【大引け概況】
7日の日経平均株価は8営業日ぶりに反落し、終値は前営業日比51円03銭安の3万6779円66銭だった。
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4連休明けとなったきょうの東京株式市場は様子見ムードのなか、日経平均株価は前週末終値近辺でのもみ合いとなったが、結局マイナス圏で着地した。前日の米国株市場ではNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに安く引けており、外国為替市場でも連休中にドル安・円高方向に振れていたことから、やや風向きが悪い中での取引となった
トランプ米政権が打ち出す高関税政策への警戒感が根強いほか、日本時間あす未明に明らかとなるFOMCの結果やパウエルFRB議長の記者会見を前に持ち高調整の売りも出やすい環境だった。しかし、米中の貿易問題を巡る閣僚級協議がスイスで開かれると伝わったことなどがポジティブに捉えられたもようで、思いのほか株価は底堅く、値上がり銘柄数が値下がりを上回り、TOPIXは9日続伸して引けている。
きょうの東京株式市場でも一時1ドル=142円台に上昇した。主力の輸出関連株に積極的な買いが入りづらく、相場全体の重荷となった。一方、米国と中国が週内に貿易問題を巡る閣僚級協議をスイスで開くと発表した。米中貿易摩擦が緩和に向かうとの期待から上昇する場面もあったが、買いの勢いは続かなかった。
トランプ米大統領は日本の大型連休中に医薬品に対する関税措置を2週間以内に発表すると明らかにしたほか、外国で制作される映画に対して100%の関税を課す考えを示した。これを受け、きょうの東京市場では医薬品株や映画関連株への売りが目立った。とくに下げがきつかったのが医薬品株で、東証プライム市場の業種別株価指数の騰落率ランキングで下落率首位となり、2.73%安で取引を終えた。日米両政府は1日に関税交渉の第2回会合を開いたものの、自動車産業については双方が譲れない展開となり、交渉が膠着しているとの見方も売りを促した。
朝方は上昇して始まり、上げ幅を100円超に広げる場面があった。トランプ米政権は日本時間7日朝、ベッセント米財務長官と米通商代表部(USTR)のグリア代表が今週スイスを訪問し、中国と貿易問題を巡る協議をすると発表。米中交渉の進展期待から株価指数先物に買いが入った。ただ、買い一巡後は売りに押される場面が目立った。市場関係者は、「米中関税交渉が始まること自体は投資家心理の支えになったが、交渉過程で具体的な関税率の引き下げ幅が見えてこない限り、投資家が積極的に買い進む雰囲気は広がらないだろう」と話した。
日本時間8日未明には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表を控えているとあって投資家の様子見姿勢も強かった。市場では、今回のFOMCで政策金利の据え置きを予想する声が多い。米政権の関税政策で米景気の先行きやインフレ再加速への懸念が広がっており、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の金融政策に対してどのような発言をするかに関心が集まっている。結果を見極めたいとの雰囲気から、前営業日の終値(3万6830円)を挟んで方向感に乏しい展開が続いた。
注目のFOMCでは金融政策の現状維持が大方の予想だが、パウエルFRB議長の会見で、トランプ米政権による高関税政策が、経済に与える影響や先行きの金融政策の運営についてどのような発言をするのかに投資家の関心が集まっている。さらに週末10日から行われる米中高官級の通商交渉に向け、トランプ米大統領がどのような見解を示すのかにも注目が集まりそうだ。全般は様子見ムードの強い展開が想定されるなか、本格化する国内企業の決算を受けた選別色が一段と強まることになりそうだ。
東証株価指数(TOPIX)は9日続伸した。9日続伸は2021年3月9日〜19日の9日続伸に並ぶ4年2カ月ぶりの長さ。終値は8.38ポイント(0.31%)高の2696.16だった。JPXプライム150指数は9日続伸し、1.99ポイント(0.17%)高の1196.66で終えた。
東証プライムの売買代金は概算で4兆9187億円、売買高は21億5494万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は550。値上がりは1035、横ばいは50だった。
