→18.7万人。5月分28万人→25.4万人に下方修正。時間給も伸びておらず、これらを持って利上げは12月説が有力となったとの解釈。
株価はやや小動きだった。好指標=好景気=早期利上げ、低指標=景気停滞=利上げ時期遠のく。どちらに転んでも微妙なバランスの上の強弱感。
レトリックに包まれた指標評価ゴッコに付き合うのも結構疲れる。訳のわからないのが三井住友FGの「持ち合い株削減、数値目標作成」の見出し。株式を保有し続ける新たな基準を設けそれに合致しない場合は売却する方向という。「長期保有株は原則として持たない」。「合理性がないと判断した場合は売却」。
取得原価での保有総額は01年以来既に7割削減され1兆7600億円。ここ数年は停滞気味というが、ここ数年は株価上昇時期であり停滞は間違ってはいない筈。株保有=リスクという概念は下落も上昇もリスクなので間違ってはいない。
しかし売却による逸失利益と保有による評価益拡大を秤にかけるとどうなのだろう。少なくともクーポン0.5%程度の国債保有よりは分が良いような気がする。もっとも利回り1.5%程度のトヨタの種類株に申し込みが殺到する世の中。元本安全こそ至上命題なのだろうが、あくまでそれは個人の話。海外の言いなりで投融資のプロとしての銀行の立ち場を捨てることがいいことなのかどうか。理解に苦しむ。というか銀行が株運用を育ててこなかったことも一因なのだろうか。
日経平均株価は17円高の20539円と大引けに小幅上昇で4日続伸。三井住友FG・みずほが上昇。ソニー・第一生命が下落。

(2) 欧米動向
アメリカ最高裁はオバマケアの一部の政府補助金支給を合憲と判断した。
「これで1600万人以上の保険未加入者が保険を得た」。
これは間違いない。
そして究極的には税金をきちんと支払っている中間層の負担は増加した。
これだけのことだが、少なくとも大統領選挙については民主党に追い風。
改めてオバマケアは何かというと・・・。
対象は医療保険に未加入だった低所得者。
安価な保険を提供するために民間の医療保険購入者に政府が補助金を支給する仕組み。
総論的にはもろ手を挙げて賛成の制度である。
しかし保険未加入者にとっては悪くないが既存加入者へのサービスも低下する。
壮大な民間医療保険拡大計画といっても良いだろう。
あの国の明と暗は底知れないムードが漂っているような雰囲気。
イベントごとにデモーニッシュな香りを感じるのは気のせいだろうか。
治世を経世済民。
そんな立派なものではないのだろうが、多数の声に従っているようで違うような気がする。
これはアメリカもギリシャも、もちろん中国も一緒なのだろうが・・・。

(3)アジア・新興国動向
日本経済研究センターの予測では2025年に中国経済は4.1%成長に減速するという。
もっと数は多いから絶対量ははるかに日本を凌駕はする。
5年前には2ケタが当たり前だったのだから相当なブレーキだ。
そういう長期的な意味合いでは中国株の乱高下も当然なのかも知れない。
前週土曜日経では「上海株急ブレーキ」の見出し。
証券監督管理委員会のコメントは「これまでの過度な上昇の調整。
経済は安定感を増している。
株式相場を支える要因はしっかりしている」。
国家がこういうコメントを出すことは珍しい。
そして得てしてこの類のコメントは裏切られることが多かったのも歴史。
1929年の暴落だって、昭和バブルの崩壊だって東証はこんなコメントが散見された。
結果は「失われた20年」だったが、今回の中国が同様とは思いたくない。
そしてそこまで成熟した市場でもない。
因みに証券口座数は2億と圧倒的な数。
信用取引残高は約44兆円。
時価総額の約3.4%でNYの2.6%、東京の0.5%よりも多い。
ただこれは表面上の数字。
街金と言われる貸金業者経由の疑似信用取引は統計がないだけにどれだけあるか分からない。
表面上の信用比率3.4%では見方が間違えるだろう。
その昔、兜町にも街金業者がたくさんいたという。
株券を担保に貸金をするのが生業。
昔の匂いは消えてきたが、中国では今真っ盛りらしい。
それにしても過去1年で2倍になった上海株のこの隆盛。
過去2年半で約2.5倍になった日本株の静謐さと比べると積極的投資心理は相当異なっている。

興味深いのはその中国やロシアのギリシャへの接近。
ギリシャとEUの亀裂が深まれば、戦略バランスが崩れかねないという。
黒海と地中海を挟んでロシアと中国がギリシャと親交になると、地政学は異なってくる。
チプラス氏がそこまで考えているとは思えないが甘言に乗る可能性は否定できない。
すでに相当愚か者に感があるが、単なる愚か者を通り越してしまうのかも知れない。
ポピュリズム政治に所詮指導力のない胡散臭さが匂うのは古今東西一緒なのだろう。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
週末:世界遺産委員会(ドイツ)
6日(月)景気動向指数、ISM非製造業景況指数
7日(火)米貿易収支、消費者信用残高
8日(水)景気ウォッチャー調査、FOMC議事録、BOE金融政策委員会、アルコア決算
9日(木)機械受注、マネーストック、都心オフィス空室率、中国消費者・生産者物価
10日(金)オプションSQ、企業物価指数、消費動向調査

大切なのはベクトルの向いている方向なのだろう。
それは株価のベクトルだけではない。
世間のベクトルも同様だろう。
日経平均の戻り高値のときに東証アローズにTVクルーは1〜2台。
それが今週月曜の急落時には10台近く。
火曜の朝でも5〜6台がさらなる急落を待っていた。
寄り付きからプラスで結局はマイナス展開にならず、背中を落として空しく帰って行った。
これがマスコミの変わらぬベクトルなのだろう。
皆が喜ぶ株高は映像にならず、皆が苦しむ株安は画像になるというもの。
例えは悪いが「殺人事件が直前に阻止されたのはニュースでない」的感覚があるのだろう。
あるいは企業のベクトルというのもある。
機関投資家を向いているのか個人を向いているのか。
企業にしてみれば、一応プロでたくさん買ってくれる機関投資家を向きたがる傾向がある。
それでも敢えて個人投資家を向いている企業もたくさんある。
ただアリバイ工作的な個人向きなのか本当の個人向きなのかは見分けなくてはならない。
それは会社説明書などで判断するしかないかも知れない。
妙にわかりにくいもの、横文字カタカナだらけのものは機関投資家しか向いていない例だろう。
日本の投資家に対して横文字は決して格好良くはない。

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