次世代エコカーとしてEV(電気自動車)を本命と考える国が増えている。
2020年以降の地球温暖化対策を定めた「パリ協定」を背景に、欧州ではいま急速に、電気自動車(EV)の普及を進める動きが活発化している。
フランスとイギリスが、2040年までにガソリン車とディーゼル車の販売をやめる方針を示している。
また、大気汚染が深刻な中国やインドでも、環境規制を強化してEVの普及を促進する動きがある。
中国政府は2013年からEV、PHVなどの新エネルギー車に対して補助金を出して普及を後押ししている。
インドは、2030年までに新車販売をすべてEVにするという野心的な計画を発表した。
これを実現するために、まず物品サービス税でEVを優遇することを始めている。
電池性能の向上が、EVの魅力を高めた。自動運転の開発熱が高まっていることもEVに追い風。HEV(ハイブリッド車)を本命として取り組んできた日本の自動車産業にEVブームは逆風になっている。
内燃機関が不要となるEVが拡大すると、日本の自動車産業は構造転換を迫られるだろう。日本メーカーも、ようやくEV・自動運転の開発に本腰を入れ始めている。
現在の株式市場で最も熱いテーマなのが「リチウムイオン電池関連」だろう。
EV車にはリチウムイオン電池が必要不可欠ということ。
富士経済は、リチウムイオン電池の世界需要は、EV生産の拡大により20年には現在の約1.5倍に当たる3兆2000億円まで伸びると予測する。
リチウムイオン二次電池は、化学的な反応を利用し直流の電力を生み出す電池。
プラス極とマイナス極の間でリチウムイオンが行き来することで、充電と放電が可能で、繰り返し使用することができるそうだ。
リチウムイオン電池関連で注目される銘柄は、
ジーエス・ユアサ コーポレーション<6674>。
同社は、「1回の充電で走れる距離を2倍に伸ばす新型電池の量産を2020年にも始める」と報じており、これが株価を強く刺激する格好となった。また、自動車部品メーカーの大手ボッシュや三菱商事との合併会社リチウムエナジーアンドパワーを設立している。
チャート出典:ストックウエザー株式会社
二次電池材大手。ニッケル、リチウムイオン電池の正極材料が主力の田中化学研究所<4080>
リチウム電池の心臓部ともいえる正極材を手掛け、高度紙は正極材と負極材が直接接触させないためのセパレーターを生産している。
また、住友化学と提携したことにより関連製品の設備投資をさらに加速させている。
リチウムイオン電池セパレーターの専業メーカーのダブル・スコープ <6619>もEV関連で外せない銘柄の一つだ。
2020年までに16年比で生産規模を3倍にする設備投資計画に取り組んでいることを発表。20年の売上高は500億円。「25年には最低でも1000億円を目指す」と言っている。
日本カーボン <5302>は、車載用リチウムイオン電池負極材の販売が伸び、収益を押し上げている。昭和電工<4004>は、リチウムイオン電池(LIB)材料用カーボン負極材SCMGの生産能力を増強している。
さらに電解液でステラケミファ <4109> や関東電化工業 <4047> などが注目される。
リチウムイオン電池は、電気自動車の進展、強化により注目度を集めるセクターだろう。
電池は、価格と長距離走行を可能にする容量と充電時間の3つの要素での飛躍的な進化が求められている。
リチウムイオン電池関連銘柄の今後の動向に見逃せないだろう。