
きょうの東京株式市場はリスク回避ムードのなか、日経平均は再び下値を探る展開を強いられた。前日は欧州株市場が全面高様相となったが、米国株市場は後半に息切れし、結局NYダウは150ドルあまり下落して引けた。
東京株式市場では出足は強弱観が対立していたが、その後は買いが手控えられ、全体指数も次第安の展開となった。トランプ米政権が打ち出す関税政策や米中間の対立が先鋭化するなか、東京市場でも戻り売りを急ぐ動きが止まらなかった。米エヌビディア<NVDA>が対中輸出規制に絡む材料で時間外急落したことや、オランダのASMLホールディング<ASML>が発表した決算がコンセンサスを下回る内容だったことなどが嫌気され、半導体セクターへの売りが目立った。日経平均の下げ幅は一時600円を超えた。中国景気の先行き懸念も重荷だった。後場終盤は買い戻しなどで日経平均は下げ渋ったが、3万4000円台を下回る水準で着地している。
アドバンテストをはじめとする半導体関連への売りが相場を押し下げた。米エヌビディアが15日、中国向けに設計した人工知能(AI)半導体が米政府による輸出規制の対象になったのに伴い、費用を計上すると発表。エヌビディアの業績への影響が懸念され、時間外取引でエヌビディア株が大きく下落したのにつれて東京株式市場でも半導体関連に売りが先行した。
17日に決算発表を控えるディスコも下げ足を速めた。17日に台湾積体電路製造(TSMC)が決算発表を予定しており、半導体企業の業績に対する警戒が強まった。
中国国家統計局が日本時間16日11時に発表した1~3月の国内総生産(GDP)は、物価の変動を調整した実質で前年同期比5.4%増えた。生産が堅調に推移し、増加率は市場予想(5.0%)を上回った。しかし、米国との関税の応酬や輸出規制によって中国景気の先行きは冷え込むとの見方も多く、買いにはつながらなかった。上海総合指数は下げる場面が目立ち、東京株式市場の中国関連銘柄ではファナックが下げた。
日経平均は先週と比べると値幅が縮小している。ひとまず落ち着きを取り戻しているとの見方から下値では押し目買いも入りやすかった。ニトリホールディングスやイオンなど小売りの一角や、コナミGや東宝などトランプ関税の影響が相対的に小さいとみられるゲーム・エンタメ銘柄の一角に買いを入れる動きもあった。医薬品や建設株も上昇した。
さて、東京株式市場は本日もトランプ関税で細かい好悪材料にあいながらも基本的には戻り一服となる動きとなった。場当たり的な米国の関税策に対し中国は理にかなった対応を取り続けており、いずれ米国が妥協し始めるとの観測がじわりと広がっている様子。それが徐々に安定につながって行くのだろう。日米で長期金利が落ち着きを取り戻したことも目先の安心材料となっている。