前日の米国株市場でNYダウなど主要株価指数が総じて軟調だったが、外国為替市場でドル高・円安方向に振れたこともあってリスクを取る動きが優勢となった。取引時間中は中国・上海株などアジア株が総じて堅調な値動きをみせたこともマーケットのセンチメントにプラスに働いた。
中国共産党が9日に開催した中央政治局会議で、25年経済政策に関して財政政策の積極化と緩和的な金融政策を行う方針を表明し、これが東株式京市場でも中国関連株を中心に買いを誘う背景となった。また、半導体関連株が買われたことも地合いを良くした。一方、日本時間11日夜に米消費者物価指数(CPI)の発表を控え、この内容を見極めたいとの思惑から上値が押さえられる場面もあった。個別株も値上がり銘柄数を値下がり銘柄数が上回った。
中国景気の先行き不安がやや和らぎ、東京外国為替市場では一時、151円55銭近辺と前日夕時点と比べて1円以上の円安・ドル高が進行した。輸出関連のほか、住友商などの商社や安川電、ファナック、資生堂といった幅広い中国関連銘柄に買いが向かった。日経平均の上げ幅は300円を超える場面があった。
ただ、10時以降の日経平均の上値は重かった。日立や三菱重、フジクラといった年初来で上昇率が大きい銘柄の下げが目立った。先週後半以降、年末を控えた個人や一部の国内機関投資家の持ち高整理の売りが相場の上値を抑えているとの見方がある。日経平均と東証株価指数(TOPIX)はチャート上で終値が始値を下回る「陰線」をきょうまで5日連続で引いた。
11日には米連邦準備理事会(FRB)の利下げペースに影響する可能性がある米消費者物価指数(CPI)の発表が控えるほか、来週には追加利上げの有無が焦点となっている日銀の金融政策決定会合も予定されている。「地合いは悪くなくても先行き不透明感から積極的に買い向かえない投資家が多い」との声があった。
日経平均は続伸したが、3万9000円〜3万9500円辺りでのレンジでの推移を継続している。11日に米国では11月の消費者物価指数(CPI)の発表を控えており、米金融当局の利下げペースに影響を及ぼし兼ねないだけに、CPIの結果を見極めたいと考える投資家も多いだろう。また、これまで強い上昇が目立っていた銘柄に利益を確定させる動きが目立ってきた。年末に向けていったんキャッシュポジションを高めておきたい動きもありそうだ。反対に調整が続いていた銘柄などは買い戻しの動きが意識されやすいだろう。