東京都では2020年のオリンピック、パラリンピック大会を意識した整備計画があり、2017年6月には「無電柱化推進条例」が可決されました。
「電線地中化」とは、電線やその関連施設を地中に埋める事を指します。また、道路上から電柱をなくすことを「無電柱化」と呼び、電線地中化はその手法の一つとされています。
国土交通省も、2018〜20年度までの3年間で、東京都心の幹線道路の無電柱化を完了させるなど数値目標も盛り込んでいます。目標達成へ約1400kmの無電柱化が必要となっています。
無電柱化は09年から徐々に進んでいますが、計画案では重点整備の対象は合計で5〜6万キロメートルと推計されています。
3年間の推進期間で仕組みを定着させ、その後はさらに加速させる方針です。
1キロメートル当たりで5億3000万円の費用がかかるともされ、長期間の巨大な国家プロジェクトとも言えます。
電柱の間隔は、およそ30メートル。全国にある電柱の数はざっと3500万本。
今の工事代金で全国の電柱と電線を埋めるとなれば、500兆円を超える規模になります。
財源捻出や工事費軽減で官民が協力して、この巨大な山を小さくできれば、東京、ひいては日本の品格を高められます。
東京都でも、東京オリンピック・パラリンピックの開催までに「センター・コア・エリア内の都市計画幅員で完成した都道の無電柱化を完了させるとともに、防災対策上、重要な位置付けにある緊急輸送道路や利用者の多い主要駅で重点的に整備を進める」としています。
東京都が示した2018年度予算案では、無電柱化関連経費を259億円から288億円に増額しています。
関連企業には中長期にわたって、業績に寄与することが予想されます。
そこで今回は、電線の地中化関連に注目です。電線などのインフラ銘柄が期待できると考えます。
関連銘柄では、コンクリート製品中堅でマンホールやパイプ製品が主力の
イトーヨーギョー<5287>、防護柵やマンホールなどコンクリート2次製品が主力の
ゼニス羽田ホールディングス<5289>、古河電工系の電線中堅でケーブルや巻線が主力の
東京特殊電線<5807>、コンクリート2次製品を製造、ボックスカルバートが主力の
旭コンクリート工業<5268>、建設コンサル会社。調査測量、区画整理など情報技術が主軸の
オオバ <9765>などが挙げられます。
電線地中化の動きは、防災に加え景観、バリアフリーの観点から加速することでしょう。
東京都や全国規模での巨大な国家プロジェクトであり、今後中長期にわたり、関連企業の業績に寄与することは容易に想像できると考えます。
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