
きょうの東京株式市場は荒れ模様の展開となり、朝方は日経平均が500円高超に買われるなど、大きく水準を切り上げ4万4000円台に乗せる場面があった。値がさの半導体関連銘柄のアドテストが上場来高値を更新し、日経平均を大きく押し上げる場面があった。
しかし、その後は値を消し、後場に入るとマイナス圏に沈んだ。外国為替市場でドル安・円高方向に振れたことなども嫌気され、日経平均は結局180円あまり値を下げ、ほぼ安値引けとなっている。
石破茂首相の退陣表明を受けて次期政権への期待感から買いが続いていたが、空売り筋による買い戻しが一巡すると上値が重くなり、今度は利食い急ぎの地合いに変わった。
半導体関連の一角が買われ不動産や陸運などの内需株も高かった一方、非鉄や鉄鋼など市況関連に売りがかさみ全体を押し下げた。
個別でみても値下がり銘柄数が後場に入り増加し、全体の6割近い銘柄が下落した。
日経平均は前日までの3営業日続伸で1700円あまり上昇し、終値ベースでの最高値(4万3714円)をうかがう水準とあって、さらなる上値追いは続かなかった。9日は米雇用統計の年次改定が発表される。雇用者数が下方修正されればFRBの利下げが進みやすくなるとの見方から、外国為替市場で円相場が1ドル=146円台後半と前日夕比で円高・ドル安が進行したことも利益確定売りを促した。
市場では、今後の展開について「来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)後もFRBが段階的に利下げを進めるとの見方や、自民党総裁選の候補者の公約で国内経済の成長期待が高まるなど、日米両面の買い材料が重なれば、終値で最高値を更新する可能性がある」との声があった。
日経平均が一気に4万4000円の大台を捉えかえって買い一服感が出始めている。PER18倍近い水準に割安感はなく今後は企業業績をにらみながらの相場展開となってこよう。米国の利下げが0.5%なら4万4500円もありそうだが、短期的な過熱感もあるところで順張り的な買いはなかなか出来にくくなる。一方、自社株買いで需給は依然として良好なため深押しもなさそうだ。