【ビジネスチャンス】外国人材受け入れで急浮上
政府は、人手不足が深刻な業種について、外国人労働者の受け入れを拡大する「出入国管理法改正案」が2日、閣議決定された。

深刻な人手不足に対応して、政府が外国人受け入れ政策を「大転換」することが明らかになった。今後、今国会中の成立を目指し、18年度補正予算案の成立後に審議入りする見通しだ。

法案はこれまで認めてこなかった単純労働分野への就労を可能にするもので「特定技能1号」と「特定技能2号」という新たな在留資格が創設された。

1号は日常的な日本語会話能力の他に、業務についての一定の知識と経験を必要とし、在留期間は5年。家族の同伴は認めらない。
一方、特定技能2号は、1号を上回る専門性の高い熟練した技能が求められ、在留期間の更新が可能。家族の同伴も認められる。
適用される業種は、1号は介護、農業をはじめとした人手不足に悩む14業種。
2号はこの14業種のうち建設業、造船・舶用業、自動車整備業や、航空業の整備の4つが候補に挙がっている。
改正案に関しては、野党が徹底抗戦の構えを見せていることから審議の難航が予想され、会期内の成立には不透明感が残る。
ただ、中小・中堅企業や小規模事業者を中心に人手不足が深刻化している現状から、外国人就労の受け入れ拡大自体は賛同する声が多い。

既に外国人労働者は増加している。厚労省の調査によると、17年10月末時点で外国人労働者数は127万9000人(「外国人雇用状況」の届出状況)に達し、この5年間で8割近く増加した。
現行制度では、技能実習としながらも、目的の技能を学ぶことができない作業に従事させられていたり、長時間労働や賃金不払いなどの問題も指摘されている。
改正案の閣議決定と審議入りをきっかけに、株式市場でも改めて外国人の就労拡大に関連する銘柄へ関心が高まりそうだ。
法整備によりこうした問題が一気に解決するわけではないが、これをきっかけに健全な市場が拡大すれば、関連する企業にとって、これまで以上にビジネスチャンスが広がることになる。
外国人就労の拡大に関連した銘柄としては、製造業派遣や技術者派遣などの人材サービス関連銘柄が注目したい。

UTグループ<2146> は、製造派遣・請負大手。半導体・液晶主体だが環境や車も。技術者派遣開始している。傘下のUTグローバルでは、顧客(実習実施機関)の業務を代行し「団体監理型」受け入れ・実習を支援。特にベトナムやミャンマーの送り出し機関との提携に強みを持っている。
夢真ホールディングス<2362> は、建設工事現場への建築技術者派遣とIT技術者派遣を展開。在籍建設技術者数は約5000人。中期経営計画では2020年にグループ全体で1万人が目標。

近年力を入れているのが、女性と外国人の採用だ。強みである未経験者を短期間で研修するノウハウを生かして、特にASEAN諸国を中心とした外国人技術者及び外国人実習生の活用支援などに注力。なかでもフィリピンやベトナム人の人材確保に力を入れており、日本語教育などを強化している。
ヒューマンHD<2415>は、人材関連事業、教育事業、介護事業など「人」を中心に据えた事業を展開。重点分野としているコンストラクション分野の稼働スタッフ数が増加しているほか、単価の高いグローバルITエンジニアの契約数が伸長。留学生向けの日本語学校や児童向けロボット教室の生徒数は順調に拡大している。
注目点としては、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)や企業研修及び海外専門職人材の招へいに注力していること。労働者人口の減少が見込まれるなか、こうした分野は高い成長が期待できそうだ。
 
人材派遣関連銘柄リスト
ヒップ 2136 技術者派遣
アルトナー 2163 エンジニア派遣
パソナグループ 2168 人材派遣大手
パーソルホールディングス 2181 人材派遣大手
アウトソーシング 2427 工場向け技術者派遣
夢テクノロジー 2458 製造業向け技術者派遣
ライク 2462 携帯電話営業所向け人材派遣
エスプール 2471 コールセンターなどへの人材派遣
フルキャストホールディングス 4848 短期特化の人材派遣大手
ウィルグループ 6089 スマホ販売やオペレーター向け人材派遣
リクルートホールディングス 6098 人材派遣事業も行う求人情報サービス大手
キャリア 6198 看護師・介護士派遣
平山ホールディングス 7781 製造業向け技術者派遣
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