23日のNYダウ工業株30種平均は3日続伸し、前週末比66ドル69セント高の4万2906ドル95セントで終えた。半導体などハイテク株の一角に買いが入り、投資家心理の改善につながった。半面、市場予想を下回る経済指標を受け、ダウ平均は下げる場面があった。25日のクリスマスの祝日を控え、薄商いの中で値動きが大きくなりやすかった。
米民間有力調査会社コンファレンス・ボードがこの日発表した12月の消費者景気信頼感指数は市場予想を大きく下回った。
前月に比べ8.1ポイント低い104.7と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(113.0)を下回った。11月の米新築住宅販売件数も市場予想に届かなかった。
これが嫌気され、序盤は売りに押された。クリスマス前で市場参加者が少ないため利益確定の売りも出やすい地合いだった。
ただ、「米景気の先行きに対する楽観論が依然として強い」との見方からダウは買いの勢いは次第に強まり、引けにかけてプラス圏に浮上した。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、半導体のクアルコムが上昇した。英半導体設計のアーム・ホールディングスとのライセンス契約を巡る訴訟でクアルコム側を優勢とする評決が下り、好感した買いが入った。ブロードコムなどの他の半導体株も上昇した。ダウ平均の構成銘柄では、エヌビディアに買いが入った。主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3%あまり上昇した。
市場では、「年末に向けて今年上昇が目立った半導体株を買い直す動きがある」との指摘があった。21日に2025年3月中旬までのつなぎ予算が成立し政府機関の一部閉鎖を回避したことも株式相場の支えとなった。
ダウ平均の構成銘柄では、メルクやゴールドマン・サックスが上昇した。シスコシステムズやアップルにも買いが入った。半面、ウォルマートが下げた。配送員の賃金支払いを巡り、不正な口座開設があったとして米当局が提訴し、売りが出た。IBMとウォルト・ディスニーも安かった。
ナスダック総合株価指数は続伸した。前週末比192.288ポイント(0.98%)高の1万9764.885(速報値)で終えた。半導体株のほか、テスラやメタプラットフォームズが上昇した。
NYダウ 42906.95 ( +66.69 )
S&P500 5974.07 ( +43.22 )
NASDAQ 19764.89 ( +192.29 )
米10年債利回り 4.589 ( +0.063 )
NY(WTI)原油 69.24 ( -0.22 )
NY金 2628.2 ( -16.9 )
VIX指数 16.78 ( -1.58 )
【シカゴ日本株先物概況】
23日のシカゴ日経平均先物は上昇した。2025年3月物は前週末比420円高の3万9305円で終えた。
NYダウ平均は、クリスマス休暇を控えて薄商いとなる中、3営業日続伸した。この日は日米で株式相場がともに上昇し、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39305 ( +115 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39400 ( +210 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
23日のFTSE100種総合株価指数は小幅に反発した。前週末に比べ18.11ポイント（0.22%）高の8102.72で終えた。前週末に1カ月ぶりの安値をつけたとあって、押し目買いが入った。バイデン米大統領が21日、上下両院が可決した「つなぎ予算」に署名し、政府機関の一部閉鎖が回避されたことも投資家心理の改善につながった。もっともクリスマスの連休を前に市場参加者が減る中、売買の材料に欠け、持ち高を積極的に一方向に傾ける動きは限られた。
製薬大手の英アストラゼネカをはじめとするヘルスケア株が上昇し、株価指数を押し上げた。アストラゼネカの肺がん治療薬が欧州連合（EU）で承認されたことを受け、同社株が買われた。
FTSEの構成銘柄では、通信大手エアテル・アフリカが3.13%高、エネルギー小売り大手セントリカが2.04%高、製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズが1.79%高と上伸。他方、小売り大手フレイザーズ・グループは3.35%安、蒸気システム大手スパイラックス・サーコは2.81%安、賭け屋大手エンテインは2.49%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
23日のドイツ株価指数（DAX）は続落し、前週末比35.98ポイント（0.18%）安の1万9848.77で終えた。3週間ぶりの安値に沈んだ。クリスマスの連休を前に市場参加者が減る中、持ち高調整の売りが優勢だった。売買の材料に欠け、方向感は乏しかった。
個別では、フォルクスワーゲン(VW）が2.51%安、VWグループの持ち株会社ポルシェSEが1.57%安、高級車メーカーのポルシェが1.47%安と下げを主導。半面、素材化学大手コベストロは1.86%高、防衛大手ラインメタルは1.31%高、エネルギー大手シーメンス・エナジーは0.87%高で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの主要な株価指数であるCAC40は小幅に続落し、前週末比0.02%安で終えた。欧州主要600社の株価指数であるストックス600は小幅高。時価総額が大きいデンマークの製薬大手ノボノルディスクが大幅高となり、指数全体を押し上げた。
前日の米国株市場でNYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数が上昇したことや、外国為替市場でドル高・円安が進行したことを受け、朝方はリスク選好の地合いでスタートした。しかし、海外機関投資家がクリスマス休暇で参戦がまばらとなるなか、上値も重かった。前日の米株市場で半導体関連の主力株が軒並み上昇したにもかかわらず、売買代金上位の半導体製造装置関連株が冴えない値動きだったことや、電線株などが軟調で全体指数を押し下げる展開に。一方、自動車セクターは23日に経営統合へ向けた協議入りを正式に発表したホンダと日産自はともに大きく上昇した。両社の統合に合流する可能性を示唆した三菱自も上昇し、年初来高値を更新した。
