【大引け概況】
11日の日経平均株価は大幅に反落し、終値は前日比1023円42銭安の3万3585円58銭だった。
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前日の米株式市場では、NYダウが1014ドル安と急反落し、ナスダック指数も大幅下落した。米相互関税による米中摩擦の激化が懸念され、米株式市場は再び大きく売られた。
これを受け、東京株式市場では日経平均株価が大幅安で始まり、2000円近い下げとなる場面があった。
為替相場が一時1ドル=142円80銭台へ急激な円高が進行したことも警戒された。ただ、日経平均株価の3万3000円割れの水準には値頃感からの買いも入り、後場に入り下げ幅は縮小した。半導体関連や大手重工、銀行株など主力株が売られたが、大手スーパーやドラッグストアなど内需関連株の一角は堅調だった。
米国は中国の輸入品に対して125%の追加関税を課すとみられていたが、ホワイトハウスが10日、3月までに課した20%の追加関税と合わせて税率が145%になると明らかにした。米中対立が激化すれば、物価上昇と景気停滞が同時に進むスタグフレーションが現実味を帯びるとの警戒感は強い。米市場は株式と通貨、債券がそろって下げる「トリプル安」に陥っており、世界のリスク資産に売りを促す動きがきょうの東京株式市場に波及した。
下げが目立ったのが中国関連株で、ファナックや安川電など中国売上高比率が高いとされる銘柄が売られた。前日の米市場で半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)が急落した影響で、半導体関連株の一角も下落した。日米で長期金利が上昇したが、景気悪化による「悪い金利上昇」が意識されているとの見方があり、三菱UFJや東京海上など金融株は下落した。
午後は下げ幅を縮小する展開だった。週末を前に売り方の買い戻しの動きが出た。トランプ米大統領が全世界に相互関税を発表した2日(現地時間)以降、日経平均は株価水準を切り下げてきたとあって、市場では「足元で株式比率が低下しているとみられる年金基金などが買いを入れているようだ」との声も聞かれた。
さて、東京株式市場は引き続きトランプの独断政治に振り回される展開。中国の強硬な対応も元は米国が引き金となっており全てはトランプ個人から発せられている。マーケットは時間とともに悪材料は織り込んでいるが、元の自由・民主主義の米国や米国景気が戻ってくることはなさそうなので、そうしたプレミアムの剥がれた価格形成となってこよう。当面は戻り売りが有効かもしれない。
東証株価指数(TOPIX)は大幅に反落した。終値は72.49ポイント(2.85%)安の2466.91だった。JPXプライム150指数も反落し、36.78ポイント(3.29%)安の1081.48で終えた。
業種別株価指数は33業種すべてが下落した。医薬品、保険業、銀行業、精密機器、輸送用機器の値下がり率が大きかった。
東証プライムの売買代金は概算で5兆4412億円、売買高は24億3540万株だった。東証プライムの値下がり銘柄数は1100。値上がりは501、横ばいは36だった。
個別銘柄では、アドバンテストや東京エレクトロン、ディスコが安く、三菱重工業やIHIが軟調。三菱UFJフィナンシャル・グループや三井住友フィナンシャルグループが売られた。ファーストリテイリングやソフトバンクグループ、ソニーGが下落し、トヨタ自動車やリクルートホールディングス、キーエンス、中外薬が売りに押された。
半面、川崎重工業やベイカレント、ディー・エヌ・エーが高く、東京電力ホールディングス、川崎汽船、JX金属、日製鋼や大林組、富士電機、東京地下鉄がしっかり。イオンやウエルシアホールディングスが値を上げ、ツルハホールディングスやスギホールディングスが買われた。
11日の東京株式市場はは、反落後も弱含みの展開か。
日経平均株価の予想レンジは、3万3300円-3万3800円を想定。(10日終値3万4609円00銭)
米国株は下落。ダウ平均は1014ドル安の39593ドルと4桁の下落となった。
連日で荒い値動きとなっているが、現地10日の米国株安を受けて、売り先行スタートとなろう。週末要因もあり、手控えムードが広がることも想定される。
為替相場は、ドル・円が1ドル=144円台の半ば(10日は146円26-28銭)と大きく円高方向に傾く一方、ユーロ・円が1ユーロ=161円台の後半(同161円27-31銭)とやや円安に振れている。対ドルでの円高を受け、輸出関連銘柄を中心に軟調な値動きとなりそう。
シカゴ日経平均先物の円建て清算値は、10日の大阪取引所清算値比1240円安の3万3400円だった。
【主な経済指標・スケジュール】
11(金)
【国内】
3月マネーストックM2(8:50)
オプションSQ
《決算発表》
イオン、良品計画、イオンモール、ウエルシアHD、ビックカメラ、ローツェ、竹内製作、Sansan、DCM、JINSHD、コーナン商事、IDOM、ニッケ、イオン北海、アークランズ、ハイデ日高、大黒天、MV東海、ワキタ、TSI HD、イオン九州、マルゼン、リンガハット、大有機、ファンタジー
【海外】
米3月生産者物価指数(PPI)(21:30)
米4月ミシガン大学消費者マインド指数(23:00)
《米決算発表》
