25日午前の日経平均株価は続伸し、午前終値は前日比488円24銭高の3万5527円39銭だった。
前日の米株式市場では、米中貿易摩擦の緩和に対する期待が膨らみNYダウが486ドル高と3日続伸、ナスダック指数も大幅高だった。これを受け、東京市場もハイテク株中心に買いが流入し値を上げる展開となった。日経平均株価の上昇幅は一時600円を超えた。加藤勝信財務相とベッセント米財務長官による日米財務相会談では、為替に対する具体的な言及がなく、一時1ドル=143円台に円安が進行したことも好感された。いずれも日本企業には好材料との受け止めから輸出株は上昇が目立った。
ただ、買い一巡後は利益確定売りに押され上げ幅を縮めた。
24日にナスダック総合株価指数、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)がそろって上昇し、取引終了後に決算を発表したアルファベットが時間外取引で急伸したことも追い風となった。東京株式市場でも半導体関連株を中心とした値がさのハイテク株には買いが流入し、指数を押し上げた。
市場関係者は、「日米財務相会談で為替面における懸念が大きく後退し買い安心感が強まった。利益確定売りもかなり出ているが、目先の上値余地はまだ残っていると考える投資家の方が多い」とみていた。
企業の決算発表が徐々に増えており、個別対応の相場展開となりつつある。外部環境の改善を受けて、日経平均は後場もしっかりとした推移となりそうだ。本日は、12時台にゼオン、13時台に第一三共、東京製鐵、ゼンリン、14時台にトヨタ紡織、豊田合成、スカパーJ、15時台にジェイテクトなどが予定されている。
東証株価指数(TOPIX)は続伸し、前引けは27.76ポイント(1.07%)高の2620.32だった。JPXプライム150指数は続伸し、15.95ポイント(1.40%)高の1155.70で前場を終えた。
前引け時点の東証プライムの売買代金は概算で2兆1346億円、売買高は9億800万株だった。東証プライムの値上がり銘柄数は1011。値下がりは559、横ばいは65だった。
業種別では、非鉄金属、電気機器、その他製品、海運、ガラス・土石などが上昇した一方、パルプ・紙、空運、ゴム製品、繊維の4セクターが下落した。
個別銘柄では、26年3月期純利益が前期比77%増の3900億円になる見通しと自社株買いを発表した富士通が買い優勢となったほか、ニデックも決算が材料視されて大幅高。ディスコや、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソシオネクスト、ルネサスエレクトロニクス、SUMCO、レーザーテックなど半導体株が総じて上昇。フジクラやソフトバンクグループが上昇した。三菱重工業や川崎重工業が買われた。前期過去最大の赤字を発表した日産自は堅調推移となった。また、太陽誘電、古河電工、安川電機、三菱電機などが買われた。
一方、決算発表通過で材料出尽くし感が意識されて日野自動車が続落したほか、長谷工、東京建物など不動産株の一角も売られた。サンリオや野村総合研究所が値を下げた。このほか、荏原製作所、日本ハム、アサヒ、イオン、ニチレイなどが下落した。
東証スタンダード市場は米中貿易摩擦緩和への期待などで米国株式が買われた流れを引き継いだ。一時上げ幅を600円超まで拡大。半導体関連株などの上昇が指数をけん引した。
スタンダードTOP20は反発。出来高2億3982万株。
値上がり銘柄数878、値下がり銘柄数468と、値上がりが優勢だった。
個別ではビューティカダンホールディングスがストップ高。アズパートナーズ、松井建設、ブルボン、岩塚製菓、サンセイランディックなど29銘柄は年初来高値を更新。BSNメディアホールディングス、日本電子材料、三栄コーポレーション、AIメカテック、エキサイトホールディングスが買われた。
一方、ベルグアースが年初来安値を更新。ぷらっとホーム、インターライフホールディングス、ネクスグループ、シャルレ、ネクストウェアが売られた。
東証グロース市場は米中貿易摩擦が緩和するとの期待から前日の米株式市場でダウ工業株30種平均など主要3指数がそろって上昇。投資家心理が上向き、国内の新興市場にも資金が流入した。
グロースCoreは続伸。東証グロース市場250指数は反発した。前引けは前日比9.08ポイント(1.38%)高の668.29だった。
グロース市場ではQPS研究所やカバー、アイスペースが上昇した。一方、トライアルやタイミー、セルシードは下落した。
値上がり銘柄数391、値下がり銘柄数167と、値上がりが優勢だった。
札証アンビシャス市場に新規上場したエレコミは、10時に公開価格(1700円)を500円(29.41%)上回る2200円で初値を付けた。前引けは初値比339円(15.40%)高の2539円だった。
個別ではココペリ、売れるネット広告社グループがストップ高。ハンモック、MFS、クリアル、ウォンテッドリー、ペイクラウドホールディングスなど16銘柄は年初来高値を更新。monoAI technology、ココナラ、ナルネットコミュニケーションズ、リプロセル、ナイルが買われた。
