
前週末の米国株市場でNYダウやナスダック総合株価指数など主要株価指数が揃って大きく買われたことを受け、リスクを取る動きが強まった。米国株市場ではトランプ米大統領と習近平中国国家主席の電話会談を経て、米中摩擦への警戒感がひと頃より和らいでいる。また、前週末に発表された5月の米雇用統計は事前コンセンサスを上回る内容であったことから、米経済減速への懸念も緩和され、投資家のセンチメント改善に貢献した。米株高に追随して、日経平均は寄り付きでフシ目の3万8000円台を回復し、一時400円以上上昇する場面もあったが、その後は戻り売りに上値を押さえられた。
6日発表の5月の米雇用統計で非農業部門の雇用者数や平均時給の伸びが市場予想を上回り、米景気を巡る懸念が後退した。米株高の流れを受け、東京株式市場は電気機器などの上昇が目立った。円相場が1ドル=144円台に下落したのも株価を支えた。トランプ米大統領が9日に米国と中国の閣僚級会議を開くと明らかにし、貿易協議の進展に対する期待も株買いを誘った。市場関係者は「米関税政策が米景気に大きく響かないとの見方が一段と膨らんできた」と話した。
一方、日経平均が心理的な節目の3万8000円を上回ったことで、利益確定売りも出やすかった。
米中協議がどのようにまとまるのか見極めたほか、今週は11日に米消費者物価指数(CPI)、13日に米ミシガン大学の消費者信頼感指数などの発表が控えており、米景気の底堅さを確認できる内容になるのか見定めたいと考える向きも多い。また、来週には日米の金融政策決定会合が開かれる予定など積極的に上値を買い上がる雰囲気にはならなそうなため、目先は3万8000円台を固める動きとなりそうだ。