個別では、売買代金トップのディスコがしっかり、フジクラも高く、三菱重工業も頑強な値動きだった。東京エレクトロンが買われたほか、日立製作所も値を上げた。三菱商事など商社株も買いを集めた。良品計画が活況高。ユー・エム・シー・エレクトロニクスが値上がり率トップとなり、ノジマ、矢作建設工業、TOAも値を飛ばした。TOKYO BASE、インフォマートも大きく水準を切り上げた。
半面、トランプ大統領が外国で政策した映画に100%の関税をかける方針をSNSで示したことから、ソニーグループや、東宝など映画関連銘柄の一角が下落。川崎重工業が安く、信越化学工業、サンリオなどが売りに押され、ファーストリテイリングも下落した。トヨタ自動車、ホンダ、SUBARUも冴えない。マクニカホールディングスが急落、また、医薬品に対する関税措置についても2週間以内に発表すると明らかにしたことで、中外薬、第一三共、日本新薬、小野薬品工業、ペプチドリーム、エーザイなど薬品関連株への売りが目立っている。
7日の東京株式市場は、軟調な展開か。
日経平均株価の予想レンジは、3万6500円-3万3700円を想定。(2日終値3万6830円69銭)
休場の間の米国株は、2日は大幅高となった一方、5日と6日は下落した。ダウ平均は2日に564ドル高、5日に98ドル安となり、6日は389ドル安の40829ドルで取引を終えた。
現地6日の米国株式が下落した動きから、売り先行スタートが見込まれる。
為替相場は、ドル・円が1ドル=143円台の前半(前週末2日は145円13-15銭)、ユーロ・円が1ユーロ=162円台の前半(同164円39-43銭)と大きく円高方向に振れている。円高による業績への影響を警戒し、輸出関連銘柄を中心に弱い動きを強いられそうだ。シカゴ日経平均先物の円建て清算値は、同2日の大阪取引所清算値比60円安の3万6750円だった。
【好材料銘柄】
■TOA <6809>
今期経常は20%増益、2円増配へ。
■東邦レマック <7422>
4月売上高は前年同月比7.6%増、総利益は同14.6%増。
■ユーラシア旅行社 <9376>
上期経常を一転2.3倍増益に上方修正。
【主な経済指標・スケジュール】
7(水)
【国内】
《決算発表》
JT、LINEヤフー、川崎船、横河電、メルカリ、DMG森精、マクニカHD、ノジマ、JMDC、キッセイ薬、ガリレイ、日本ライフL、プリマハム、アクシアル、新明和、東計電算、インソース、日本電技、日東富士、イリソ電子、矢作建、スパークスG、HENNGE、東京鉄、安田倉庫、LITALICO、有沢製、中部飼、ヤマト、スクロール、BUFFALO、スズデン、インテリW、ヨンキュウ、いであ
【海外】
パウエルFRB議長会見
《欧決算発表》
アーム・ホールディングス
《米決算発表》
ウーバー・テクノロジーズ、ウォルト・ディズニー、フォーティネット
※株式スケジュールは予定の為、変更される場合があります。
6日のNY7ダウ工業株30種平均は続落し、前日比389ドル83セント安の4万0829ドル00セントで終えた。トランプ米政権の関税政策に対する警戒から製薬株が下げた。米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果公表を7日に控え、主力株には持ち高調整や利益確定目的の売りも出た。ダウ平均の下げ幅は400ドルを超える場面があった。
カナダのカーニー首相は同日、就任後初めてトランプ大統領と対面で会談した。友好ムードが演出された一方、トランプ氏はカナダへの関税見直しの可能性を問われた際、「ノー」と明言。市場では、関税協議の先行きについて「不透明感がかえって強まった」(日系証券)との懸念が浮上し、ダウの下げ幅が拡大した。
トランプ氏が5日、輸入医薬品への追加関税を2週間以内に発表すると宣言したことも投資家心理を圧迫。メルクやアムジェンなど製薬株の下げも相場の足を引っ張った。朝方発表された3月の米貿易統計では、モノとサービスを合わせた貿易収支の赤字額が過去最大だったことも重荷となった。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、ビッグデータ分析のパランティア・テクノロジーズが12%安で終えた。5日夕に2025年1〜3月期決算を発表し、同時に25年12月期通期の収益見通しを上方修正した。一方、市場では株価に割高感があるとの指摘が目立ち、売りが膨らんだ。「注目度の高いパランティアの急落が投資家心理の重荷となった」との見方があった。
ダウ平均は下げ渋る場面があった。ベッセント米財務長官は6日、早ければ今週にも主要な貿易相手国の一部と貿易協定を発表する可能性があると述べた。英フィナンシャル・タイムズ(FT)は同日、英国と米国が自動車と鉄鋼の対米輸出の一部に低関税枠を設けることなどを盛り込んだ協定の合意に近づいていると報じた。貿易交渉の進展期待は相場の支えとなった。
