英明コラム 4月第1週 マーケットストラテジーメモ
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《マーケットストラテジーメモ》 4月1週

【推移】

1日(月):
週末のNY株式市場は主要3指数が続伸。米中両国は北京で行った通商協議で「進展が見られた。米政府は建設的だったとの見方。「貿易摩擦の終わりがかなり近付いているとの見通し。今四半期は非常に良い上昇率で締めくくった」とコメント。
NASDAQに新規上場した配車サービス大手リフトは公開価格比20%を超える初値。終値は8.7%高だった。個人消費の伸びは市場予想を下回り、所得も緩慢な伸び。

しかし米長短金利の逆転(逆イールド)は解消。「期末を迎え株式に一定の買いが入る中、国債への買いは後退した」との見方だ。日銀短観大企業製造業DIはプラス12と前回より7ポイント悪化で着地。市場予想はプラス14だったから下回っての着地。先行きはプラス8。非製造業DIはプラス21と前回より3ポイント悪化。大企業設備投資額はプラス6.2(前回は11.0)。

日経平均株価は303円22銭高の21509円03銭。後場は失速して上場幅を約170円縮小した。日足はギリギリ陽線。終値ベースで4日ぶりに3月権利配当落ち分を埋めた(基準値21428円)。年初来高値更新は228銘柄。年初来安値更新は18銘柄。明らかに新年度入で風景は変わった印象。第一三共、JXTG、ルネサスが上昇。ZOZO、キーエンスが下落。新年号関連ではレイ、大和冷機、梅の花などが動意。新興市場は軟調。

2日(火):
4月1日のNY株式相場は3日続伸。NYダウは前週末比329ドル高の26258ドル。昨年10月上旬以来、ほぼ半年ぶりの高値となった。上昇寄与上位はJP、GS、キャタピラー、ボーイング。下落寄与上位は医療保険・医療サービスのユナイテッドヘルス。NYダウとS&P500は終値ベースの年初来高値で取引を終了。

中国の政府と民間の3月の購買担当者景気指数(PMI)がそれぞれ好不況の分かれ目となる50を上回ったことを好感。「中国経済が底入れし、今後は世界経済をけん引する」との期待感が台頭。3月のISM製造業景況感指数は前月比0.9ポイント上昇の55.3と市場予想(54.3)を上回って着地。
日経平均株価は3円安の21505円と小幅反落。国内金融機関の売りに押されたとの解釈。ファナック、コマツが上昇。しまむら、楽天が下落。

3日(水):
NY株式市場はマチマチの動き。NYダウは79ドル下落しNASDAQは小幅高。S&P500種はほぼ横ばいだった。2月の耐久財受注統計はコア資本財(非国防資本財から航空機を除く)の受注が前月比0.1%減。市場予想の横ばいを下回った。「輸送機器が4.8%落ち込み全体水準を押し下げた」との見方だ。
耐久財受注の発表は政府機関閉鎖の影響で遅延していたが3月分は当初予定通り4月25日に発表予定。英FTの「今日からワシントンで開催される米中閣僚級協議で両国の合意が近づいている」の報道を好感。国財新非製造業購買担当者景気指数(PMI)の前月比大幅上昇での着地も好材料視された。

JPが消費増税実現の可能性低下のレポートを出したのも効いたかも知れない。
今年の水曜は前場高値を後場に更新する傾向が顕著だ。ほぼ上ヒゲのない日足陽線は美しい。これで今年の水曜は8勝6敗。
日経平均株価は209円高の21713円と反発。米中貿易摩擦の解決間近との解説が好感された。ファーストリテ、東エレが上昇。第一三共、住友不が下落。

4日(木):
水曜のNY株式市場は小幅上昇。米国家経済会議(NEC)のカドロー委員長が「米中通商協議が進展している。両国とも週内に合意に近づくことを望んでいる」とコメント。中国依存度の高い半導体セクターが上昇。フィラデルフィア半導体株指数(SOX指数)は一時3%高と過去最高値を更新した。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が8.5%高でS&P500種で上昇率トップ。インテルは2.1%高。ボーイングは1.5%安でNYダウの上値を抑えた。ISM非製造業総合指数は56.1。2017年8月以来の低水準を更新。

3月29日時点の裁定買い残は759億円増の1兆4429億円。5週連続増加。同裁定売り残は231億円増の9572億円。2週ぶりの増加。
日経平均株価は11円高の21724円95銭と小幅続伸。一時マイナスに沈んだ場面もあったが踏ん張った格好。これで木曜は今年3勝目。

ただTOPIXは小幅に反落しておりさすがに「魔の木曜」。日経平均は3月5日以来、約1カ月ぶりの高値水準。前日の終値(21713円)を挟んだ展開。「短期売買が中心。上昇相場の持続性は疑問だ。トレンドフォローの相場に入っている米国株の上昇が続けば日本株も後押しされよう、目先は米SOX指数に続きS&P500が最高値を更新できるかどうかが焦点」との声が聞こえる。トヨタ、JDLが上昇。ファーストリテ、平和堂が下落。

