【株式・為替相場展望】
米国の利上げ開始時期、中国の構造改革、週末のSQを巡って不安定な展開
■「9月7日〜11日の株式・為替相場展望
9月7日〜11日の株式・為替相場は、米国の利上げ開始時期や中国の構造改革への取り組みを巡って思惑が交錯する。さらに週末11日の株式先物・オプションのメジャーSQ(特別清算指数)算出に向けて不安定な展開となりそうだ。
9月4日発表の米8月雇用統計で、非農業部門雇用者増加数は17.3万人市場予想を大幅に下回ったが、6月分と7月分が上方修正されたため6月〜8月3ヶ月平均は22.1万人となり、雇用回復の目安とされる20万人を上回った。また8月の失業率5.1%はリーマンショック前の08年4月以来7年4ヶ月ぶりの低水準となり、平均時給も前月比0.3%上昇で5ヶ月ぶりの高い伸びとなった。
世界の金融市場が混乱しているため米FRB(連邦準備制度理事会)は利上げ開始時期を先送りするとの見方がある一方で、米8月雇用統計の結果を受けて米FRBが9月に利上げを開始するとの観測が強まり、米国株は大幅下落した。為替はリスク回避の動きが強まりドル安・円高方向に傾いた。
このため少なくとも9月16日〜17日開催の米FOMC(連邦公開市場委員会)までは、米国の利上げ開始時期を巡って思惑が交錯する状況が続きそうだ。
また9月5日にはトルコ・アンカラで開催されていたG20財務相・中央銀行総裁会議が閉幕した。中国問題に議論が集中し、中国に人民元改革の透明性向上、過剰設備の解消、さらに不良債権処理といった構造改革を求める声が相次いだとされている。そして共同声明では通貨安競争回避を確認した。
こうしたG20財務相・中央銀行総裁会議の結果に対して、具体的な政策に踏み込んでいないため市場が落ち着くには不十分との見方が優勢になるのか、それとも市場に一定の安心感に広がるのかが焦点となる。
さらに中国人民銀行総裁が中国の株価について「6月中旬まではバブルだった。それ以降、調整があった」とバブルがはじけたことを認め、中国財政相が中国経済の先行きについて「今後5年間は構造転換の陣痛期になる。消費主導への転換は苦難の調整過程になるだろう」との見通しを示したことに対して、中国景気の悪化や構造改革の難しさに対する警戒感が一段と強まるのか、それともアク抜けに繋がるのかが焦点となる。
テクニカル面では株式相場も為替相場も、トレンド転換を示すサインが点灯しているだけに、リスクオフ色を一段と強める形になれば、調整本格化に注意が必要となる。ただし海外投資家の売りがピークアウトした可能性があり、全体として弱気なコメントが大勢になってきたことを考慮すれば、一旦はリバウンドの動きが強まる可能性もあるだろう。
その他の注目スケジュールとしては、7日の日本7月景気動向指数、8日の日本4〜6月期GDP1次改定値、中国8月貿易収支、9日の米アップル新製品発表会、10日の日本7月機械受注、中国8月PPI・CPIなどがあるだろう。
(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media−IR)
《Eimei「みちしるべ」》
(9月7日から9月11日の週)
「相場はタイミングこそすべて」という声と「相場は銘柄選択こそすべて」の声。
どちらも正しく思えるからややこしい。
「CMEが安いから今日は安い」というような十年一日のような相場見通しではもう通用しない。
「行き過ぎもまた相場なり」は言い得て妙な格言。
「相場の故郷かえり」は上でも下でも活用できる筈。
ふと気がつけば日銀が先週金曜に買ったETFは317億円。
それまでは337億円づつだったから少し減った。
何しろ今年買ったETFは2兆3003億円。
今年の予定額は3兆円で残りは約7000億円。
この317億円のペースだとあと22回で底を突く計算。
これが間に合わなくなったらどうするのだろう。
3兆円を5兆円くらいまでに増やすとすれば事足りるのだろうか。
そうすると全体15兆円のETFのうち10兆円を日銀が保有することになる。
これは異常な数字だが、誰も文句を付けないところが不思議なところ。
そして国策に売りなしが勝てるのかどうか。
人民元にナーバスな中国みたいなものではないが、どうも国家的相場形成というのが気にかかる。
「国民背番号制度」がマイナンバーになるとすんなり通るようなものだろうか。
「安保」もセーフティシステムとでも呼び変えると自虐的だが良いかも知れない。
興味深いのは日経平均採用銘柄の入れ替え。
新規採用が長谷工(1808)とDeNA(2432)。
除外が日東紡(3110)、平和不(8803)。
流動性で平和不とDeNAを交換、業種間調整で長谷工とDeNA。
平和不動はもともと取引所の大家さん。
そして以前は特定銘柄のゲキタク商い対象銘柄。
相場は平和不(ボロ)から寄り付き、ホロで引けるのが兜町だったが・・・。
そんな昭和の匂いも消えてきたのだろうか。
機械にそんな情緒的なことを求めても詮無いことなのだろう。
因みにゲキタクは「撃柝」で拍子木を打って商い成立の合図にしていた。
しかも集団競争売買のセリ商い。
株をセッた時代は終わった感。
「出来申さず」カーン。
なんて言葉は死語と化してしまうのだろう。
日経平均想定レンジ
下限17529円(PER14倍台割れ水準)〜上限19071円(200日移動平均)
日経平均の25日移動平均からのかい離はマイナス9.32%(8月25日はマイナス12.2%)。
75日線からはマイナス11.65%。
200日線19071円からはマイナス6.72%。
仮に10%のマイナスかい離ならば17163円となる。
松井証券信用評価損率速報で買い方はマイナス16.39%。
(8月25日がマイナス18.867%)。
東証1部の騰落レシオ72.93%(8月25日は67.22%)。
2011年以来5回目の70%割れだったという指摘も聞かれる。
日経平均採用銘柄のPERは14.21倍。
EPSは1252円だから17529円を割れるとPERは13倍台に低下する。
2月9日(17799円)と12日(17979円)のマドは埋めた。
その下のマドは10月31日の16533円と11月4日の16720円のマド。
そこまでは考えにくいところだし、そうなるとPERは13.2倍台まで低下してしまう。
吹き続ける野分はないし、山より大きなイノシシは出ない。
問題はどの程度の山を想定するかだが・・・。
ウクライナを話題にしギリシャを弄んだ市場。
今は中国とアメリカと言う連立方程式に翻弄されている。
2つのことを同時に考えられない株式市場の特性を突かれた印象。
そしれいずれ忘却の世界に彩られるのだろうが、我慢できないのも株式市場の特性。
(兜町カタリスト 櫻井英明)
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