09月第4週
【推移】
16日(火):
IMFのラガルト専務理事が登場したのは「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム」。女性版ダヴォス会議という名称にどことなく先進性は感じる。「女性を労働力に取り込むことは世界経済にとってはかり知れない好材料」。この点は異論がない。主催者が政府・日経・日本国際問題研究所であるから、アベノミクスの側面支援にもなろう。しかし日経のインタビューでは「消費増税は予定通りに」のコメント。景気が厳しくても消費増税は避けるべきではないとの見解を示したという。ラガルド氏の持つ多面性と言ってしまえばそれまでのこと。しかしIMFということは財務省の親戚でもある。先日、財務相が首相の私邸を訪ねた理由はここにあったのかも知れない。世論が、消費増税延期に傾きつつある中でのIMF専務理事の登場。しかも来日テーマは「女性力の活用」。芸が細かい。興味深いのは土曜日経のNISAの記事。1月〜6月の総投資額は1兆5631億円。うち上場株が4949円で3月末比36%の上昇。語呂合わせは「NISAがシクシク泣いている」では洒落にもならない。その他では投信が1兆396億円で3月末比67%の上昇。ETFが140億円、REITは146億円。株が1.5兆、投信が1兆。投信の1兆円台に比較すると圧倒的に少ない。たぶん今後のテーマは投信ではなくETFをどう増加させるかだろう。明るかったのは「REIT支払利息減少」の見出し。1〜6月に決算を迎えたREITの有利子負債は4兆2952億円。前年同期比2824億円(7%)増加した。一方、支払利息は247億円で15億円(6%の減少)。低金利の恩恵で、12年1〜6月期以降は減少傾向継続。支払金利の減少は分配金の増加に反映され、今年1〜6月の分配金総額は1077億円。過去最高を記録した。それでも「NISAでREIT」はわずか146億円。視点を変えれば、風景も変わる。もっとも株式の方も「中間配当最高の3.1兆円」の報道。3月決算企業の9月中間配当は前年より10%多くなる見通し。セコムが初めて中間配当を実施、三菱自動車は17年ぶりに復配。配当実施、増配、復配企業は全体の2割という。個人の日本株保有比率は約19%で受け取る配当は約6000億円。消費増税の負担は約6兆円とされるので焼け石に水かも知れないが、多少明るい話。日経平均株価は36円安の15911えんと6日ぶりの反落。東証1部の売買代金は2兆317億円。ソフトバンクが約2800億円の大商いとなり売買代金の14%を占めた。新日本科、ディップが上昇、アルバック、タダノが下落。

17日(水):
「目にはさやかに見えねども」はNY3市場の売買高の急増。前日は約61億株まで拡大した。8月半ばには30億株台まで落ち込んでいたから約2倍への増加。週末のSQを控えての売買増加という見方も出来ようが、それでもプラス展開での増加。悪くはない。もっとも、東証1部の売買代金も8月には1兆円台前半まで低下。そこから考えれば約2倍水準まで拡大してきた。売買エネルギーが増加して上値を追うという教科書的な動きが出始めたと解釈したいところ。日経平均株価は22円安の15888円と小幅続落。日経ジャスダック平均は年初来高値を更新。アークランド、蛇の目が上昇、戸田工、日エンターが下落。

18日(木):
ソニーが業績の下方修正と1958年の上場来初の無配転落を発表。「またかよ、ソニー」とか「崩れた成長戦略」などの声を受けて先物市場は一段安の展開。しかし、一夜明けてNYダウは最高値を更新。為替は108円台でCME円建ては15980円での戻り。9月の権利配当落ち分約80円を加味すれば16000円台。FOMCにしろ、スコットランドの住民投票にしろ「関係ねえ」ではあった。一方で、セブン&アイの3〜8月期連結営業利益は前期比2%増の1670億円との観測記事。上半期としては2年連続での最高益更新。「消費増税や天気不順に寄るスーパーの苦戦をコンビニの好調で補った」との解釈。既存店売上高は25カ月連続で前年同期比プラス。コーヒーだけが売れているようではなさそうである。官房長官は沖縄へ、首相へ福島へと忙しい日程。その合間の前日17時39分〜18時16分の間、安倍首相は浜田内閣参与と意見交換。 小さな記事は「足元の景気動向では消費税率の再引き上げの判断をしづらいとの考えで一致」。7〜9月以降の経済情勢を見るべきとの認識も一致した。安倍首相のコメントは「供給を伸ばさないと経済成長が実現しない。第1の矢(金融政策)から第3の矢(成長戦略)に移す時期がきている」との方向。日銀は1年もの国債をマイナス金利で買い入れ。麻生財務相は「法人減税の見返りは賃上げ」との雄叫び。ただし以下には見えないフリの気配。日商会頭は「今より円高に進む方が心地よいことは間違いない」。経済同友会代表幹事、「おおむね100円〜105円の範囲内であれば、なんとか経済成長継続可能」。
そして中国人民銀行は約8.75兆円の資金供給。あぶなっかしい中国も腰を上げたことを好感するのだろうか。日経平均株価は178円高の16067円と反発。約8ヶ月ぶりに16000円台を回復した。東証1部の売買代金は2兆3822億円。住石HD、ヤマウラが上昇、ソニー、エスクリが下落。