ブラックロック、バンク・オブ・ニューヨーク・メロン、ジェイピー・モルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ
※株式スケジュールは予定の為、変更される場合があります。
10日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比1014ドル79セント安の3万9593ドル66セントで終えた。
前日はトランプ米大統領が相互関税の一部を90日間停止すると表明したことが好感され、ダウ平均は史上最大の上昇幅となる2962ドル高で引けていた。ただ、中国に対する追加関税率は145%まで引き上げられ、中国も報復措置をエスカレートしており、この日は「市場が冷静になった」(日系証券)とみられる。
米下院で、トランプ氏の看板政策である大規模減税に関する法案の概要が承認されたことを受け、ダウ平均は取引終盤にかけて下げ幅を縮めた。ただ、翌日には米銀大手の決算発表を控え、市場では関税の影響を見極めようと様子見姿勢が強かった。
米国は中国の輸入品に対して125%の追加関税を課すとみられていたが、ホワイトハウスが10日、3月までに課した20%の追加関税と合わせて税率が145%になると明らかにした。中国は対抗措置として10日に米国の輸入品に84%の関税を発動しており、米中の対立が深まることが懸念された。
ダウ平均は下げ幅を縮小して終えた。米財務省が実施した30年債入札で落札利回りが市場実勢を下回った(価格は上回った)。9日の10年債入札に続き、米国債への一定の需要が確認された。米長期金利は4.3%台で推移する場面が目立ち、前日未明にかけての急激な上昇にいったん歯止めがかかったとの見方があった。米政権の関税政策が世界経済の停滞や金融システム不安を招くとの警戒はいったん後退している。
ダウ平均の構成銘柄ではナイキやウォルト・ディズニーといった消費関連銘柄の下げが目立った。エヌビディアなどハイテク株も安い。一方、ユナイテッドヘルス・グループやベライゾン・コミュニケーションズ、コカ・コーラなどが上げた。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比737.661ポイント(4.30%)安の1万6387.311(速報値)で終えた。複数のアナリストが目標株価を引き下げたテスラが7%あまり下げた。メタプラットフォームズや半導体株の下げも目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比1460円安の3万3400円で終えた。この日は日経平均株価が反発したものの、米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から米株式相場が再び大きく下げ、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
33400 ( -1240 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
33530 ( -1110 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日の英FTSE100種総合株価指数は反発し、前日比233.77ポイント(3.04%)高の7913.25で終えた。前日の米国株高に続き、10日のアジアの主要株式相場も上昇したのを受けて投資家心理が上向き、英国株にも買いが優勢となった。
投資家心理の改善は、前日にトランプ米大統領が一部の国・地域を対象に相互関税の上乗せ分について一時停止を許可すると発表したのがきっかけ。米関税政策が世界経済を下押しするとの懸念がやや和らぎ、幅広い業種・銘柄に買いが広がった。英金利の上昇が一服したのも好感された。
FTSEの構成銘柄では、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループが7.75%高、金融大手バークレイズが7.70%高、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが7.27%高と急伸。一方、流通大手テスコは6.15%安、同業セインズベリーは2.97%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比891.85ポイント(4.53%)高の2万0562.73で終えた。前日にトランプ米大統領が一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を90日間停止すると発表したのを受け、投資家心理が改善した。DAXが前日までに水準を切り下げていたこともあり、幅広い業種・銘柄に値ごろ感からの買いが入った。
個別では、業務用ソフトウエア大手SAPが7.28%高、ドイツ銀行が7.15%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが5.89%高と相場をけん引した。半面、分子診断大手キアゲンは0.90%安と、唯一マイナス圏で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前日比3.83%高で終えた。