1日のNYダウ工業株30種平均は5日続落し、前日比542ドル40セント安の4万3588ドル58セントで終えた。
この日発表された7月の米雇用統計で、非農業部門の就業者数が前月比7万3000人増と市場予想(11万人増)を下回った。さらに5月と6月の数値が大幅に下方修正され、市場で米経済の急激な冷え込みへの懸念が拡大。幅広い銘柄に売りが広がった。
就業者数の直近3カ月の平均は月3万5000人増にとどまり、コロナ禍以降で最低水準となった。米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長は今週、早期利下げに慎重姿勢を示したが、市場参加者からは「景気を下支えするため9月に金利が引き下げられる」との見方が聞かれた。
経済の先行き不透明感が強まり、主力株に売りが広がった。ダウ平均の下げ幅は790ドルに達する場面もあった。
1日午前に発表された7月の米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数は48.0と、市場予想(49.5)に反して6月(49.0)から低下した。トランプ米大統領は7月31日、新たな相互関税を各国に8月7日から課す大統領令に署名した。約70カ国・地域に10〜41%の税率を示した。米政権の貿易政策が米国や世界景気に与える影響への懸念も相場の重荷となった。
アマゾン・ドット・コムが大幅に下落したことも、ダウ平均を押し下げた。前日夕に2025年4〜6月期決算と併せて発表した7〜9月期の営業利益見通しが市場予想を下回り、嫌気した売りが広がった。アップルも売りが優勢になった。前日夕に発表した4〜6月期決算は市場予想を上回ったものの、今後の関税コストの収益への影響などを巡る不透明感が重荷となった。
そのほかの個別銘柄では、ユナイテッドヘルス・グループへの売りも目立った。スリーエム(3M)やセールスフォース、エヌビディアも売られた。JPモルガン・チェースやゴールドマン・サックスといった金融株も下げた。一方、シャーウィン・ウィリアムズやジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)、ホーム・デポは上昇した。
ナスダック総合株価指数は続落し、前日比472.316ポイント安の2万0650.132で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
1日のシカゴ日経平均先物は下落した。9月物は前日比765円安の4万円で終えた。同日の米株式市場でダウ工業株30種平均が下落し、日経平均先物にも売りが出た。
シカゴ日経225先物 (円建て)
40000 ( -860 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
40045 ( -815 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
1日の英FTSE100種総合株価指数は続落し、前日比64.23ポイント(0.70%)安の9068.58で終えた。米関税政策が世界景気に悪影響を及ぼすとの懸念が、足元で再び強まっている。米景気の不透明感から同日の米株式相場が下げて始まったのも、投資家心理の重荷となった。
トランプ米大統領が7月31日付で欧米の製薬17社へ薬価引き下げを求める書簡を送ったことを受け、対象に含まれた英アストラゼネカとGSKが売られた。
FTSEの構成銘柄では、品質検査会社インターテックが6.68%安、エンジニアリング会社ウィアーグループが6.15%安、有害生物管理会社レントキル・イニシャルが4.72%安と大きく下落。一方、教育・メディア大手ピアソンは6.06%高、投資会社メルローズ・インダストリーズは5.00%高、日用品・食品大手ユニリーバは2.79%高と買われた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
1日のドイツ株価指数(DAX)は続落し、前日比639.50ポイント(2.65%)安の2万3425.97と6月23日以来、約1カ月ぶりの安値で終えた。米関税政策が欧州の景気や企業収益の逆風になるとの警戒感が、足元で再び強まっている。1日発表の米雇用統計をきっかけに米景気の不透明感が意識されたのも、重荷となった。
幅広い業種・銘柄に売りが広がった。
DAXを構成する40銘柄のうち上昇して終えたのは医薬・農薬大手の独バイエル、電力大手エーオン、ドイツ取引所の3銘柄にとどまった。
個別では、商用車大手ダイムラー・トラックが8.71%安、総合電機大手シーメンスが5.31%安、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが4.96%安と下げた半面、製薬大手バイエルは2.82%高、エネルギー大手イーオンは0.28%高、ドイツ取引所は0.20%高で終了した。
■フランス・パリ株価指数
欧州市場でフランスの株価指数CAC40は続落し、前日比2.90%安の7546.16と6月23日以来の安値で終えた。