国際通貨基金(IMF)の世界経済見通し。
2017年の成長率予想を4月と7月の見通しから0.1ポイント引き上げ3.6%とした。同じく18年も0.1ポイント上方修正し3.7%を見込んだ。
米国は17年を7月見通しから0.1ポイント引き上げ2.2%、18年を0.2ポイント上げ2.3%とした。
ユーロ圏の成長率は、17年が2.1%、18年が1.9%とそれぞれ0.2ポイント引き上げた。
英国の17年成長率は7月の予測の段階で0.3ポイント引き下げられており、1.7%に据え置かれた。
18年の成長率見通しが1.5%の英国よりも低いのは日本とイタリアだけとなった。
日本を0.2ポイント上方修正して1.5%成長とするなど、先進国の投資や貿易の改善を評価した。日本は世界貿易の拡大で輸出が底堅く伸びたほか、16年度第2次補正予算の執行が進んで、17年の成長率が上振れすると見込んだ。
ただ、財政効果がなくなる18年は成長率が0.7%に減速すると予測している。
中国の成長率見通しは、22年まで全般的に引き上げている。
景気の先行きに楽観的な見方が広がっている。
海外原油市況の続伸を材料に鉱業や石油、商社など資源株が高くなりそうだ。
日銀短観では、全規模全産業の業況判断指数(DI)26年ぶりの高水準。
日銀が10月2日に発表した9月の全国企業短期経済観測調査(短観)では、中小企業全産業の業況判断指数(DI)はプラス9と6月の前回調査より2ポイント改善した。 1991年11月調査以来、約26年ぶりの高水準となった。海外景気や個人消費の回復が中小企業にまで及び、景気回復のすそ野が広がってきた。
また、内閣府が11日発表した8月機械受注(船舶・電力を除く民需)は前月比3.4%増。市場予想は同1.0%増だった。
内閣府は判断を上方修正し「持ち直しの動きがみられる」とした。
製造業は前月比16.1%増と高い伸び、2カ月連続増加となった。
「汎用(はんよう)・生産用機械」の業界から運搬機械や工作機械などの受注が入ったほか、「食品製造業」からの原動機ほか運搬機械の受注が寄与している。
非製造業も同3.1%増と3カ月連続で伸びた。「その他非製造業」からの原動機や「金融・保険業」からのコンピュータ、「リース業」からの建設機械などの受注が寄与している。
工作機械や運搬機械など幅広い分野からの受注が入っており、人手不足に伴う省力化投資の可能性もあると言う。
発表を受け、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」が始まって以降、15年6月につけたアベノミクス高値2万0868円03銭(終値ベース)を11日に上回った。
29年9月中間決算の発表を控え、企業業績の拡大期待が高まり、海外の株価指数に比べると出遅れていた日本株の先高観が強まってきているようだ。
さて、2017年のノーベル経済学賞は米シカゴ大学のリチャード・セイラ─教授が受賞した。
専門は、「行動経済学」。
必ずしも合理的ではない人間の行動を説明できるようにしたというのがその功績なのだろう。「あるものを買うときと一度買ったものを売る時では同じものでも評価が変わる」ということはよくある。
そして、コレが株式市場や株価の真実の一面だろう。
従来の経済学は、人間は合理的に判断をするもの、効率的に動くものというのが主流だった。
でも、「人は合理的には行動しない」という傍流の学説が脚光を浴び始めたことになる。
その結果、起こることは「欲望と欲望のぶつかり合う株式市場」の解釈は心理を読むということになる。
重要なのは、結論の出ないことは考えない。
海外のことを持ち出して警戒感が醸し出されることはよくあること。
しかし、ややこしいことで株価が動くことはめったにない。
証券業界に40年近く棲息して身につけた技術で誇れるものは「他人の意見を聞かない」。
大切なのは枝葉末節ではなく本質だ。
やはり「シンプル・イズ・ベスト」だ。