5日(金):
NY株式市場はNYダウが小幅続伸、S&P総合500が6日続伸。NASDAQは6日ぶりの反落とマチマチの動き。ハイテクセクターが下落した一方ボーイングやフェイスブックが上昇。トランプ米大統領と訪米中の中国の劉鶴副首相との会談への期待感も台頭した。新規失業保険申請件数は21.6万件。49年超ぶりの低水準となったことも好感された。雇用統計の発表を控えて売買エネルギーは低下。

日経平均株価は82円高の21807円と3日続伸。3月4日以来およそ1カ月ぶりの高値水準。3月4日に付けた年初来高値21822円04銭に接近した場面もあった。中国、香港などのアジア市場が休場で手掛かり難、米雇用統計の発表を控えて商いも低調だった。日足は陽線、週足も陽線。
東証1部の売買代金は1兆9652億円。2兆円を割り込むのは3月19日以来およそ半月ぶり。かんぽ生命、ファナックが上昇。セブンアイ、花王が下落。水曜高値(21722円)、火曜高値(21744円)は抜けた。3月高値(21860円)も捉えてきた。5日線(21531円)が25日線(21445円)を上抜けてミニゴールデンクロスも示現した。

(2) 欧米動向

IMFが発表した4月の世界経済見通し(WEO)。
「米中通商戦争が激化すれば、両国から製造業部門の雇用が流出。
雇用が失われる恐れがある。
ただ両国の総合的な貿易収支は変化しない」という骨子。
「米中通商戦争が激化すれば、中国では電子産業を含む製造業部門、米国では農業部門が大きな打撃を受ける。
米国の農業・輸送機器部門で1%の雇用が失われると予想。
中国では家具、宝飾品などを含むが電子機器を除く製造業部門で5%の雇用が喪失する」。
米国の輸入全体に占める中国からの電子機器・機械類の割合は、関税措置を受け22.1%から11.5%に低下。
同時に、他の国からの輸入の割合が上昇する。
東アジア諸国が15.6%から17.7%、メキシコが12.6%から14.6%、
カナダが10.8%から12.3%にそれぞれ上昇するとの試算だ」。
だから何?という気がしないでもない。


(3)アジア・新興国動向

中国の国家統計局発表の3月PMIは1.3ポイント上昇し50.5ポイント。
2018年10月以来5ヶ月ぶりに50ポイントを超えた。
33兆円の減税やインフラ投資の債権発行枠の6割増と景気対策が奏功したのか。あるいは前月が春節だったという特殊要因があるのかは微妙。
財新とマ−クイットが発表した製造業PMIも市場予想を上回り50を4カ月ぶりに上回った。
上海 総合指数は6日続伸し、約1年ぶりの高値水準。

先週の世界の株式相場は主要25の株価指数のうち23指数が上昇。

上位1位トルコ週間騰落率5.33%、2位中国5.04%、3位ドイツ4.20%、
4位メキシコ3.95%、5位シンガポール3.42%、8位日本2.84%。
下位25位フィリピン▲0.60%、24位マレーシア▲0.11%、23位インドネシア0.08%、
22位オーストラリア0.14%、14位米国2.30%。

【展望】

スケジュールを見てみると・・・

8日(月):国際収支、消費動向調査、景気ウォッチャー調査、さくらレポート、米製造業受注
9日(火):イスラエル総選挙
10日(水):企業物価指数、機械受注、黒田総裁信託大会で挨拶、5G電波第1弾割当、米消費者物価指数、FOMC議事録、財政収支、ECB定例理事会
11日(木):マネーストック、都心オフィス空室率、米生産者物価、中国消費者・生産者物価、G20財務省・中央銀行総裁会議、インド総選挙(〜5月19日)、北朝鮮最高人民会議
12日(金):オプションSQ、米輸出入物価、ミシガン大学消費者信頼感、中貿易収支、IMF世銀世界大会(ワシントン)、英議会EU離脱期限

【4月】(8勝6敗で6位、陽線確率57.1%)

9日(火)イスラエル選挙、下げの日
10日(水)ECB理事会、
11日(木)G20財務省・中央銀行総裁会議、ゴルフマスターズ開幕、木星逆行、天赦日、株安の日、変化日
12日(金)SQ、IMF・世銀春季総会(ワシントン〜14日)
16日(火)上海国際自動車ショー(〜25日)
17日(水)インドネシア大統領選、下げの特異日
18日(木)上げの日
19日(金)NY休場(グッド・フライデー)、変化日、満月、変化日
21日(日)衆院沖縄3区補選、統一地方選
22日(月)ロンドン休場(イースター・マンデー)
23日(火)株高の日
24日(水)日銀金融政策決定会合(〜25日)
25日(木)変化日、株安の日
26日(金)経済同友会通常総会、米GDP速報値発表
27日(土)10連休開始
29日(月)昭和の日で休場
30日(火)天皇陛下が退位、休場 米FOMC(〜1日)、ユーロ圏GDP速報値発表、土星逆行


明るいのは日銀が発表した10〜12月期の「需給ギャップ」。
18年10〜12月期はプラス2.23%。
9四半期連続で需給超過になった。
1992年4〜6月期のプラス2.39%に迫る高水準。
26年半ぶりとなる大幅な需給超過だ。
背景は雇用環境の改善や機械設備の稼働率向上。
需給ギャップ改善は物価の押し上げ要因となる。

(兜町カタリスト 櫻井英明)

 
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