英明コラム 4月第3週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》4月3週
 
【推移】
 
15日(月):
週末のNY株式市場は3指数そろって大幅上昇。NYダウは269ドル高。史上最高値更新まであと515ドル(1.9%)に迫った。週末の株高を演出したのはJPモルガンの4.7%高。1〜3月期のS&P500企業の収益見通しは前年比2.3%減と前日の2.5%減からやや改善。「主要3指数のサイコロジカルラインは過熱圏。S&P500は11勝1敗、NASDAQは9勝3敗、NYダウは8勝4敗」という声もある。
 
日経平均株価は298円高の22169円と大幅に3日続伸。
昨年12月3日以来の高値水準且つ終値ベースの22000円台を回復した。日足は5日連続の陽線。TOPIXはようやく6日ぶりの反発で年初来高値を更新した。200日線(21886円)を一気に上抜けたことで買戻しを誘ったという格好だ。紙芝居を検証してみると75日線は上向いた(20998円→21008円)。12ヶ月移動平均(21963円)、24ヶ月移動平均(21657円)は上抜けた。先週末のSQ値21870円も完璧に上抜けた。ソフトバンクG、任天堂が上昇。スズキ、大和ハウスが下落。
 
16日(火):
週明けのNY株式は反落。S&P500は4日ぶりの反落。背景は軟調だったゴールドマンの5四半期ぶりに軟調な決算。「債券や為替、株式などの取引が低調で年1〜3月期は減収減益。1株利益は市場予想を上回ったが、純営業収益が市場予想以上に減少したのが嫌気された」との解釈だ。ゴールドマンは4%近く下落。1銘柄でダウ平均を約53ドル押し下げた。
墜落事故を起こした新型機「737MAX」の運航停止を初夏まで続ける米空運大手が相次いでいると伝わったボーイングの下落も響いた。
 
日経平均株価は52円高の22221円と小幅に4日続伸。日足は6日連続陽線。ドコモの通話料引き下げが悪材料出尽くし感に繋がり通信セクターが上昇を牽引した。ファーストリテ、ソフトバンクが上昇。大和ハウス、かんぽ生命が下落。日経平均はNY株安でも上昇。月曜は金融セクターに強い動き。火曜は通信セクターが大幅高。「蚊帳の外にあったセクターにも資金が向かっている」という指摘だ。
 
17日(水):
NY株式市場は小幅高。主要3指数ともに過去最高値に迫る動きの継続となった。バンク・オブ・アメリカ、J&J、ブラックロック、ユナイテッドヘルスなどがアナリスト予想を上回る四半期決算を発表。ただ株価はマチマチ。S&P500指数採用企業の第1四半期決算は前年同期比1.8%の減益となる見通し。
直近の予想から大幅に改善しているものの11四半期ぶりの減益見通しだ。
SOX指数は47.40ポイント高の1533ポイント。前日比3.19%上昇で半導体関連セクターの強さを伺わせている。
 
日経平均株価56円高の22277円と5日続伸。7日連続日足は陽線。中国の景況感が相場を押し上げたとの解釈。この4日で500円を超える上昇となった。ファーストリテ、トヨタが上昇。キリン、テルモが下落。4月12日時点の信用買残は147億円増の2兆1842億円。5週ぶりの増加。同売り残は41億円増の9340億円。2週連続の増加。
日経平均採用銘柄のPERは12.60倍。EPSは1763円と増加している。10連休の逆日歩回避と後場動意薄での日ばかりのバトルの印象。
 
18日(木):
NY株式市場で主要3指数は小幅に反落。2月の貿易赤字は前月比3.4%減の493億8200万ドルと昨年6月以来8ヶ月ぶりの低水準。市場予想は535億ドルだった。対中貿易赤字は28.2%減の247億6100万ドル。中国からの輸入が20.2%減少、中国への輸出が18.2%増加。「中国からの輸入が急減し赤字が縮小」との解釈だ。その中国の第1四半期のGDPが前年比6.4%増加で着地。外部材料も悪くなかった。ただユナイテッドヘルスやファーザーなどヘルケアセクターが規制への懸念で軟調。相場全体の足を引っ張った。
 
日経平均株価は187円安の22090円と6日ぶりの反落。前日まで5連騰した反動で利益確定売りが先行。イースター休暇を控えた海外勢から現物、先物に手じまい売りも出て下落幅は一時200円超まで拡大した。「タイミング待ちだった利益確定の売りが出た」との解釈だ。「上げの日」よりは「今年最悪パフォーマンスの木曜日」。ファーストリテ、ウェルシアが上昇。武田薬、ニコンが下落。
 
4月12日時点の裁定買い残は383億円減の1兆1272億円。2週連続の減少。同裁定売り残は1517億円減の7014億円。2週連続の減少。裁定売りの解消がこのところの上昇要因の一つであることをうかがわせてくれる。
 
