2月28日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反発し、前日比601ドル41セント高の4万3840ドル91セントで終えた。
朝方発表された1月の米個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比2.5%上昇と市場予想通りだった。インフレ再燃への懸念が和らぎ、幅広い銘柄が買われた。前日大幅安となった半導体大手エヌビディアが持ち直したことも投資家心理を支えた。
ただ、トランプ大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談で激しい口論となり、予定されていた鉱物資源に関する合意文書の署名も見送られると、ダウ平均、ナスダックともに急落し、一時マイナス圏に沈んだ。「ウクライナとロシアの停戦が遠のき、地政学リスクが高まった」(日系証券)と嫌気された。
28日の米債券市場では長期金利が前日終値(4.26%)より低い4.2%台前半を中心に推移した。午後に低下幅を広げ、主力株への資金流入を後押しした。ダウ平均は前日に約1カ月半ぶりの安値を付けた後で、週末を前に売りに傾いた持ち高を整理する目的の買いも入りやすかった。
市場では「1〜3月期の米国内総生産(GDP)を下押しする要因になる」との指摘があった。米景気が減速するとの懸念は根強く、ダウ平均は下げる場面もあった。
アトランタ連銀が経済指標に基づいてGDPを推計するGDPナウは28日、PCEなどを踏まえて1〜3月期の実質成長率を年率マイナス1.5%とした。26日時点のプラス2.3%から大きく下方修正した。
トランプ米大統領は28日、ウクライナのゼレンスキー大統領と会談したものの、ロシアとウクライナの停戦協議を巡って激しい口論になった。ゼレンスキー氏に対して「第3次世界大戦を起こしかねないギャンブルをしている」などと批判し、予定されていた共同記者会見は中止になった。昼すぎにダウは130ドルあまり下げる場面があった。
前日に大幅安となったエヌビディアが買われたほか、スリーエムやゴールドマン・サックスが上昇した。半面、ナイキやマクドナルド、IBMは下落した。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比302.860ポイント(1.63%)高の1万8847.279(速報値)で終えた。テスラやメタプラットフォームズが上昇した。
NYダウ 43840.91 ( +601.41 )
S&P500 5954.50 ( +92.93 )
NASDAQ 18847.27 ( +302.86 )
米10年債利回り 4.208 ( -0.050 )
NY(WTI)原油 69.76 ( -0.59 )
NY金 2848.5 ( -47.4 )
VIX指数 19.63 ( -1.50 )
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は小幅に上昇した。3月物は前日比5円高の3万7590円で終えた。米株式相場がハイテク株を中心に上昇したのを受けて日経平均先物にも買いが入った。もっとも、米景気の先行きや地政学リスクに対する懸念は相場の重荷だった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
37590 ( +480 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
37605 ( +495 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
2月28日の英FTSE100種総合株価指数は4日続伸し、前日比53.53ポイント(0.61%)高の8809.74で終えた。終値としての最高値を12日以来、約2週間ぶりに更新した。決算発表など個別の材料がある銘柄で、業績や株主還元に着目した買いが入った。
前日に2024年12月通期決算を発表した英航空機エンジン大手ロールス・ロイス・ホールディングスや、消費者向けヘルスケア商品を手掛ける英ヘイリオンが買われた。28日に市場予想を上回る24年12月通期決算を公表した英インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が上げたほか、公益株が上昇した。
米政権による関税強化が世界経済に悪影響を及ぼすとの懸念は、投資家心理の重荷だった。先行きの需要が弱まるとの警戒感などから原油や非鉄金属の先物相場が軟調に推移し、エネルギーや資源には売りが優勢だった。
FTSEの構成銘柄では、エンジニアリング会社ウィアーグループが6.30%高、同業のIMIが5.81%高、住宅大手パーシモンが4.74%高と大きく買われた。一方、保険会社セント・ジェームズ・プレイスは3.64%安、産銅大手アントファガスタは2.45%安、投資信託スコティッシュ・モーゲージ・インベストメント・トラストは2.21%安だった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
2月28日のドイツ株価指数(DAX)は前日比横ばい圏で終えた。終値は同0.54ポイント高の2万2551.43だった。アジアの主要な株式相場が下落した流れを受けて下げて始まったものの、米株式相場の底堅い推移などを支えに持ち直した。
航空・防衛関連が上げた。化学、素材、日用品など消費関連に買いが入った。米政権が中国などに対する関税強化の方針を示しているのは投資家心理の重荷で、自動車・自動車部品には売りが優勢だった。
個別では、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが3.21%高、ヘルスケア大手フレゼニウスメディカルケアが1.84%高、商用車大手ダイムラー・トラックが1.52%高と値上がりした半面、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズは1.68%安、通販大手ザランドは1.53%安、分子診断大手キアゲンは1.17%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前日比0.11%高で終えた。仏酒類大手ペルノ・リカールや、エルメス・インターナショナルといった消費関連の一角に買いが入った。広告大手ピュブリシス・グループやスイスの半導体大手STマイクロエレクトロニクスが下げた。