米金融引き締めへの懸念から前日に急落した反動で、自律反発を期待した買いが朝方から優勢だった。幅広い銘柄に買いが入ったが、上値では戻り待ちの売りも出た。
29日のNYダウ平均は184ドル安と続落。米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げペースの加速を警戒した売りが継続した。値ごろ感からの買いでダウ平均は一時上昇に転じる場面もあったが、長期金利の上昇を受けたハイテク株の売りが相場の重石になった。ナスダック総合指数は-1.02%と続落した。
日経平均は自律反発狙いの買いから207円高と2万8000円を回復してスタート。戻り待ちの売りも強く、一時は2万7944円25銭まで上げ幅を縮小したが、切り返すとすぐに2万8000円を回復。後場は、ナスダック100先物が上げ幅を広げるなか買い戻しが続き、午後中ごろには2万8233円80銭(354円84銭高)まで上げ幅を広げた。ただ、週末にかけて控える海外の重要指標を前に様子見ムードが強く、25日移動平均線を下回った推移が続いた。
新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した改良ワクチンの接種開始時期について、政府がこれまでの10月半ばから9月に前倒しすると伝わったのも支援材料となった。すでに経済社会活動の正常化が進みつつあるが、市場では「経済再開に向けてさらに前進する」との声が聞かれた。
ただ、日経平均は2万8200円台半ばに位置する25日移動平均に近づくと伸び悩んだ。FRBが積極的に金融引き締めを続けるとの警戒感は根強く、上値では戻り待ちの売りが出た。
市場からは「短期マネーは動いているが、腰の入った買いはみられない。経済シンポジウム『ジャクソンホール会議』通過後は週末の米雇用統計など経済指標を見極めたいとの空気が強い。レンジ相場に移る可能性はあるが、下をみている一部ヘッジファンドもいるようだ」との声が聞かれた。
東証株価指数(TOPIX)は反発し、終値は前日比24.28ポイント(1.25%)高の1968.38で終えた。