ダウ平均の構成銘柄では、メルクやアムジェンといった製薬株の下げが大きかった。ユナイテッドヘルス・グループとシャーウィン・ウィリアムズ、ハネウェル・インターナショナルも安かった。半面、ベライゾン・コミュニケーションズとマクドナルドが上昇した。
ナスダック総合株価指数は続落した。前日比154.582ポイント(0.86%)安の1万7689.659(速報値)で終えた。テスラが下げた。欧州での販売減速が続いていると伝わり、売り材料になった。メタプラットフォームズも安かった。
【シカゴ日本株先物概況】
6日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比405円安の3万6750円で終えた。この日は東京市場が祝日で休場となるなかトランプ米政権の関税政策へ警戒感から米株式相場が下落し、シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
36750 ( -60 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
36820 ( +10 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
6日の英FTSE100種総合株価指数は小幅ながら16日続伸した。英国の3連休前にあたる2日に比べ1.07ポイント(0.01%)高の8597.42と4月2日以来、約1カ月ぶりの高値を更新した。16日続伸は、1984年に指数公表を始めて以降で最長となる。
貿易摩擦が英国を含む世界経済の逆風になるとの懸念は根強いものの、英イングランド銀行(中央銀行)が段階的に利下げを進めるとの観測が投資家心理を支えた。英中銀は8日に金融政策委員会の結果を発表する。市場では0.25%の利下げを決めるとの観測が優勢となっている。
ブリティッシュ・アメリカン・タバコ(BAT)に買いが集まったほか、英テスコをはじめスーパー大手に買いが優勢となるなど、業績が景気動向に左右されにくいディフェンシブ銘柄に買いが入った。英BPも上昇。英石油大手シェルがBP買収の可能性を検討していると、3日に米ブルームバーグ通信が伝えていた。一方で英シェルは下落した。英アングロ・アメリカンなど資源の一角に売りが出た。
FTSEの構成銘柄では、産金大手エンデバー・マイニングが5.23%高、同業フレスニロが4.73%高、流通大手セインズベリーが3.42%高と大きく買われた。一方、流通大手マークス&スペンサーは4.66%安、金融大手スタンダード・チャータードは3.69%安、鉱業大手アングロ・アメリカンは3.09%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
6日のドイツ株価指数(DAX)は10営業日ぶりに反落し、前日比94.89ポイント安の2万3249.65で終えた。関税を巡る米国と貿易相手の交渉が進展するとの観測が後退し、投資家心理の重荷となった。株式相場がこのところ水準を切り上げていたため、利益確定の売りが出やすかった面もある。
ドイツの政局と財政政策を巡り先行き不透明感が改めて意識されたのも、相場の重荷だった。ドイツ連邦議会(下院)で6日実施された首相指名選挙では、中道右派キリスト教民主同盟(CDU)のメルツ党首が首相に選出された。だがメルツ氏は、午前中の第1回投票では選出に必要な過半数票を集められず、異例となる第2回投票を経て首相に決まった。財政政策が進まないリスクが意識され、DAXは下げ幅を広げる場面があった。
個別では、人工透析製品・サービスのフレゼニウスメディカルケアが5.19%高と急伸し、自動車部品大手コンチネンタルが2.40%高、コメルツ銀行が1.19%高で続いた。半面、一部の金融機関が目標株価を引き下げた化粧品大手バイヤスドルフは4.14%安、6日に2025年1〜3月期決算を公表した通販大手ザランドは上昇して始まったものの次第に売りが増え3.35%安、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは2.46%安と売りが膨らんだ。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は続落し、前日比0.40%安で終えた。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は11営業日ぶりに反落した。