7日のNYダウ工業株30種平均は反発し、前日比222ドル64セント(0.52%)高の4万2801ドル72セントで終えた。2月の米雇用統計が市場予想を下回る内容になったことで売りが先行したものの、このところ株式相場が大きく下げていた後で週末を前に主力株の一角に買い戻しが入った。米政権の関税政策を巡る不透明感から、ダウ平均は週間で1039ドル下げた。
この日は、朝方発表された2月の米雇用統計が市場予想を下回ったことが嫌気され、売り先行で始まった。景気動向を敏感に反映する非農業部門の就業者数は前月比15万1000人増と、伸びは1月(12万5000人増)から拡大したが、市場予想(16万人増=ロイター通信調べ)を小幅に下回り、米経済の先行き不安が強まった。
ダウ平均は今週に入り、前日までに1200ドルあまり下げていた。S&P500種株価指数は7日の取引時間中に5600台まで下げ、下値メドとして意識される200日移動平均を割り込む場面があった。短期的に売られすぎているとの見方から主力株を買い直す動きが広がった。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は7日の講演で関税など通商政策のほか、移民、財政政策、規制の4分野について米政権の政策変更を見極める考えを示した。金融政策の変更については「急ぐ必要はなく、より明確になるまで待つことができる」と述べた。足元の米経済は「堅調なペースで成長している」との認識を示した。市場では「講演内容に波乱がなかったことが買い戻しを後押しした」との指摘があった。
ダウ平均の構成銘柄では、IBMとベライゾン・コミュニケーションズが上昇した。マクドナルドとキャタピラーも高かった。半面、ウォルマートとボーイングが下げた。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比126.966ポイント(0.70%)高の1万8196.221(速報値)で終えた。半導体のブロードコムが8%あまり上昇した。6日夕発表の2024年11月〜25年1月期決算で売上高などが市場予想を上回った。他の半導体関連株にも買いが入り、主要な関連株で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%高で終えた。
ナスダック総合は週間で3週連続で下落し、下落率は3.45%だった。
NYダウ 42801.72 ( +222.64 )
S&P500 5770.20 ( +31.68 )
NASDAQ 18196.22 ( +126.97 )
米10年債利回り 4.297 ( +0.020 )
NY(WTI)原油 67.04 ( +0.68 )
NY金 2914.1 ( -12.5 )
VIX指数 23.37 ( -1.50 )
【シカゴ日本株先物概況】
7日のシカゴ日経平均先物は上昇した。3月物は前日比375円高の3万7270円で終えた。米政権の関税政策を巡る不透明感からこのところ大きく下げていた後で、この日の米株相場は週末を前に上昇して終えた。
米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長の講演を受けて、米景気の先行きに対する過度な警戒が和らいだ。シカゴ市場の日経平均先物にも買いが波及した。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37270 ( +500 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37280 ( +510 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
7日の英FTSE100種総合株価指数は前日比横ばい圏で終えた。終値は2.96ポイント(0.03%)安の8679.88だった。米政権の関税政策に不透明感が強く、投資家心理を冷やした。半面、原油先物相場が上がったことによるエネルギー株の上昇や、英長期金利の上昇一服を受けた不動産投資信託(REIT)など不動産関連銘柄への買いが、相場を下支えした。
FTSE100種指数が今週初めに最高値を付けるなど高値圏での推移が続いており、週末入りを前に利益確定の売りも出やすかった。
FTSEの構成銘柄では、投資会社メルローズ・インタストリーズが12.15%安と下落率トップ。資産運用大手シュローダーが4.86%安、航空・防衛大手BAEシステムズが4.10%安と続いた。一方、通信大手BTが5.15%高、同業ボーダフォンが4.17%高と下げ幅縮小に寄与した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
7日のドイツ株価指数(DAX)は3日ぶりに反落し、前日比410.54ポイント(1.75%)安の2万3008.94で終えた。米政権による関税政策の成り行きや景気への影響が見通せず、投資家心理の重荷となった。DAXは最高値圏での推移が続いてきたため、利益確定の売りも出やすかった。
個別では、防衛大手ラインメタルが7.01%安、製薬大手バイエルが6.46%安、バイエルについては、同社が抱える訴訟問題に柔軟に対応できるよう株主に資本増強の承認を求める方針だと欧米メディアが相次ぎ伝え、材料視された。航空機エンジン大手MTUアエロエンジンズが5.68%と売られた半面、通信大手ドイツテレコムが3.09%高、エネルギー大手イーオンが2.75%高と買われた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数であるCAC40は3日ぶりに反落し、前日比0.93%安で終えた。