
きょうは主力株を中心に朝方買い優勢でスタートした後、いったん急速に値を消しマイナス圏に沈んだが、その後は底堅さを発揮し、後場取引後半から次第高の様相となった。前日の米株市場では、トランプ米政権の関税政策に緩和の兆しが見られ、中国をはじめ海外各国との貿易摩擦が緩和するとの思惑からNYダウが6日続伸と上値追い態勢を継続した。
これを受けて東京株式市場でも投資家のセンチメントが強気に傾いている。日米間の関税に絡む協議が5月1日に予定されており、この結果を見極めたいとのニーズもあるが、それに先立ってショート筋手仕舞いの動きが指数を押し上げた格好だ。商いも活況で、売買代金は5兆4000億円台と大きく膨らんだ。これは4月11日以来約3週間ぶり。値上がり銘柄数は前引け段階では値下がり数を大きく下回っていたが、後場の取引で逆転し900銘柄以上が上昇した。
トランプ米政権が各国・地域に対する関税政策をやや緩和する姿勢を見せるなか、投資家の過度なリスク回避姿勢は足元で後退しつつある。日米交渉では、赤沢亮正経済財政・再生相が訪米し、日本時間5月1日にベッセント財務長官らと協議する予定だ。日本側は相互関税や自動車など品目別の追加関税撤廃を求める一方、農産品の輸入拡大や輸入自動車への特例措置の拡充などを交渉カードとして検討するとみられる。米国がどこまで応じるかは未知数とあって日経平均は下落に転じる場面もあった。もっとも、相場の下値は堅く、株価指数先物主導で強含む展開となった。
国内では主要企業の3月期決算が本格化しているなかで個別物色が活発だった。きょうは決算内容が評価されたTDKの上昇が目立った。半面、OLCやキッコマンは決算を受けて売りに押された。昼休み時間中に決算を発表した商船三井は後場に急落。郵船や川崎汽にも売りが波及した。決算以外の材料では、ソニーGが半導体子会社のスピンオフ(分離・独立)と株式上場を検討しているとの米ブルームバーグ通信の報道をきっかけに大幅上昇して日経平均の押し上げ役になった。
さて、東京株式市場は米株高を好感して取引序盤に180円高するものの、1日から赤沢経財相が米財務長官と協議する予定となっておりそれ以降は様子見に。チャート面でも心理的節目である3万6000円に達しいったんは買い一服となりやすい状況でもある。ただ、主力企業の今期予想が思ったほど弱気ではないものがあることから終盤は再び買いが優勢となり、日経平均は高値圏で取引を終えている。