脱線事故で注目される企業
台湾の在来線で特急列車の脱線事故が発生した。
少なくとも18人が死亡したなどと伝わっている。
駅近くのカーブを曲がりきれずに全車両が脱線し、うち4車両が横転したとの報道だ。

この列車で使われていたのは日本製の特急形電車「TEMU2000型」。
事故の原因は不明とされているが、車両を製造したのは日本車輌製造<7102>とされており、2012年から14年にかけて納入した車両とみられている。
現時点で同社への影響度は不明だが、株式市場では、同社の業績への影響などを警戒した売りが出ている。
脱線事故のような大規模な事故が発生した場合、別の列車を巻き込む2次被害の拡大を防ぐのに役立つ装置を開発している企業に注目したい。

それは、曙ブレーキ工業<7238>である。
同社は、鉄道の列車が脱線・衝突したときに異常を検知し、周辺を走る列車に知らせる装置を開発している。
微小電子機械システム(MEMS)技術を活用した高精度の加速度センサーを搭載する。兵庫県尼崎市のJR福知山線脱線事故のような大規模な事故が発生した場合、別の列車を巻き込む二次被害の拡大を防ぐ。国内の鉄道車両に導入を進めているほか、海外展開も視野に入れている。
開発したのは、車両の振動を検知する装置。長さ27センチメートル、幅20センチメートル、高さ16センチメートルで、内部には上下や前後、左右3軸の動きを計測する6つの加速度センサーを取り付けた。車両の前方と後方、車輪近くの車体に取り付ける。

曙ブレーキ工業 HPより

センサーのほかに、装置に内蔵するCPU(中央演算処理装置)やメモリーで振動に関するデータを蓄積する。事故が発生した際には、周囲を走る車両に知らせ、倒れた車両の後方を走る列車が追突するといった二次被害を防いでいる。

従来のセンサーは走行時の飛び石などを誤って大きな振動として検知してしまう可能性があった。このため、車輪の近くには取り付けることができず、運転席の天井に近い部分に装置を取り付けることが多かった。曙ブレーキの装置では、車輪の近くでじかに伝わる振動をとらえることができるようになる。

曙ブレーキ工業 HPより

既に、JR西日本<9021>の一般車両向けに納入を始めているほか、今後は海外の鉄道車両にも販売を始めている。
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