4日のNYダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反発し、前日比350ドル06セント高の4万5621ドル29セントで終えた。米国のサービス業の景況感改善が投資家心理の支えとなった。米連邦準備理事会(FRB)が利下げを再開するとの観測も株買いを後押しした。
民間雇用サービス会社ADPが朝方発表した8月の全米雇用報告は、非農業部門の民間就業者数(季節調整済み)が前月比5万4000人増にとどまり、市場予想(6万5000人増=ロイター通信調べ)を下回った。労働省が公表した新規失業保険申請件数は、8月30日までの1週間で前週比8000件増の23万7000件と、2週ぶりに悪化した。
雇用情勢の悪化を示唆する経済指標が相次ぎ、市場では連邦準備制度理事会(FRB)が9月の金融政策会合で利下げに踏み切るとの見方が強まった。利下げで景気が下支えされるとの期待感から、金融やハイテクなど幅広い銘柄に買いが入った。
4日に米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した8月の非製造業(サービス業)景況感指数は52.0だった。7月の50.1から上昇し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(50.8)も上回った。米景気が底堅さを保っているとの見方につながった。
朝方は売りが先行したものの、市場では「雇用関連指標が良くない内容だったことで、FRBの利下げ観測が改めて意識された」との指摘があった。ダウ平均は前日まで3日続落しており、主力株の一角を買い直す動きが出やすかった。
翌日には、金融政策の展望を占う8月の雇用統計発表を控える。ニューヨーク連邦準備銀行のウィリアムズ総裁は4日の会合で、「(足元の)労働市場のリスク上昇は明らかだ」との認識を表明。市場では「弱めの数字が出てくる」(日系証券)との見方もあり、9月利下げの織り込みが一段と強まる可能性がある。
ダウ平均の構成銘柄では、アマゾン・ドット・コムの上昇が目立った。ゴールドマン・サックスやスリーエム(3M)も上昇した。半面、セールスフォースが下落した。前日に四半期決算とあわせて発表した2025年8〜10月期の売上高見通しが市場予想に届かなかった。アムジェンとコカ・コーラも安かった。
ナスダック総合株価指数は続伸し、前日比209.967ポイント高の2万1707.694(速報値)で終えた。
【シカゴ日本株先物概況】
4日のシカゴ日経平均先物は上昇した。9月物は前日比770円高の4万2880円で終えた。この日は日米で株式相場が上昇しており、シカゴ市場の日経平均先物にも買いが活発となった。
シカゴ日経225先物 (円建て)
42880 ( +250 )
シカゴ日経225先物 (ドル建て)
42895 ( +265 )
( )は大阪取引所終値比
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
4日の英FTSE100種総合株価指数は続伸し、前日比38.88ポイント(0.42%)高の9216.87と8月27日以来1週間ぶりの高値で終えた。英国財政の先行き不透明感などから今週前半に動揺した国債市場が落ち着き、投資家心理が改善した。米国で9月にも利下げが決まるとの観測も支えとなった。
FTSEの構成銘柄では、不動産サイト大手ライトムーブが2.88%高、通信大手エアテル・アフリカと保険大手アビバが共に2.51%高、情報サービス会社RELXが2.43%高と買われた。他方、格安航空大手イージージェットは4.21%安、産銅大手アントファガスタは2.28%安、自動車保険のアドミラル・グループは2.27%安となった。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
4日のドイツ株価指数(DAX)は続伸し、前日比175.53ポイント(0.74%)高の2万3770.33で終えた。米労働市場の減速を示唆する米景気指標を受け、米国で9月にも利下げが決まるとの期待が強まった。国債市場の落ち着きも、投資家心理の支えとなった。
ソフトウエアの独SAPなど、時価総額が大きい銘柄を中心に買いが入った。
個別では、エネルギー大手シーメンス・エナジーが3.70%高、セメント大手ハイデルベルク・マテリアルズが3.52%高、通信大手ドイツテレコムが2.35%高と上昇。半面、医療機器のザルトリウスは3.93%安、航空機エンジン大手MTUエアロ・エンジンズは2.72%安、香料大手シムライズは2.52%安と下げた。
■フランス・パリ株価指数
欧州株式市場でフランスの株価指数CAC40は反落し、前日比0.26%安で終えた。開発中のアトピー性皮膚炎の治療薬に関する治験結果を4日公表した製薬大手の仏サノフィが8%安と大幅に下げ、指数を下押しした。仏LVMHモエヘネシー・ルイヴィトンやケリングといった高級ブランド株に売りが出たのも重荷となった。仏ソシエテ・ジェネラルをはじめ金融株が上昇した。