一方、LIFE CREATEが年初来安値を更新。マーキュリー、ファンデリー、INGS、GMOリサーチ&AI、WASHハウスが売られた。
【寄り付き概況】
25日の日経平均株価は続伸で始まった。始値は前日比348円52銭高の3万5387円67銭。
前日の米株式市場は、NYダウは486ドル高と3日続伸。米中貿易摩擦の緩和に対する期待が膨らみ買いが優勢となった。米国株が上昇した流れを受け、東京株式市場も値を上げて始まった。また、為替は1ドル=142円90銭前後と前日夕方に比べ円安で推移している。
ナスダック総合株価指数が2.74%高、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は5.62%高で終えた。取引終了後に決算を発表したアルファベットが時間外取引で急伸したことも追い風となり、半導体関連株を中心に値がさのハイテク株は上昇が目立っている。
東証株価指数(TOPIX)は続伸している。
個別では、アドテストや東エレクが高い。ソフトバンクグループ(SBG)、リクルート、TDKなども買われている。一方、バンナムHDや住友不、アサヒは安い。
25日の東京株式市場は、堅調な展開が続きそう。
日経平均株価の予想レンジは、3万5000円-3万5800円を想定。(24日終値3万5039円15銭)
米国株は上昇。ダウ平均は486ドル高の40093ドルで取引を終えた。
現地24日の米国株高を受けて、朝方から買い優勢スタートが見込まれる。
為替相場は、ドル・円が1ドル=142円台の半ば(24日は142円57-59銭)、ユーロ・円が1ユーロ=162円台の半ば(同162円24-28銭)と小動き。訪米中の加藤勝信財務相は現地24日、ベッセント米財務長官との会談で、為替水準の目標は話題にならなかったとしている。
為替相場の落ち着きもあり、輸出関連銘柄を中心にしっかりした値動きとなりそう。
シカゴ日経平均先物の円建て清算値は、24日の大阪取引所清算値比540円高の3万5570円だった。
【好材料銘柄】
■松井建設 <1810>
前期経常を52%上方修正。
■不二サッシ <5940>
前期経常を一転24%増益に上方修正、配当も5円増額。
■富士通 <6702>
今期最終は77%増で2期ぶり最高益、2円増配へ。また、発行済み株式数(自社株を除く)の6.75%にあたる1億2000万株(金額で1700億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は5月1日から26年3月31日まで。
■大井電気 <6822>
前期経常を31%上方修正。
■フタバ産業 <7241>
今期経常は20%増益、前期配当を3円増額・今期は2円増配へ。
■アビックス <7836>
前期経常を2.1倍上方修正。
■チヨダ <8185>
発行済み株式数(自社株を除く)の5.40%にあたる190万株(金額で15億円)を上限に自社株買いを実施する。買い付け期間は5月1日から9月30日まで。取得した自社株は10月31日付で全て消却する。
■売れるネット広告社グループ <9235>
子会社の売れる越境EC社が中国・バイトダンスの最新ECモデル「TikTok Shop」運営代行サービスを6月から提供開始。
■東洋テック <9686>
中期経営計画を策定。28年3月期にEBITDA25.6億円(25年3月期計画は13.2億円)を目指す。また、配当方針を「株主資本配当率(DOE)3.0%を下限として配当性向50%をメドに安定配当」に変更。DOEを新たに採用する。
【主な経済指標・スケジュール】
25(金)
【国内】
4月東京都区部消費者物価指数(CPI)(8:30)
3月全国百貨店売上高(14:30)
配当・優待権利付き最終売買日
《決算発表》
キーエンス、信越化、第一三共、デンソー、アドバンテ、豊田織機、野村HD、アステラス薬、日東電、アイシン、ヒューリック、富士電機、日立建、きんでん、山崎パン、ミスミG、トヨタ紡織、スカパーJSA、MARUWA、ジェイテクト、富通ゼネ、豊田合、ゼオン、相鉄HD、東製鉄、アンリツ、菱鉛筆、AREH
【海外】
《米決算発表》
シュルンベルジェ、フィリプス66、アッヴィ、コルゲート・パルモリブ
※株式スケジュールは予定の為、変更される場合があります。
04月24日 NY株/欧州株概況
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【市況】続伸486ドル高、米政権の対中姿勢緩和を期待 |
・・・続き
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24日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前日比486ドル83セント(1.22%)高の4万0093ドル40セントで終えた。