19日(金):
「円安効果明暗くっきり」というのが日経の見出し。アベノミクス発足以降「円安」を手放しで歓迎してきたマスコミ論調も多少足元を見始めた。「通貨の売られる国の株が買われる訳がない」。あるいは「通貨が売られて打撃を受けた国はあったが、通貨が買われて滅んだ国はない」。これが常識論。にも拘わらず、円安歓迎論を敷いてきたのがここ数年。ようやく古典的為替論議に戻ったのだろうか。というよりは、現実の円安に遭遇して改めて足元を見てみると「どうも違う」となったのか。いずれにしても風景は変わる。変わったのは土地価格も同様。発表された基準地価で三大都市圏の住宅地が6年ぶりに上昇した。基準地価とか公示地価などは時間軸がスローモーであるから実態はもう少し良くなっていよう。問題は地方圏の土地価格がまだ下落していること。ただし、地方創生の政策が動き始めれば、いずれは不動産人気も波及しよう。「上げ」に対して「景気次第」という姿勢が日米ともに出てきた。アメリカはイエレンFRB議長が「利上げは景気次第」。日本は消費増税に対して「景気次第」。言い換えれば「風まかせ」みたいな恰好。風まかせに漂うことで株式市場は「適温相場」。NYダウは最高値で適温かもしれないが、日経平均は高値の半分以下。おなじ「適温」でもレベルは違う。裁定取引の買い残は2580億円増加し3兆4409億円。SQを前に裁定買い残は減少するのがお約束だったがこの構図が変わった。だからこその株価上昇。裁定買い残のピークは07年の6兆円。当時日経平均は18000円台。このまま順調の増加してくれれば明るい未来。日経平均株価は253円高の16321円と続伸。年初来高値を更新し、07年11月以来6年10ヶ月ぶりの高値水準となった。為替の109円台、スコとランドの独立否決、米FOMCの金融政策継続などを背景にした高値更新。東証1部の売買代金は2兆7497億円と拡大。ファーストリテ、ファナックが上昇、カナモト、グリコが下落。

(2) 欧米動向
米投資雑誌バロンズの今週号から興味深い見解。

次に相場に日が当たるのは11月かも知れない。
ウォール街の天気予報によると、それまでは投資家が金利上昇に対する懸念を強めるために
季節的に曇りか雨になりそうだ。
今の株式市場では良いニュースは悪いニュースとして捉えられる。
米国景気の好転はFRBに予想よりも速いテンポで利上げを促すと市場が考えている。

つまり米国の経済成長への喜びと金利上昇への不安との「綱引き」。
その移行の具合が短期的に市場の動向を左右している。
いずれにしてもその金利の引き上げは来年夏以降なのだろうが・・・。

もう一つの指摘。

世界の中央銀行には無限の超低金利資金という緩和剤がある。
因みに世界中の14億人が実質(インフレ調整済み)マイナス金利を経験した。
世界の株式市場の時価総額の81%がゼロ金利政策に支えられている。
すべての政府発行債の45%で利回りが1%を下回っている。
大量の強い酒が加えられたパンチボウルを心行くまで楽しんできた株式市場。
重要なのはパンチボウルが片付けられるタイミング。
「ラストコール」がいつなのかのヒントを市場は欲しがっている。
さまざまな不安をかき消してくれるのが超低金利資金だ。

(3)アジア・新興国動向
23日に発表された中国のHSBCのPMIは50.3。前月よりも0.1ポイント上昇した。
金利上昇と円安の関係の方が話題になろうか。

【展望】
スケジュールを見てみると・・・
週末:安倍首相通算在職1000日、G20財務相・中央銀行総裁会議
22日(月)8月コンビニ売上高、米中古住宅販売
23日(火)秋分の日で休場、米2年国債入札、中国HSBC製造業PMI
24日(水)米新築住宅販売件数、独IFO景況感指数
25日(木)企業向けサービス価格指数、ツーリズムEXPOジャパン(ビッグサイト)、米耐久財受注、北朝鮮最高人民会議
26日(金)9月末権利落ち日、消費者物価指数、米4〜6月期GDP確報値、ミシガン大学消費者信頼感

秋になれば、農作物ができるので需給は緩和。
だから秋には物の値が下がる。
言い古された秋相場の下落シナリオですが、どうも今年は違いそうな気配。
卵は高値圏、ジャガイモ価格も上昇。
多くのアノマリーやジンクスが崩れてきた今年。
秋の株安も今年ななくても良いのだろう。

面白いことに・・・。
出ては消える海外の財政的リスクや地政学リスクは株価下落に奏功しなかった。
米金融機関と金融規制当局の6年にわたるバトルは、和解という手段で一時的に解決した格好。
だからこその株しっかりだとするならばモンスターのような海外リスクはひとまずお休みの形。

永田町の布陣は完了。
あとは消費税を上げるのか延期するのか。
追加の金融緩和をするのかしないのか。
具体的経済対策が出てくるかどうか。
多少全体的に考えればカタチ的にはこの点の攻防戦。
しかし・・・。
真相から目をそらせられることが多いのが相場。
そしてその本質を離れた議論が正当な議論であるかのように錯覚させられるのも相場。

「買いバブル」の時も踊り、その後の長い「売りバブル」の時も消極的に踊ってきたのが相場。
この買→売→買いの長期的転換は「目にはさやかに見えねども」どころではなく、良く見え始めたということかも知れない。
しかも全体が先ではなく、本来は個別が先に動くのが相場。
目先の手口や先物動向に惑わされることなく足元と未来をしっかりと見つめることこそ、大切なこと。

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