英明コラム 3月第4週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》3月4週

【推移】
11日(月):
週末のNY株式市場はハイテク株中心に上昇。「中国の劉鶴副首相が、ムニューシン米財務長官およびライトハイザーUSTR代表と電話で会談。通商交渉でさらなる大幅な進展 を遂げた」との新華社電を好感。先物決済日ということから3市場の売買高は108億株と増加。過去2週間平均の75億株を大きく上回った。NYダウは1.6%高、NASDAQは3.8%高、S&P500は2.9%高。
 
日経平均株価は133円高の21584円と続伸。買いが先行の展開で前場21612円(前週末比161円高)まで上昇。一巡後は戻り売りに伸び悩み一時21500円(同49円高)まで押し戻される場面があった。「昨年3月末の終値21454円水準が意識されている。これより上回れば利益、下回れば損というような基準にされやすい」という声も聞こえる。
 
「25日線、13週線が上向きだが、200日線は下向きでネックライン。上に行くにも下に行くにも材料に乏しい」との見方もある。これで今年の月曜は9勝1敗。2勝8敗の木曜とは対照的だ。「高値圏で一進一退はいずれ売ってもダメなら買ってみな」につながる可能性があろうか。「上げ下げは外部環境次第という」つまらない状況ではある。
 
寄り付き126円高、大引け133円高で日足はかすかながら2日連続の陽線。12月第1週以来の26週線(21469円)上抜けだ。13週線が先週から上向いてきたのは悪くない任天堂、昭和電工が上昇。リズム、ラサ工が下落。
 
12日(火):
週明けのNYダウは4日続伸。19、20日開催予定のFOMCでFRBが利上げに慎重姿勢を示すとの観測が相場の支えとの見方だ。
OPEC加盟国とロシアなど非加盟の有力産油国がアゼルバイジャンで会合。6月末で終了する予定の協調減産の延長を協議。減産延長の可能性が高まり原油先物相場がほぼ4カ月ぶりの高値。これも相場の支えとなった。
経営再建中のドイツ銀行と独大手のコメルツ銀行との統合交渉進展も好材料視。エネルギー、金融などのセクターが上昇のけん引役となった。
 
日経平均株価は17円安の21566円と小幅に反落。下落は3日ぶり。21600円を前に利食いの売り物に押された格好。一時わずか1円高とプラスになった局面もあったが結局は方向感のない展開。「NY株高に連動できなかった点はネガティブだ。だが後場に崩れなかったことで、下値の堅さは印象づけられた」との見方もある。
下値のポイントは5日線(21435円)や25日線(21401円)だった。東証1部の売買代金は1兆8954億円。ファーストリテ、ファナックが上昇。NTTデータ、コナミが下落。
 
13日(水):
NY株式市場は小動き。「FOMCでハト派姿勢が確認されるとの楽観的な見方が対中貿易交渉を巡る懸念に相殺された」との解釈だ。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は一時1.6%上昇。6カ月強ぶりの高値水準を回復した。「FOMCを控え大きな動きはないだろう。
 
多くの市場関係者はドット・チャートがどうなるかに関心を寄せている」という見方だ。「市場予想を大幅に下回った2月の米雇用統計など今月発表された弱い経済指標がFRBの利上げ停止姿勢をサポートしている」という声も聞こえる。
 
日経平均株価は42円07銭高の21608円92銭と小幅に反発。もっともFOMCや休日控えで動意薄の展開。「3月決算期末を前にこれまで相対的に値動きが軟調だった自動車株に、国内年金が持ち高調整の買いを入れている」という見方だ。東証1部の売買代金は2兆863億円。3日ぶりに2兆円を超えた。トヨタ、キーエンスが上昇。ソニー、任天堂が下落。
 
15日(金):
20日のNY株式市場はNYダウとS&P500が反落。NASDAQは続伸。FOMCはFF金利の誘導目標を2.25?2.50%に据え置くことを全会一致で決定。2021年までを通して1回の利上げが実施されるとの見通しが示され、年内の利上げはない公算となった。
 
21日のNY株式市場は3指数そろって上昇。フィラデルフィア連銀の連銀業況指数がプラス13.7と前月のマイナス4.1から大きく上昇。前月は2016年5月以来のマイナス圏。3月は新規受注指数もプラス圏を回復。これを背景にしてFRBの経済見通しの鈍化に対する懸念が後退したとの解釈。個別ではアップルが上昇をけん引した。「先週まで2勝8敗の木曜が休日で良かった」という声が聞こえる。
 
