マーケットの値動きに当てはめる「黄金比率」
世の中には、物事を美しく魅せるための「比率」が存在する。
先日、あるFXの専門家氏からの質問があった。
黄金比率は、使われますよね?

「いえ、まったく」とお答えしたら・・・。
「え?」と絶句され「どうしてですか」。
「でも自然界でアチコチにありますよ」。
それでもでも使わないと思います。

日頃使っている人にとっては異常な返事だったのだろうか。

そもそも・・・。
黄金比率は、デザインの世界からきた比率。
黄金比とは、近似値1:1.618、約5:8の安定的で美しい比率とされる貴金属比の一つ。
「ものを美しく見せるため」というのが大義名分である。
結果的に、ピラミッド、ミロのヴィーナス、パルテノン神殿などがその比率。
モナ・リザ、サクラダ・ファミリア、凱旋門、アップルのロゴ、ツイッターの鳥などもそうだとされている。
美しさと言う点では比類はないのかも知れない。
では、罫線が美しく見えると株が上がるという訳でもないと思う。
しかし、価格の「支持帯」と「抵抗帯」を予測するテクニカル分析ツールとなり信奉者は多い。
ちなみに、この黄金比率というのは、フィボナッチとも呼ばれている。

フィボナッチ数列は「隣り合う2つの数を合計すると次の数になる数列」。
英語では、 Fibonacci Sequence. 名前の由来は数学者レオナルド・フィボナッチからだ。

フィボナッチ数列は、最も美しい比とされる黄金比と密接な関係にある。

1:1.618の比率だ。
だから61.8%とか38.2%とかいう数値で上昇下落の極地を罫線で表現している。
自分が納得して信用するならそれはそれでいいだろう。
面白いのは、第二黄金比率があることだ。
近似値は1:2.618だが話題になることはない。

市場関係者は、黄金比率しか言及しないが実は「白銀比率」というにも存在する。
白銀比とは、1:√2=1.414…で表される比率だ。
これは、A版やB判など用紙のサイズ、風呂敷、法隆寺、菱川師宣「見返り美人図」などがそうだという。
別名「大和比」ともいう。
法隆寺、スカイツリー、キティちゃん、ドラえもん、グーグルのロゴなどが該当する。

そして第二白銀比率は、1:2.141だがこれも注目はされない。
欧米は螺旋から発生した「黄金比率」、日本は正方形から発生した「白銀比率」が好まれるというのが定説だ。

ちなみに「青銅比率」は、1:(3+√13)/2=3.303…。
「白金比率」は1:1.732(約4:7)プラチナ比とも呼ばれている。

どうして黄金比だけが突出して登場するのかは不思議なことだ。
自分の好みのものを使えば良いだろう。
原因から結果があると錯覚するから手品も成立する。
逆に結果から原因を類推するのはテクニカルの求めるところとすれば、スケールは多いほどいい筈だ。

ちなみに黄金比は「装飾」、白銀比は「実用」。
同様に「華美」と「簡素」。
「動」と「静」。
「拡大」と「相似」。

これは西洋と東洋の違いかも知れない。
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