6日のNYダウ工業株30種平均は続落し、前日比123ドル19セント(0.27%)安の4万4642ドル52セントで終えた。週半ばに過去最高値を更新し、主力株の一角には利益確定売りが優勢になった。
この日発表された11月の米雇用統計は、非農業部門就業者数が10月から大きく回復し、市場予想もやや上回ったが、失業率が悪化。連邦準備制度理事会(FRB)が今月利下げを行うとの見方が強まり、金融やITなどの銘柄が買われた。ただ、幹部が銃撃で死亡したユナイテッドヘルスが先行き不透明感から5.1%安と急落し、ダウ平均を押し下げた。
原油安を背景に米エネルギー大手シェブロンが下落したこともダウの重荷となった。
ダウ平均は4日に初めて4万5000ドル台で終えた。11月から急ピッチで上昇した後で、週末を前に景気敏感株やディフェンシブ株に売りが出た。来週には11月の米消費者物価指数(CPI)や米卸売物価指数(PPI)が発表される。米連邦準備理事会(FRB)のボウマン理事は6日、「インフレは高止まりしており、政策金利の引き下げは慎重に、徐々に進めたい」との考えを示した。市場では物価指標次第では、政策判断に影響するとの観測から様子を見たいという雰囲気もあった。
ダウ平均は高く始まっていた。11月の雇用統計では非農業部門の雇用者数が前月比22万7000人増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(21万4000人増)を上回った。10月分は上方修正した。平均時給は前月比の上昇率が0.4%と市場予想(0.3%)より高かった。一方、失業率は前月の4.1%から4.2%に上昇した。
市場では大型ハリケーンやストライキの影響を受けた10月から「雇用の回復がみられたがトレンドは鈍化方向にある」との見方があった。雇用の急激な悪化への懸念は後退した一方で「12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)でFRBが0.25%利下げするとの見方を変える要素はなかった」と受け止められ、株買いを支えた。
米長期金利は前日終値(4.17%)を下回って推移する場面が目立った。金利上昇に一服感が出ていることも、ハイテク株を中心に買いを誘った。ハイテク株は11月の相場上昇で景気敏感株や中小型株と比べると買いの勢いが鈍かった。「相対的にみて割高感が薄れていた主力ハイテク株には資金が向かいやすくなった」との声が聞かれた。
個別銘柄ではユナイテッドヘルス・グループが5%安となり、ダウ平均を下押しした。シェブロンやエヌビディア、ボーイングも売られた。半面、アマゾン・ドット・コムやIBM、アメリカン・エキスプレスは買われた。
ナスダック総合株価指数は反発した。前日比159.051ポイント(0.80%)高の1万9859.774で終え、4日以来となる最高値を更新した。テスラやメタプラットフォームズ、アルファベットが買われた。パランティア・テクノロジーズやブロードコムの上昇も目立った。
S&P500種株価指数も反発した。前日比15.16ポイント(0.24%)高の6090.27(速報値)で終え、2日ぶりに最高値を更新した。
NYダウ 44642.52 ( -123.19 )
S&P500 6090.27 ( +15.16 )
NASDAQ 19859.77 ( +159.05 )
米10年債利回り 4.153 ( -0.015 )
NY(WTI)原油 67.20 ( -1.10 )
NY金 2659.6 ( +11.2 )
VIX指数 12.77 ( -0.77 )
【シカゴ日本株先物概況】
6日のシカゴ日経平均先物は小幅に下落した。12月物は前日比5円安の3万9335円で終えた。
NYダウ平均は、今月の米利下げ観測上昇を好感した買いが入った一方で、医療保険大手ユナイテッドヘルス・グループが急落し、続落した。
同日の米株式市場でナスダック総合株価指数とS&P500種株価指数がともに最高値を付けたものの、日経平均株価は下げていたため、日本株先物には売りがやや優勢となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39335 ( +305 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39350 ( +320 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
6日の英FTSE100種総合株価指数は反落し、前日比40.77ポイント(0.48%)安の8308.61で終えた。原油先物相場が下げ幅を広げたのにつれて指数への寄与度が大きい英シェルなどエネルギー株が下落し、指数を下押しした。
FTSEの構成銘柄では、小売り大手フレイザーズ・グループが3.63%安、水道サービス会社ユナイテッド・ユーティリティーズが3.41%安、同業セバーントレントが3.14%安と下げを主導。一方、小売り大手B&Mヨーロピアン・バリュー・リテールは2.67%高、小売り大手JDスポーツ・ファッションは2.20%高、有害生物管理会社レントキル・イニシャルは1.74%高と買われた。
FTSE100種指数の構成銘柄以外では、英ダイレクトライン・インシュアランス・グループの上昇が目立った。同社は6日、英保険グループのアビバから受けた買収提案について、財務面で暫定合意に達したと公表した。アビバは下落した。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
6日のドイツ株価指数(DAX)は小幅に7日続伸した。終値は前日比25.81ポイント(0.12%)高の2万0384.61で、最高値を更新した。一部金融機関が目標株価を引き上げた独BMWをはじめ自動車関連が上昇した。フランスの株価指数CAC40の堅調推移も投資家心理を支えた。
個別では、自動車大手BMWが2.71%高、製薬大手バイエルが2.64%高、日用品大手ヘンケルが1.59%高と値上がりした半面、エネルギー大手シーメンス・エナジーは2.19%安、保険大手アリアンツは0.98%安、防衛大手ラインメタルは0.97%安で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は7日続伸し、終値は前日比1.31%高の7426.88と11月11日以来の高値で終えた。フランスのマクロン首相が新首相を数日内に指名する姿勢を示したことなどを背景に、同国の政局を巡る過度な不安がひとまず和らいだ。
高級ブランドの仏ケリングやLVMHモエヘネシー・ルイヴィトンといった消費関連、自動車を中心に幅広い銘柄に買いが入った。金融株も上昇し、CAC40を構成する40銘柄のうち36銘柄が上げた。仏電子機器大手タレス、食品大手ダノンが下げた。