28日のNYダウ工業株30種平均は3日ぶりに反落し、前日比45ドル20セント(0.11%)安の3万9118ドル86セントで終えた。
朝方発表された5月の米個人消費支出(PCE)物価指数はインフレ鈍化を示す内容で、長期金利はいったん低下。米連邦準備制度理事会(FRB)が9月にも利下げに踏み切るとの期待が高まり、ダウ平均は一時約280ドル上昇した。
一方、前日夜に開かれた米大統領選候補によるテレビ討論会を踏まえ、市場でトランプ前大統領が当選する可能性が意識された。トランプ氏が掲げる関税引き上げなどの政策はインフレにつながるとの見方から、取引終盤にかけ長期金利が上昇。ダウは午後以降、マイナス圏に沈んだ。
前日夕に決算を発表したナイキが急落し、指数を押し下げた。月末と四半期末が重なり、持ち高調整の売りも重荷となった。
ナイキは20%ほど下げ、1銘柄でダウ平均を120ドルあまり押し下げた。2024年3〜5月期決算で売上高が市場予想を下回ったうえ、25年5月期通期は減収となる見通しを示した。アナリストによる投資判断や目標株価の引き下げもあり、売りがかさんだ。
28日は今月最後の取引日となり、機関投資家のリバランス(資産配分の調整)に伴う売りが出たとの見方もあった。中小型株で構成される株価指数「ラッセル2000」などの年に1回の銘柄入れ替えにあわせ、持ち高を調整する目的の売買が膨らんだとの指摘もあった。
朝方は低下していた米長期金利が午後は前日終値(4.28%)を上回る4.3%台半ばで推移する場面が目立った。金利上昇も株式の相対的な割高感につながった。来週7月4日は独立記念日で連休を取る市場関係者が多いとみられ「休暇前に利益確定売りに動きやすかった」との声も聞かれた。
ミシガン大学が28日午前に発表した6月の消費者態度指数(確報値)は68.2と、速報値(65.6)から上方修正され、市場予想(66.0)も上回った。併せて公表された1年先の予想インフレ率は3.0%と、前月と6月速報値(ともに3.3%)から低下し、インフレへの警戒感が後退した。景気減速への懸念も和らぎ、景気敏感株や消費関連株を中心に買いを支えた面もあった。
前日夜には11月の大統領選に向けた候補者によるテレビ討論会が開かれた。市場では「まだ早い段階で、討論会を受けた株式相場への影響は限られている」(マーフィー・アンド・シルヴェスト・ウェルス・マネジメントのポール・ノルティ氏)との声が聞かれた。共和党は7月、民主党は8月にそれぞれ党大会を開き、正式に候補を指名する。2回目の討論会は9月に開催される予定となっている。
ダウ平均の構成銘柄では前日まで買いが目立ったアマゾン・ドット・コムが2%あまり下げた。アップルやマイクロソフトも売られた。メルクやウォルト・ディズニー、ビザも安い。一方、ユナイテッドヘルス・グループやキャタピラー、JPモルガン・チェース、アメリカン・エキスプレス、セールスフォースは買われた。
ダウ平均は月間では432ドル上げ、2カ月連続で上昇した。
ナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落した。前日比126.081ポイント(0.70%)安の1万7732.603で終えた。一時18日に付けた最高値(1万7862)を上回り、1万8000台に乗せた後は次第に売りが優勢となった。メタプラットフォームズやアルファベット、エヌビディアが下げた。ナスダック指数は月間では5.9%高と2カ月連続で上昇した。
【シカゴ日本株先物概況】
28日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比220円高の3万9790円で終えた。東京株式市場で日経平均株価が上昇したのを受け、日経平均先物も買いが優勢だった。
NYダウ平均は、米長期金利の上昇を受け3日ぶりに反落した。
シカゴ日経225先物 (円建て)
39790 ( +170 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
39835 ( +215 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
28日のFTSE100種総合株価指数は4日続落し、前日比15.56ポイント(0.19%)安の8164.12で終えた。上昇して始まったものの、フランスやドイツなど欧州の他の主要株式相場が伸び悩んだり、下げ幅を広げたりしたのにつれ、FTSE100種指数も下落に転じた。
FTSE100種指数は6月の月間としては1.3%下落した。月間での下落は4カ月ぶりとなる。
FTSEの構成銘柄では、小売り大手JDスポーツ・ファッションが5.42%安と最も大きく売られ、流通大手マークス&スペンサーが2.52%安、高級衣料のバーバリーが2.44%安で続いた。一方、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループは2.23%高、通信大手エアテル・アフリカは1.26%高、保険大手ビーズリーは1.22%高となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
28日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比24.90ポイント(0.13%)高の1万8235.45で終えた。前日の米株高などが投資家心理を支えた。ただ、政治不安を背景にフランス株式相場が軟調に推移したのにつれDAXも伸び悩む場面があり、上値は限られた。
独メルセデス・ベンツグループをはじめ自動車株に買いが優勢だった。ドイツ銀行など銀行株や、ソフトウエアのSAP、半導体のインフィニオンテクノロジーズ株も上昇した。他方、電力など公益株が下げた。
個別では、通販大手ザランドが2.67%高、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズが2.40%高、商用車大手ダイムラー・トラックが1.92%高と買われた半面、医療機器のシーメンス・ヘルシニアーズは2.82%安、電力大手RWEは1.99%安、航空機大手エアバスは1.82%安と下げた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの代表的な株価指数であるCAC40は4日続落した。前日比0.68%安の7479.40と1月下旬以来、およそ5カ月ぶりの安値で終えた。化粧品大手の仏ロレアルや、高級ブランドのエルメス・インターナショナルなど消費関連の銘柄に売りが出た。
6月月間ではCAC40の下げが目立った。28日終値を5月末終値と比べると、CAC40は6.4%下げた。