トランプ米大統領はこの日、政権が関税問題を巡り、中国と会談を行ったと明らかにした。米中貿易摩擦で大きな打撃が予想される半導体関連やIT大手の株が、懸念の和らぎに伴い買われた。米長期金利の低下も相場を支えた。
米企業の1~3月期決算発表が本格化し、業績予想の下方修正や取り下げが相次ぐ中、全体としては堅調な内容が報告されていることも株価を下支えしている。ロイター通信によると、S&P500種株価指数の構成企業の今年の業績は、今月1日時点での予想を上回って伸びると見込まれている。
今週に入ってトランプ米大統領やベッセント米財務長官から中国との交渉や対中関税率引き下げに前向きな発言が相次いでいる。現時点で米国は中国からの輸入品の大半に145%、中国も報復関税として米国に125%の関税を課している。高関税が続けば、米国にとっても経済的な打撃が大きい。協議が進む過程で米中が関税率の引き下げに動くとの期待が強まった。
半面、米中貿易交渉の進展には不透明な部分が多く、ダウ平均は下げる場面もあった。中国は米政権からの圧力に反発し、24日には政府高官が米中の交渉が始まっていないと明らかにした。一方、トランプ大統領は24日に両国の政府関係者が会合を持ったと述べた。「トランプ大統領が方針を突然、転換する可能性もあり、投資家は依然として慎重だ」との声もあった。
ダウ平均の構成銘柄ではセールスフォースが5%あまり上げ、マイクロソフトも高かった。ダウ平均の構成銘柄ではないがクラウド業務管理のサービスナウが23日夕に四半期決算とあわせて楽観的な見通しを示し、ソフトウエア関連株に買いが広がった。
エヌビディアも上昇した。電力業界のカンファレンスに出席した同社幹部らが人工知能(AI)向けデータセンター需要に減速の兆候がないと指摘したことが買いを誘ったとの見方があった。一方、四半期決算を受けてIBMやプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が大幅安となり、ダウ平均を押し下げた。
ナスダック総合株価指数は3日続伸した。前日比457.993ポイント(2.74%)高の1万7166.043(速報値)で終えた。ブロードコムなど半導体株の上げが目立った。フィラデルフィア半導体株指数(SOX)は5%あまり上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
24日のシカゴ日経平均先物は上昇した。6月物は前日比215円高の3万5570円で終えた。この日は米中貿易摩擦の懸念が和らぐとの期待感から日米で株式相場が上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
35570 ( +540 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
35660 ( +630 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
24日の英FTSE100種総合株価指数は小幅ながら9日続伸し、前日比4.26ポイント(0.05%)高の8407.44で終えた。原油や非鉄金属の先物相場が上昇し、エネルギーや資源の関連銘柄に買いが入った。
石油大手の英BP、資源大手アングロ・アメリカンなどが上昇した。公益や、英GSKといった製薬にも買いが優勢だった。半面、銀行を含め金融に売りが優勢だった。
FTSEの構成銘柄では、エンジニアリング会社ウィアーグループが4.54%高、建機レンタルのアシュテッド・グループが3.29%高、鉱業大手アングロ・アメリカンが2.67%高と買われた。一方、再保険大手リーガル・アンド・ゼネラルは5.73%安、保険会社ヒスコックスは3.18%安、流通大手バンズルは2.85%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
24日のドイツ株価指数(DAX)は3日続伸し、前日比102.54ポイント(0.46%)高の2万2064.51で終えた。終値で2万2000を回復するのは2日以来、約3週間ぶりとなる。前日終値を下回って推移する場面が目立ったものの、24日の米市場で主要な株価指数が上げ幅を広げると、DAXも水準を切り上げた。
個別では、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが7.08%高と大きく買われ、23日公表した2025年1〜3月期決算(速報値)で売上高(為替変動の影響を除く)が前年同期比2ケタ増となったスポーツ用品大手アディダスが2.52%高、総合電機大手シーメンスが2.11%高で続いた。半面、コメルツ銀行は2.75%安、化学品商社ブレンタークは1.62%安、ミュンヘン再保険は1.24%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は3日続伸し、前日比0.27%高で終えた。