19日(金):
NY株式市場で主要3株価指数が小幅反発。19日は聖金曜日(グッドフライデー)の祝日で休場。週間ではNYダウとNASDAQが上昇。S&P500が4週ぶりに下落した。小売売上高は前月比1.6%増と2017年9月以来1年半ぶりの大幅な伸びで着地。
新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比5000件減の19万2000件。1969年9月以来49年半ぶりの低水準継続。中国商務省の報道官が米中通商交渉の合意文書に関する協議で新たな進展はあったとコメント。支援材料となった。
 
週間ベースではNYダウは0.6%高、2週ぶり反発。NASDAQは0.2%高、4週続伸(累計4.7%上昇)。S&P500は0.1%安、4週ぶりに反落。
 
日経平均株価は110円高の22200円と反発。日足は2日連続の陰線。週足陽線基準22169円を上回り2週連続陽線。「イースター休暇入りで海外勢の動きが鈍っている。週末を控えていることもあり、様子見ムードが強い」と言う割にはしっかりした動きとなった。
東証1部の売買代金は2兆208億円。値上がり1147銘柄。値下がり899銘柄。新高値106銘柄。新安値97銘柄。任天堂、モバファク、ファーストリテが上昇。ファーストリテは11日続伸。日産自、大和ハウスが下落。
 
(2) 欧米動向
 
覚えておきたいのはNY主要3指数の過去最高値水準。
NYダウ(26559ドル)史上最高値26951ドル。あと392ドル(1.4%)。
NASDAQ(7998ポイント)史上最高値8133ポイント。あと135ポイント(1.6%)。
S&P500(2905ポイント)史上最高値2940ポイント。あと35ポイント(1.2%)。
 
S&P500採用企業の第1四半期決算は前年同期比1.7%の減益見通し。減益幅は日々減少している。
これまでに第1四半期決算を発表したS&P500指数採用企業は77社。
そのうち利益がアナリスト予想を上回った企業は77.9%。
 
(3)アジア・新興国動向
 
中国のGDPは前年同期比6.4%増。
小売売上高は前年同月比8.7%増。
工業生産高は8.5%増。
いずれも市場予想を上回っての着地。
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
22日(月):コンビニ売上高、シカゴ連銀全米活動指数、中古住宅販売、安倍首相が米国カナダ訪問、イースター・マンデー
23日(火):全国百貨店売上高、米新築住宅販売、FHFA住宅価格指数、受け渡しベースで平成最後の取引
24日(水):日銀金融政策決定会合(〜25日)、企業向けサービス価格指数、独IFO景況感、受け渡しベースで令和相場入
25日(木):黒田日銀総裁会見、展望レポート、米耐久財受注、中国「一路一帯」に関する国際会議
26日(金):失業率、鉱工業生産、商業販売統計、米1〜3月期GDP速報値
 
27日(土):10連休のGW開始
週末:スペイン総選挙投開票
29日(月):昭和の日で休場、米個人所得
30日(火):天皇陛下退位、米FOMC(〜1日)、中古住宅販売、シカゴ購買部景気指数、S&P住宅価格指数中国製造業PMI、ユーロ圏1〜3月GDP、アップル決算
1日(水):天皇即位の日、「令和」に改元、米ADP雇用レポート、ISM製造魚景況感、建設支出、ADB総会(マニラ)
2日(木):米国のイラン産原油に対する禁輸適用除外期限、英金融政策発表、中国財新製造業PMI
3日(金):米雇用統計、ISM非製造業景況感
 
 
気になるのは水曜日経マーケット面の「株、世界で楽観強まる」の見出し。
根拠は日経VIの7ヶ月半ぶりの低水準。
強弱取り混ぜたバランスの取れた解説が登場している。
しかしマーケット面の強気は市場の下落につながるアノマリー。
できれば弱気でいて欲しいというのが本音。
そして「強気型ETFで逆日歩」の解説。
日経レバに1年3ヶ月ぶりの逆日歩が発生した。
1口あたり5円。
この逆日歩のまま10連休を迎えるといきなり50円もの逆日歩になる。
持ち高解消売りどころか、踏み上げになる可能性を指摘していると読みたいところだ。
 
OECDのグリア事務総長は2019年の世界経済見通しを「必要に応じて下方修正する」とコメント。
前週のIMFのラガルド専務理事の発言と一緒だ。
5月にOECDが世界経済見通しを下方修正して驚かないことが重要になる。
荒唐無稽なのは「消費税率は26%まで引き上げるべき」という見方。
何を考えているのだろうか。
 
アノマリー的には・・・。
「3月に上昇したら5月は下落しやすく、3月に下落したら5月は上昇しやすい」。
そして・・・。
「4月に上昇したら8月は下落しやすく、4月に下落したら8月は上昇しやすい」。
3月は下落だったので5月は期待。
4月上昇→8月下落のアノマリーは外れて欲しいところ。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
 
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