5日のNYダウ工業株30種平均は10営業日ぶりに反落し、前週末比98ドル60セント安の4万1218ドル83セントで終えた。
ダウは前週末まで9営業日続伸しており、利益確定の売りも出やすかった。トランプ氏は4日にSNSへの投稿で、他国が米国の映画会社や制作者に対するさまざまな誘致策を講じていると不満を表明。「再び米国で映画を作りたい」と書き込んだ。
この日はウォルト・ディズニーやネットフリックスなどのメディア企業が売られた。
また主要産油国による増産決定を受けた原油安で、エネルギー大手も値下がりした。シェブロンは2%超安だった。
米連邦準備制度理事会(FRB)は6、7日に金融政策会合を開催する。市場では政策金利の据え置きが確実視されているが、今後の米国の景気やインフレ見通しに関するパウエルFRB議長の発言に注目が集まっている。
ダウ平均は250ドルあまり下落する場面があった。トランプ米大統領が4日に自身のSNSで、外国で制作した映画に100%の関税をかける方針を示した。米商務省と米通商代表部(USTR)に必要な措置を取るよう指示したという。デジタル配信が含まれるかは現時点ではわからない。トランプ政権の保護主義的な姿勢が企業業績の逆風になる可能性が意識された。
ウォルト・ディズニーが売られたほか、ダウ平均の構成銘柄以外ではネットフリックスが2%弱下げた。パラマウント・グローバルやワーナー・ブラザーズ・ディスカバリーも売られた。
中国などとの関税交渉を巡り、依然として不透明な部分が多いことも相場の重荷となった。トランプ氏は4日に記者団に対し、米政権関係者が中国政府と協議しているものの、現時点で自身が習近平(シー・ジンピン)国家主席と対話する予定はないと明らかにした。
4日公開の米NBCテレビのインタビューでは対中関税について「どこかの時点で引き下げるだろう」と述べていた。米政府は中国製品の大半に145%の関税を課しており、中国からの輸入品の急減や価格の上昇が米経済の混乱につながるとの懸念がある。
ダウ平均は2日までの9営業日の間に3100ドルあまり上昇し、約1カ月ぶりの高値を付けていた。短期的な過熱感から利益確定や持ち高調整の売りが出やすい面もあった。
6〜7日に米連邦公開市場委員会(FOMC)を控える。市場では「米連邦準備理事会(FRB)は政策金利を据え置くだろう」との声が聞かれる。パウエル議長の記者会見などを見極めたい姿勢があり、積極的な買いが入りにくい面もあった。
一方、ダウ平均は上昇に転じる場面があった。米サプライマネジメント協会(ISM)が5日発表した4月の非製造業(サービス業)景況感指数は51.6と3月(50.8)から改善し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(50.4)も上回った。個別項目では、「新規受注」や「価格」が上昇した。前週発表の4月の製造業景況感指数が市場予想を上回ったことに続き、景気懸念を強める内容ではなかったことが投資家心理を支えた。
米関税を巡って相手国との交渉進展を期待した買いも入った。米ブルームバーグ通信は5日、インドが米国との最近の貿易交渉において、鉄鋼、自動車部品、医薬品について一定の輸入量まで相互関税をゼロにすることを提案していると報じた。ベッセント米財務長官は同日の米CNBCのインタビューで、貿易交渉について「いくつかの合意に非常に近づいている」との考えを示した。
そのほかのダウ平均の構成銘柄では、アップルやシェブロン、ナイキが売られた。アマゾン・ドット・コムやセールスフォースも安かった。半面、IBMやユナイテッドヘルス・グループ、マクドナルドが買われた。ウォルマートやボーイングも高かった。
ナスダック総合株価指数は3営業日ぶりに反落した。前週末比133.487ポイント(0.74%)安の1万7844.241(速報値)で終えた。テスラやブロードコムが売られた。
S&P500種株価指数は10営業日ぶりに反落した。前週末比36.29ポイント(0.63%)安の5650.38で終えた。2日までに9連騰し、3月下旬以来の高値で終えていたあとで、主力銘柄には短期的な利益確定の売りが出やすかった。
【シカゴ日本株先物概況】
5日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前週末比60円安の3万7155円で終えた。米政権による関税政策への警戒が根強く、米株式相場が下落。シカゴ市場の日経平均先物にも売りが優勢となった。外国為替市場で円高・ドル安が進行したことも重荷となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37155 ( +345 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37220 ( +410 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
英国市場は祝日のため休場
■ドイツ・フランクフルト株価指数
5日のドイツ株価指数(DAX)は9日続伸した。前週末比257.89ポイント(1.11%)高の2万3344.54と、3月中旬以来の高値で終えた。米国と貿易相手国の関税を巡る交渉が進展するとの期待が相場を押し上げた。
トランプ米大統領は4日、貿易問題を巡って、中国を含む複数の国と交渉していると語った。
DAXの構成銘柄では、防衛大手ラインメタルが3.24%高、コメルツ銀行が2.92%高、ミュンヘン再保険が2.73%高と大きく上昇。一方、化学大手BASFは4.30%安、郵便・物流大手ドイツポストは3.25%安、通販大手ザランドは1.56%安となった。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数であるCAC40は反落し、前週末比0.54%安で終えた。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は10日続伸した。10連騰は2021年8月以来となる。
個別では、保険大手アクサが2.36%高、航空機大手エアバスが2.14%高、ライフサイエンス企業のユーロフィン・サイエンティフィックが1.98%高と買われた半面、高級ブランドのグッチなどを抱えるケリングは2.53%安、製薬大手サノフィは1.96%安、コールセンター運営大手テレパフォーマンスは1.92%安で取引を終えた。