日経平均株価は18円高の21627円と小幅に続伸。前日のNY株式市場でハイテクセクターが上昇した流れを受け半導体関連セクターがけん引役。もっとも日米金利差縮小観測から円高・ドル安に振れたことから下落した場面もあり結局は小幅な動き。日立、スズキ、ソフトバンクGが上昇。エーザイ、ソニーが下落。
 
 
(2) 欧米動向
 
先週末は3月の第3金曜日。
株価指数先物・オプション取引、個別株オプション・先物の取引が精算される「クアドルプル・ウィッチング」だった。
クアドルプル・ウィッチングの週の米株は強いというのがアノマリー。
1983年以降、S&P500はクアドルプル・ウィッチングの日に上昇22回、下落が14回。
週間では上昇24回、下落が12回。
NYダウはクアドルプル・ウィッチングの日に上昇19回、下落が17回。
週間では上昇25回、下落が10回。
 
(3)アジア・新興国動向
 
今週木〜金曜日に北京で閣僚級の米中貿易協議が開催予定。
ライトハイザーUSTR代表とムニューシン財務長官が訪中する。
4月初めにワシントンでの閣僚級協議開催も予定されている。
米中は2週連続で閣僚協議を開き 貿易協議の合意へ詰めを急ぐ方向だ。
 
先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち15指数が上昇。
上位1位フィリピン週間騰落率2.76%、2位中国2.73%、3位台湾1.91%、
4位ロシア1.39%、5位タイ1.27%、7位日本0.82%。
下位25位ブラジル▼5.45%、24位トルコ▲3.36%、23位ドイツ▲2.75%、
22位フランス▲2.50%、21位スイス▲1.73%、19位米国▲1.34%。
 
 
【展望】
 
スケジュールを見てみると・・・
 
25日(月):全産業活動指数、企業向けサービス価格指数、米シカゴ連銀全米活動指数、独IFO景況感
26日(火):3月末権利付き最終日、米住宅着工件数、S&P住宅価格指数、CB消費者信頼感
27日(水):管理配当落ち日、米貿易収支
28日(木):米GDP確報値、中古住宅販売仮契約
29日(金):失業率、鉱工業生産、米個人所得・個人支出、シカゴ購買部協会景気指数
 
【3月】(8勝6敗で6位、陽線確率57.1%)
 
22日(金)全国CPI、変化日
26日(火)上げの日
27日(水)3月権利配当落ち日
28日(木)変化日
29日(金)英国がEUを離脱、プロ野球開幕
31日(日)ウクライナ大統領選、欧州夏時間に移行
 
ようやくその論調が登場したか、というのが先週の日経土曜日経朝刊。
見出しは「マイナス金利、経済冷やす?」。
ここ数年主張して事にようやく日の目が当たったという感じだ。
「マイナス金利ということは今日よりも明日の方がモノは安いということ。
だったら今日モノを買いますか。
今日より明日に消費が伸びるのなら、景気が良くなるはずはない。
今日より明日の方がモノが高いからこそ人はモノを買う。
だからマイナス金利で景気が回復する筈はない。
2016年11月9日にトランプ氏が米大統領選挙で当選。
その後株価は日米ともに急騰した。
だからトランプ相場などと言われる。
しかし見逃されていることは、同じ日に10年国債利回りがマイナスからプラスに転じたこと。
金利が生じて明日への期待が出たために株価は回復した」。
これが自分の論旨だった。
日経では賢そうに学説が持ち出されている。
米サマーズ氏らが唱えるのは「マイナス金利は銀行の貸し渋りを招き経済を冷やす」。
あるいはコロンビア大学のウリベ教授。
「継続すると表明した上で段階的に利上げをすると金利以上に物価が上がり物価を考慮した実質金利は低下。
経済にプラスになる」。
小枝早大教授は「16年9月に日銀が政策金利をマイナス0.1%からゼロに引き上げたと試算。
政策金利よりも物価が上がり実質金利が下がり景気を押し上げるという試算になる」。
マイナス金利が金融緩和を強化するという学説は1930年代の経済学者アービング・フィッシャー氏のもの。
もはや古色蒼然としていると言えるのではなかろうか。
日銀は、金融緩和は継続するが、マイナス金利は排除するという金融政策を取ってみれば結論は出るのだろう。
しかし学説に固執する市場関係者の賛同を得られるとは思えない。
難しく考えるから、妙な論理がまかり通るのが経済学。
今日より明日の方がモノの値段が安い時に景気は良くなるのか。
市井のココロで考えれば結論は出ると思われる。

(兜町カタリスト 櫻井英明)
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