10日のNYダウ工業株30種平均は反落し、前日比1014ドル79セント安の3万9593ドル66セントで終えた。
前日はトランプ米大統領が相互関税の一部を90日間停止すると表明したことが好感され、ダウ平均は史上最大の上昇幅となる2962ドル高で引けていた。ただ、中国に対する追加関税率は145%まで引き上げられ、中国も報復措置をエスカレートしており、この日は「市場が冷静になった」(日系証券)とみられる。
米下院で、トランプ氏の看板政策である大規模減税に関する法案の概要が承認されたことを受け、ダウ平均は取引終盤にかけて下げ幅を縮めた。ただ、翌日には米銀大手の決算発表を控え、市場では関税の影響を見極めようと様子見姿勢が強かった。
米国は中国の輸入品に対して125%の追加関税を課すとみられていたが、ホワイトハウスが10日、3月までに課した20%の追加関税と合わせて税率が145%になると明らかにした。中国は対抗措置として10日に米国の輸入品に84%の関税を発動しており、米中の対立が深まることが懸念された。
ダウ平均は下げ幅を縮小して終えた。米財務省が実施した30年債入札で落札利回りが市場実勢を下回った(価格は上回った)。9日の10年債入札に続き、米国債への一定の需要が確認された。米長期金利は4.3%台で推移する場面が目立ち、前日未明にかけての急激な上昇にいったん歯止めがかかったとの見方があった。米政権の関税政策が世界経済の停滞や金融システム不安を招くとの警戒はいったん後退している。
ダウ平均の構成銘柄ではナイキやウォルト・ディズニーといった消費関連銘柄の下げが目立った。エヌビディアなどハイテク株も安い。一方、ユナイテッドヘルス・グループやベライゾン・コミュニケーションズ、コカ・コーラなどが上げた。
ナスダック総合株価指数は反落した。前日比737.661ポイント(4.30%)安の1万6387.311(速報値)で終えた。複数のアナリストが目標株価を引き下げたテスラが7%あまり下げた。メタプラットフォームズや半導体株の下げも目立った。
【シカゴ日本株先物概況】
10日のシカゴ日経平均先物は下落した。6月物は前日比1460円安の3万3400円で終えた。この日は日経平均株価が反発したものの、米中貿易摩擦が激化するとの警戒感から米株式相場が再び大きく下げ、シカゴ市場の日経平均先物には売りが優勢となった。
【欧州株式市場】
■イギリス・ロンドン株価指数
10日の英FTSE100種総合株価指数は反発し、前日比233.77ポイント(3.04%)高の7913.25で終えた。前日の米国株高に続き、10日のアジアの主要株式相場も上昇したのを受けて投資家心理が上向き、英国株にも買いが優勢となった。
投資家心理の改善は、前日にトランプ米大統領が一部の国・地域を対象に相互関税の上乗せ分について一時停止を許可すると発表したのがきっかけ。米関税政策が世界経済を下押しするとの懸念がやや和らぎ、幅広い業種・銘柄に買いが広がった。英金利の上昇が一服したのも好感された。
FTSEの構成銘柄では、プライベート・エクイティ会社3i(スリーアイ)グループが7.75%高、金融大手バークレイズが7.70%高、資産運用大手インターメディエイト・キャピタル・グループが7.27%高と急伸。一方、流通大手テスコは6.15%安、同業セインズベリーは2.97%安と売られた。
■ドイツ・フランクフルト株価指数
10日のドイツ株価指数(DAX)は反発し、前日比891.85ポイント(4.53%)高の2万0562.73で終えた。前日にトランプ米大統領が一部の国・地域に対して相互関税の上乗せ分を90日間停止すると発表したのを受け、投資家心理が改善した。DAXが前日までに水準を切り下げていたこともあり、幅広い業種・銘柄に値ごろ感からの買いが入った。
個別では、業務用ソフトウエア大手SAPが7.28%高、ドイツ銀行が7.15%高、半導体大手インフィニオン・テクノロジーズが5.89%高と相場をけん引した。半面、分子診断大手キアゲンは0.90%安と、唯一マイナス圏で取引を終えた。
■フランス・パリ株価指数
フランスの株価指数CAC40は反発し、前日比3.83%高で終えた。