
きょうは前週後半の流れを引き継ぎ、主力株中心にリスク回避の地合いとなった。前週末の欧州株市場がほぼ全面安だったことに加え、米国株市場でも景気敏感株などの上値が重く、NYダウが3日ぶりに反落しており、東京株式市場でも買い気が盛り上がらなかった。トランプ米政権が欧州連合(EU)に対し8月1日から30%の関税をかけることを表明したことなどを受け、不透明感を助長している。20日に投開票が予想される参院選では与党の苦戦が取り沙汰されていることも、上値を重くした。海外投機筋が株価指数先物に断続的な売りを出し、日経平均の下げ幅は一時300円に迫った。
ただ、外国為替市場では1ドル=147円台で推移するなどドル高・円安方向に振れており、これが自動車など輸出セクターの株価下支え材料となり、一時日経平均は前日終値を上回って推移する場面もあった。
円安が輸出採算改善につながるトヨタやホンダなどの自動車株が買われた。第一三共やアステラス、中外薬などの医薬品株の買いも目立った。
11日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落した。米国がカナダに8月1日から35%の関税を課すと表明。高関税政策で世界景気が悪化するとの懸念から主力株に利益確定の売りが出た。米国は12日、欧州連合(EU)とメキシコに対して8月1日から30%の関税を適用するとも表明した。市場では米政権とEUとの暫定的な合意は近いとの見方も出ていただけに、想定と異なる関税の引き上げ方針は投資家心理の悪化につながった。東京株式市場では半導体や電子部品の一角に世界的な景気悪化を警戒した売りが出た。
TBSは14日、20日投開票の参院選で、同社をキー局とする民放ネットワーク、JNNが中盤情勢を分析した結果として「自公で参議院の過半数を割り込む可能性がある」と報じた。与党が非改選を合わせて過半数維持に必要な50議席獲得が微妙という。
市場では「政権与党が議席を大きく減らして政権基盤が弱まると関税を巡る日本の交渉力が低下し、米国が交渉妥結に後ろ向きになる可能性がある」との声もあった。
仮に参院で与党が過半数割れとなれば、大規模な財政出動が現実味を増し、長期金利の上昇が警戒され、これが日本株売りにつながることへの懸念がくすぶっている。
一方、税収増という財政余力を背景に野党が主張するガソリン減税などの政策が進展すれは、家計の購買力が高まり、企業業績の向上を通じて株式市場に追い風になるとの声も聞かれ、強弱感が対立している。主力株よりも景気動向に左右されにくい小型株に投資家の注目が集まっている。